その試験は音楽学校で指揮者の最終試験でした。
譜面通りにオーケストラで演奏して行く試験なのですが
ある受験生だけはどうしても、譜面のある部分まで行くと演奏を中止します。
その前に同じ曲を指揮していた他の受験生達ははそつなくこなしていたというのに、
彼は最終的に自分の非を認めず、試験官に対して「この譜面が間違っている」と
言い張り、他の受験生達から失笑を受けていました。
ところが結果、その受験生だけが合格して晴れてこれから世界にはばたく足がかりを掴む事が出来ました。
なぜならその譜面は、本当にわざと間違えていてそれをきちんと流されずに自分を信じて
オケを牽き連れて行けるか事の出来る人物かどうかのテストだったからです。
ちなみにその受験生とは、当時留学していた小沢征爾さんの事です。