タイラー・コーエン『創造的破壊』、日本の論壇に欠けている視線

 待望のタイラー・コーエンの『創造的破壊』の見本到着! これは今後、サブカルチャーも含めて文化・思想を経済の眼からみるときの必読参照文献に絶対なる。

 コーエンの『創造的破壊』は一度、ある版元で企画があがったが実は流れてしまった。そのときの僕の残念ぶりはかなりw だって絶対に日本の論壇に足りない本だから。担当予定の編集の方は頑張ってくれたんだけど、まさか却下されるとは思わなかった。だって例えば日本のポップカルチャーというのは評論レベルでもまた官公庁の政策レベルでも「日本文化はクール」に代表されるような単純な見方が100%主流。「日本文化はクール」という視点を批判している人たちもせいぜい自分の思いつき(美しく修飾すればその人のレアな見方)でしかない。そういう閉鎖したぐるぐるめぐりの論調を破ることができるいくつかの本の中の一冊だと思うから。

 で、1年ぐらいたって(僕が持ち込んだわけではない)作品社さんからこの監訳を頼まれたときはめちゃ驚いた。これはもう運命ではないか、と(笑。でもそのときの僕の喜び様たらそれはウキウキものでしたよw 

 浜野志保さんの読みやすくすぐれた翻訳と、なかなかユニークでwこのコーエンの本をさらに発展させた「物語の経済学」へのコースを示した僕の解説つきで、いよいよ、みなさんのお手元に来週届きます。お楽しみに! マジ!

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業

創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業

田中秀臣・上念司『震災恐慌!』

 本日、刊行。この日本の国難に覚悟をきめてふたりで語り下ろしました。編集の力でわかりやすくなっていますが、水準はさげてません。政府系の発言とは異なる震災復興についての見方を提供できてると思っています。よろしくお願いします。

震災恐慌!?経済無策で恐慌がくる!

震災恐慌!?経済無策で恐慌がくる!

目次の一部
まえがき
 最悪のシナリオ、震災恐慌を避けるために
 関東大震災阪神・淡路大震災の経験
 恐慌はそしらぬ顔をしてやってくる
 日本に明るい未来が訪れることを願って

第1章 恐慌はそしらぬ顔をしてやってくる
 僕たちの3・11
 「ナイトの不確実性」が示す現在
 今回の震災は景気後退、リーマンショックに続くトリプルショック
 …ほか

第2章 今、本当に起こっていること
 破壊を救えるのは経済政策のみ
 本当に無策な政府の復興計画
 デフレを作り放置する日銀
 …ほか

第3章 最悪のシナリオ
 考えられる最悪のシナリオ「増税+金融引き締め」
 増税で一番苦しむのは被災地
 増税すると逆に税収が減る
 …ほか

第4章 資産市場はどうなるか
 衝撃はストック市場から実体経済
 政府も日銀も無策のままか!?
 株式市場はドーンと下がって、少し上げたが……
 …ほか

第5章 震災恐慌を防げ!
 震災復興べからず集
 べからず集その1.増税
 べからず集その2.金融引き締め
 …ほか