来年度の教科書―掛け算には「正しい順序」がある!? | メタメタの日

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 かけ算の式には「正しい順序」があると思っている人がいる。230年前にはいなかったはずだが、40歳前後ぐらいから下には半々ぐらいの割合でいるらしい。


 もちろん、かけ算には交換法則が成り立つから、かけ算の式には「正しい順序」などはない。(これも、数の交換法則だけでなく、量についての交換法則を議論すると、ややややこしくなるが)

 この230年で、掛け算には「正しい順序」があると思う人が増えたのは、80年代から、小学校の教科書でそのように教えるようになったからだ。

 かけ算の導入(小2)が、「1あたり×いくら分」となり、式はこの順序で書くことが教えられるようになった。と同時に、教科書ではすぐに「かけられる数とかける数を入れ替えても答えは変わりません」ということ(「数の交換法則」)も教えるから、そのときに、1あたりといくら分を入れ変えてもいいんだなと思う子どもは出てくるだろうが、教科書と学校の先生の一部(と信じたい)は、その後も、交換法則が成り立つのは計算の場合であって、式は、1あたり×いくら分の順序で書くことを要求する。

 この学校の常識の非常識は、あちこちのネットで話題になっているが、学校外のそんな議論を無視するかのように、来年度の教科書では、かけ算の「正しい順序」を、さらに強調して教えるようになっている。

 採択数1位の東書の教科書は引用の通り。

 式の順序だけでなく、図の描き方の順序まで指定している。