「アリーテ姫の冒険」について


アニメの方じゃなくて原作の方ね


子供のころ読んで以来、もっとも好きな童話の一つです。
ある意味では少女革命ウテナを好きになったのは、
この「アリーテ姫の冒険」という下地があればこそだったのかもしれない。


フェミニズム作品と言われているそうだが、
ウテナが「フェミニズム」を超えて作品として成り立っていたように、
アリーテ姫の冒険もそれ単体で面白く痛快だ。


アリーテ姫の冒険」のアリーテ姫は、ウテナとアンシーを足してサトジュン作品ヒロインを混ぜたような王女さまだった。
アリーテ姫は賢い賢いと作中で言われていたが、
賢いというよりは自由な発想力をもった人物であったと言った方がいいだろう。


ああ、そうか「キングゲイナー」のアナ姫も凄くアリーテ姫に似てるなぁ
とにかく彼女は退屈が嫌いだった。
彼女は悪い魔法使いの出す難題を解く方が、
アホな王様に箱入りにされているよりも楽しかったんだろうと思う。
むしろ、アリーテ姫にとっては悪い魔法使いこそが
待ち望んでいた男性だっただろうし、
それをアッサリ捨てるのも実に彼女らしく、ある意味では富野に通じるところがある



キングゲイナーのアナ姫が主人公の作品が見たいと思ってる人はぜひとも読んでみてほしい。


しかし、アニメの「アリーテ姫」のアリーテ姫には
そんな痛快さはほとんどなかった。
キングゲイナーウテナカレイドスターのような痛快さが。


フェミニズムのために作られた、本来ならば「説教くさい」と言われやすい原作よりも、輪をかけて説教くさく辛気臭い作品になっていた。


桑島法子が「ナデシコ」のユリカみたいな演技で演じていればなぁって。
確かにナデシコのユリカは原作アリーテ姫に近いキャラクターだったし。


でも、片渕監督がアリーテ姫の冒険をそのまま描こうとしなかったこともなんとなく分かるんだ。
なぜならそれは宮崎駿ナウシカとの全面対決になるからね。
ナウシカは全男性から無条件に肯定された賢いお姫さまだけど、
アリーテ姫は全男性から無条件に否定された賢いお姫さまだから。


アニメ版アリーテ姫は騎士たちから求婚されてモテモテだったけど、
原作版アリーテ姫は婚約候補の王子達に逃げられて、悪い魔法使いにおこぼれで拾ってもらう。
そしてその男を暇つぶしに使い捨てて颯爽と旅に出る。


最後は出崎統作品ばりに旅に出るんだ。
アリーテ姫は。
最高だね。