MM総研は12月13日、既発売の最新スマートフォンを利用して調査した、各キャリアが展開する次世代高速通信(LTE/TD-LTE(AXGP)/WiMAX、以下4Gと記載)の電波状況、および通信速度の比較結果を発表した。それによると「SoftBank 4G LTE」が速度・エリアカバーともに充実していることが明らかになった。

計測場所は「自宅」を意識

今回の調査は「住宅エリア」における4Gサービスの提供状況を把握することを目的としたもの。不動産・住宅情報サイト「HOME'S(ホームズ)」を運営するネクストが発表した「2012年上半期全国人気の街ランキング」より日本全国の10エリアについて、各エリア上位10拠点を対象とした。

調査に利用した端末は、NTT ドコモのLTEサービス「Xi」対応のOptimus G L-01E(LGエレクトロニクス製)、KDDI(au)のLTEサービス「au 4G LTE」対応のiPhone 5(アップル製)、同WiMAXサービス「au +WiMAX」対応のARROWS Z ISW13F(富士通製)、ソフトバンクモバイルのLTEサービス「SoftBank 4G LTE」対応の「iPhone 5」(アップル製)、同AXGPサービス「SoftBank 4G」対応のSTREAM 201HW(ファーウェイ製)の5端末。1地点につき3回の計測を行い、平均速度をその地点での通信速度とした。

カバー率ではdocomo LTE XiとSoftBank 4G LTEが1位

4Gカバー率は日本全国300地点中242地点でLTEを受信した「Xi」Optimus G L-01E)と「SoftBank 4G LTE」(iPhone 5)が共に80.7%で同率1位となった。3位は208地点でWiMAXを受信した「au+WiMAX」(ARROWS Z ISW13F)で69.3%、4位は205地点でLTEを受信した「au 4G LTE」(iPhone 5)で68.3%、5位は181地点でTD-LTEを受信した「SoftBank 4G」(STREAM 201HW)で60.3%となった。

エリア別でみると、「Xi」は全てのエリアにおいて4Gカバー率が60%以上と安定した。「SoftBank 4G LTE」は甲信越エリア以外では4Gカバー率60%以上となっており、四国エリア(100%)、九州・沖縄エリアおよび四国エリア(96.7%)、など西日本における4Gカバー率が特に高くなった。ちなみに2010年12月よりサービスを開始している「Xi」に、今年9月21日開始の「SoftBank 4G LTE」が早くも 追いついた格好だ。3位の「au+WiMAX」は関東、甲信越の4Gカバー率は単独1位となったが、北海道では16.7%に留まった。4位の「au 4G LTE」は80%以上の地域もあるものの、北陸、四国では30%と低く、エリアによるバラツキが目立った。5位の「SoftBank 4G」は関東、関西、東海、九州・沖縄といった人口構成比が高いエリアで集中的にエリア構築を進めている模様。3Gエリアでの下り通信速度は最大42Mbpsと最速で、実効速度No.1に寄与している(後述)。

通信速度はソフトバンクが最速

通信速度は下り・上りともにソフトバンクが最速。一方でドコモは下り・上り共に苦戦する結果となった。全国における下り通信速度の平均速度は16.91Mbpsで「SoftBank 4G」が最速だった。2位は「SoftBank 4G LTE」で10.60Mbps。ソフトバンクの4Gサービスは共に10Mbps超を記録した。3位は「au 4G LTE」で8.22Mbps、4位は「au+WiMAX」で7.38Mbps、5位は「Xi」で6.17Mbpsの順となった。エリア別の下り通信速度は全てのエリアにおいて「SoftBank 4G」が1位となり、2位は甲信越と東北を除く8エリアにおいて「SoftBank 4G LTE」が2位となった。

上り通信速度の日本全国300地点平均速度は4.84Mbpsで「SoftBank 4G LTE」が最速。2位は「au 4G LTE」で4.18Mbps、3位は「SoftBank 4G」で2.83Mbps、4位は「au+WiMAX」で1.70Mbps、5位は「Xi」で1.13Mbpsの順となった。エリア別でみても、上り通信速度は「SoftBank 4G LTE」が関東、北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄の6エリアで1位を獲得した。

iPhone 5対決はソフトバンクが優勢

auとソフトバンクそれぞれのiPhone 5を利用して通信速度を比較。日本全国300地点の各地における下り通信速度では、ソフトバンクが186地点(62.0%)で勝利、auは114地点(38.0%)という結果だった。上り通信速度についてもソフトバンクが178地点(59.3%)で勝利、auは122地点(40.7%)という結果。下り・上りともに約6割の地点でソフトバンクiPhone 5の通信速度がau iPhone 5の通信速度を上回った。

全体的にソフトバンクの4Gカバー率や通信速度の優勢が目立つ結果となった。一方、ドコモはカバー率は高いものの、通信速度では苦戦する結果に。その原因についてMM総研では「1つの基地局あたりのLTEユーザー数が、auやソフトバンクに比べて多いため」ではないかと分析している。

なお今回の調査の実施方法は、次の通りとなる。スピードテスト「RBB TODAY SPEED TEST」アプリを利用し、全国300地点の屋外において3回ずつ計測した。計測結果は「最高速度」ではなく「平均速度」を採用した。計測期間は2012年11月9日から12月5日まで、計測時間帯は9時から20時まで。

調査拠点は、日本全国の10エリア(関東/甲信越/北海道/東北/北陸/東海/近畿/中国/四国/九州・沖縄)。不動産・住宅情報サイト「HOME'S(ホームズ)」を運営するネクストが発表した「2012年上半期全国人気の街ランキング」より各エリアの上位10拠点を対象にした。各拠点につき「駅前の1地点」+「駅周辺の居住スポット(郵便局・銀行・役所/公園/スーパー/大学/商業施設など)における2地点」の3地点で計測している。