Adobe CS5を使ってWIRED Magazine for iPad的なものを作る

最近、仕事半分趣味半分で手を出しているのが、Adobe電子書籍ソリューションDigital Publishing Suiteだ。

最近までDigital Publishing Platformという名前でリリースが予定されていたのだけれど、先日のAdobe MAX 2010において、Digital Publishing Suiteに改名の上で正式なリリースが発表された。

Digital Publishing Suite(以下DPS)は、簡単に言ってしまえばWIRED Magazine for iPadを制作するのに使われたソリューションを一般に公開したものだ。WIREDアプリに触れたことのある人なら「あんな感じのアプリ」と言えば分かると思うけれど、あんな感じのアプリをCS5上で制作することが可能になる。

実際にリリースされたツール(Adobe Labsから無料でダウンロード可能)を使って、一通り手順を試してみた。まずはAdobe InDesignを使って書籍の中身を作る。必要なファイルを揃え終えたら、Digital Content Bundlerを使ってissueファイルへ変換する。変換に成功したら、iPadAdobe Digital Content Preview Toolをインストールし、iTunesのファイル共有経由でissueファイルを流しこむ。これで完了。

今回Adobe Labsで公開されたツールで出来るのはここまでだけれど、DPSのプレリリース・プログラムに参加すれば、WIREDアプリのような単体アプリへの変換まで可能になるらしい。実際にいくつかの書籍(雑誌)がリリースされており、ギャラリーでこれをチェックすることができる。

こんな感じで、CS5を使った手軽な電子書籍制作を可能にするDigital Publishing Suiteだけれど、制作までは手軽としても、実際にパブリッシングするのはあまり手軽ではない。DPSのProfessional Editionへの登録には月に$699の固定料金と出版物毎の追加料金が課せられる。残念ながら一般の個人作家が月に7万円近くの固定費を持続的に負担できるとは思えない。恐らく中間に出版社や専門業者を挟んだ形でのやりとりになるのだろうと思う。

それはともかくとして、プレリリース期間中は無料で試用できるとのことなので、興味のある人は今のうちに一度挑戦してみるといいかもしれない。