仕事と晩飯とその他

日記です。

書店と取次と出版社のつながりがどうこう言ってる場合じゃないんじゃないだろうか

朝から色々メールが……。平積みの確認ですか……。再販問題と出版社の値引きについて手短にまとめるんですか……。

いちおうほぼ書いたところで会議。

無難と言えばあまりに無難なタイトルだが、ひねってどうなるということではある。

メールの続きとそれによって発生した諸々の処理など。

広報宣伝関係もいくつか。

急いで書店会館へ。途中でサンドイッチひとつ。

書店と出版社の接点を、というのはよくわかる。昔と比べるとそこが大幅に減ってしまったということもよくわかる。店売で現物見て仕入れられた時代というのもよくわかる。

基本的に異論は無い。けれど、もう昔には戻れない。

モノがないから仕入れられない。出版社の営業が来ないから仕入れられない。FAXや電話では仕入れられないが営業に説明されたら仕入れられる。配本は無いから大きな店に見に行く。けれどそれも偏っている。

そのあたりもわかる。わかる気がするし、なんとかしなければという問題意識もよくわかる。

でも、本当にモノがないと仕入れられないんだろうか。営業と会わないと仕入れられないんだろうか。

人間がやってることだから人間のつながりが必要だというのもわかる。好き嫌いもあるし気に入ればいい場所に置く、そうじゃなきゃそうしないという本音のお話は笑ったが、その気持ちはよくわかる。出版社にだって好き嫌いはあるから。

でも、本当にそれでいいんだろうか。

書店と取次と出版社のつながりがどうこう言ってる場合じゃないんじゃないだろうか。

アマゾンは現物見ないけどドカッと注文してくる。担当者と会ったことなくてもちゃんと書誌情報や在庫情報を渡せば出版社の規模なんか関係なくきちんと扱ってくれる。文句つけたら直してくれることもあるし、もちろん、アマゾンだって中にヒトがいるわけで、会えば会ったでまた色々できることもあったりなかったりする。

アマゾンがいいとか悪いとかではなくて、リアルの書店も取次も出版社も、ヒトのつながりでどうこうするの、もうやめたほうがいいんじゃないかなあ。

店が売りたい本を売るんだって気概はよくわかる。仕掛けて売り伸ばすんだって啖呵切って実際に結果出すのは格好いいと思う。

営業の頑張りで売上を伸ばすんだっていう心持ちもよくわかる。俺ら私らが本を単なる紙の束から値段の付いた商品に変えているんだって言い切るのも悪くない。

でもさあ、本当はオレはこう思ってるんだ。

「お客さんに選んでもらうんでよくないか?」

僕ら、もっとお客さんの話を聞いたほうがよくないか? 業界の中でのつながりじゃなくて読者とつながることをもっと考えたほうがよくないか?

いや、もちろん、「お客さんに選んでもらうためにこそ店頭の確保が……」とか、「自分で選べないというお客さんにオススメすることこそ……」とか、「販売はともかく編集の現場では読者からのフィードバックが……」とか、それぞれの取組の意味はあると思うし既に色々やってると思う。

既に色々やってるからこそ、もっとやらないとだめだと思うんだ。

出版社がアマゾンに満数出すようになってきた最大の理由は、アマゾンの後ろにいるお客さんに気が付き始めてきたからだ。

明後日話すことになる近刊予約の話で憂鬱な話題のひとつが「書店からの注文は客注なのか店頭分(見込み)なのかわからない」というものがある。

書店店頭からの発注の向こうにお客さんではなく返品を見ている出版社があるのかないのか。

書店は出版社のことなんか気にせずもっとお客さんを味方につけて欲しい。そうすれば、出版社は動く。いや、動かざるを得ない。

今日の質問では書店が出版社に来てくれと思っているのと同様に、出版社も書店から声をかけてもらいたいと思っているということを伝えることで精一杯だった。別に直接来てくれなくたっていいんだ。FAXでも電話でもメールでもTwitterでもなんでもいい。そんなつながりじゃダメなのかな。

そのうえで、お互いにそっから先のことを話したい。

うーん、今日の雰囲気だと近刊情報がどうこうなんて話は出せないし出しても意味無いだろうな。

これから出る本にはまだ現物はない。それでも買いたいというヒトがいる。モノがなくても買うヒトがいるのに、モノがないと仕入れられないって、それは少し逆戻りしてしまっているようにオレには思えた。

ヒトとヒトとのつながりで売るのは、俺はもうやめたい。ヒトとヒトとのつながりが無ければ書店に選んでもらえないということなら読者に選んでもらえるよう色々工夫しながら働きかけるだけの話だ。書店がお客さんを味方に付けるのと同様に、こちらもしっかりとお客さんを味方に付けよう。そして、そのうえで、「お客さんに選ばれる本を選ばない本屋はいかがなものか」と、改めて問うてみたい。

ま、でもそのためには今まで以上に作るところにコミットしないといけないわけで……、残念ながら今のところは(いや、これから先も?)そんな偉そうなことは言えそうも無い。営業の限界か……。