しかしながら、このコクとかキレの正体を、きちんと定義して、それを定量的に計ろうとしている漢(おとこ)たちがいる。いや、女性かもしれないけど。
サッポロビール株式会社にある「価値創造フロンティア研究所」。ここでは日夜研究者たちが、より美味しいビールをもとめ、研究にいそしんでいる。その一環で開発されたのが「コクキレセンサー」。
では、コクキレセンサーでは、「コク」と「キレ」をどのように定義しているのだろうか。それはこんな感じである。
【コク】
ビールを口に含むと、「にがみ」とか「しぶみ」とか、「すっぱさ」などといった味成分が舌の粘膜に吸着する。この味成分が、飲んでいる間にたくさん舌の粘膜に吸着すると、ビールにはコクがある、と感じる。
【キレ】
ビールを飲み終えたときに、吸着した味成分がスッと舌から洗い流されると、ビールにはキレがある、と感じる。
このように定義したコクとキレを、脂質膜センサーという、舌の表面をまねたセンサーを使って、味成分の脂質膜への吸着量(正確にいうと、味成分が脂質膜に吸着したときの膜電圧の変化)の時間的な変化を測定するのが、コクキレセンサーの正体である。
どうだろう、このコクとキレは、皆さんの感覚には合っているだろうか。価値創造フロンティア研究所の担当者はこのセンサーについて、「世界一の舌を持つグルメロボットだ!」と語っている。
今夜ビールを飲むときは、このコクとキレを、じっくり味わってみてほしい。
(珍満軒/studio woofoo)