30歳を超えて地方で起業しようという「R30ベンチャー」を志す人にとって、その土地での「暮らしやすさ」は大切な要素。さらに、これからの人生100年時代には、「健康」も見過ごせません。

「快適な暮らし」と「健康」、この両方で高い満足度を実現しているのが浜松市です。

厚生労働省が3年ごとに調査・発表している「大都市の健康寿命」では、 2010年、2013年に続き、2016年も浜松市が1位。そして、一般財団法人日本総合研究所が『全47都道府県幸福度ランキング2018年版』(東洋経済新報社)内で発表した、「20政令指定都市『幸福度』ランキング」でも1位を獲得しています。

「20政令指定都市『幸福度』ランキング」は、全47個の指標をもとに作成されており、浜松市は主に「健康分野」「生活分野」の充実と、財政健全度や合計特殊出生率などの「基本指標」を評価され、見事1位に輝きました。

いったいなぜ、浜松市では健康で快適に暮らせるのでしょうか? 今回は、自治体の取り組みや気候風土、家賃や物価水準などから、浜松市を分析しました。

目次

健康寿命1位!「浜松方式」と呼ばれる救急医療への取り組みとは?

 ・充実の医療体制

 ・出産や子育ても安心

日照時間が長く気候が温暖、都市の近くに豊かな自然も

 ・マリンスポーツやゴルフなどさまざまなアクティビティ

 ・公園の数も充実

家賃や物価が安くて暮らしやすい

 ・家賃が安い

 ・物価が安い

 ・交通の便も良好

健康寿命1位!「浜松方式」と呼ばれる救急医療への取り組みとは?



前述の通り、「大都市の健康寿命」ランキングで1位だった浜松市。健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことです。

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Image: 武田侑大

2016年(2018年発表)の調査では、男性が73.19歳、女性が76.19歳でした。背景には、高い就労率、地域活動への活発な参加、気候や食の充実、そして医療体制に恵まれていることが挙げられます。

・充実の医療体制

浜松で起業を目指すR30ベンチャーにとって、医療体制は特に気になるところでしょう。医療体制において注目されているのは、「浜松方式」と呼ばれる救急医療への取り組みです。

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Image: ライフハッカー[日本版]編集部 via 浜松医療センター

上記のように救急体制を緊密にネットワーク化した、全国に先駆けた仕組みです。万が一の事態に、速やかに対応してもらえるのは心強い限りです。

救急医療施設への搬送においても、浜松市は高い水準を有しています。救急車の出動では、通報場所に最短距離で到着できる「直近方式」を採用しています。

これは、119番通報を受け付けると、通報場所がモニターの住宅地図上に表示され、直近の車両をコンピュータが選別。最短で到着できる車両へ出動指令をかけるといったものです。

・出産や子育ても安心

さらに、家族が増えたり、育児をしたりする時期と重なりやすいR30ベンチャーにとってありがたいのが、「メディカル=医療」と「バースセンター=出産施設」を組み合わせた「メディカルバースセンター」の存在。助産師を中心に、妊娠から出産までをサポートしています。

また、「小・中学生医療費助成制度」によって、子どもの医療費が中学生までは通院の場合1回あたり、入院の場合1日あたり、各500円の自己負担で医療機関を受診できます。

2010年、2013年、2016年と3期連続で健康寿命1位となった浜松市。R30ベンチャーにとっても、医療制度が充実していることは、大きな安心材料になりそうです。


日照時間が長く気候が温暖、都市の近くに豊かな自然も



「大都市の健康寿命」で1位になれた要因は、医療制度の充実だけではありません。そこには、過ごしやすい気候や自然豊かな環境も大きく関係しているでしょう。

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Image: 武田侑大

気候の特徴は、日照時間が長く温暖なこと。浜松市の年間平均気温は16℃くらい。冬でも滅多に雪は降りません。「 2017 年(平成 29 年)の日本の天候(PDF) 」によれば、日照時間は2368.7時間で、同資料内に紹介されている観測地点の中では3位。

移住したR30ベンチャーの先輩からは、「子どもがよく外で遊ぶようになった」といった声も聞かれました。

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Image: 武田侑大

・マリンスポーツやゴルフなどさまざまなアクティビティ

外で遊ぶのは子どもだけではありません。浜松市は全国で2番目の広さを誇る自治体で、海・山・川・湖と自然に囲まれています。その代表格である浜名湖や遠州灘は、マリンスポーツのメッカ。ウィンドサーフィンやビーチスポーツを楽しむ人で溢れています。

休日に趣味のサーフィンが気軽に楽しめるという理由で移住したベンチャー経営者もいるほどです。

また、浜名湖の近くには、マリンスポーツを楽しみながら仕事をするなど、ワークライフバランスを重視した働き方ができるシェアオフィス「浜松市舞浜サテライトオフィス」も。本連載の初回の鼎談を実施した場所でもあります。

ここは、浜松への進出を考えるベンチャー企業などが利用(入居)できる施設です。大都市と比べ賃料が安く、 最も安い部屋は4万2400円。さらに、市外からの進出企業は半額で使用ができます。

西の浜名湖以外にも、東は天竜川、南は遠州灘、北は南アルプスの山々など、四方を豊かな自然に囲まれており、四季折々の景色が満喫できます。

また、マリンスポーツ、トレッキング、ツーリング、サイクリング、ゴルフなど、さまざまなアクティビティを楽しむことも可能です。特にゴルフは、首都圏に比べると費用もお得。「移住してからその魅力にはまった」という人も多いそうです。

・公園の数も充実

アクティブ派でない人にとっても、浜松は魅力的な街です。浜松城天守閣がある「浜松城公園」や中田島砂丘に隣接して広い芝生広場がある「遠州灘海浜公園」、動物園とフラワーパークがある「舘山寺総合公園」など、子連れでのんびりできる公園が充実しています。市内の都市公園の数は、年々増加しているというデータもあります。

政令指定都市として充実した都市機能を持ちながら、クルマで少し走れば豊かな自然がある浜松市。実はこれ、ベンチャーの聖地、シリコンバレーの環境と似ているとも言われます。

シリコンバレーも周辺は豊かな自然や国立公園に囲まれており、休日にはトレッキングやアウトドアレジャーを楽しむ人が沢山います。そういった意味でも、浜松はR30ベンチャーのワークライフバランスにとって、非常に条件がいい環境といえるのではないでしょうか。

家賃や物価が安くて暮らしやすい


「快適な暮らし」を語る上で欠かせないのが、生活コストの低さです。生活にかかるお金では住居費が大きな割合を占めますが、浜松市と東京23区の賃料相場を比較すると、その差が分かります。

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※2018年10月時点の数字です
Image: 武田侑大

・家賃が安い

全国宅地建物取引業協会連合会の公開している「賃料相場」によれば、例えば、東京都新宿区で1K・1LDKを借りると平均賃料は8.5万円程度。これと同程度の金額で、浜松市中区なら3LDK、4K、4LDKの家族で住める家を借りることができます。

また、一般財団法人日本総合研究所が発表した、「20政令指定都市『幸福度』ランキング」によれば、「持ち家比率」2位となっていることにも注目です。

・物価が安い

生活コスト全般はどうでしょうか。平均消費者物価地域差指数(2017 年)によると、物価の全国平均を100としたとき、東京都区部は105.1、浜松市は98.1。例えば、月々、東京都区部で10万5100円の出費があるとき、浜松市では9万8100円で済むということです。

・交通の便も良好

その他にも、浜松で起業したR30ベンチャーならではのメリットがあります。それは交通費。取引先が大都市にあれば、東京や大阪、名古屋への出張があるでしょう。場合によっては、海外出張があるかもしれません。

浜松市は、東京と大阪のほぼ中心に位置しており、どちらにも1.5~2時間で到着可能。東北や九州で起業するより交通費を抑えられますし、なにより時間を有効に使うことができます。

また、北海道や九州、海外への出張でも、羽田まで2時間弱で到着できるといった地の利があります。




都市の利便性と自然の豊かさがほどよいバランスで融合した浜松市は、ワークライフバランスに優れた街。医療体制も整っており、物価も割安と、子育て世代のR30ベンチャーにとって多くのメリットがあります。幸福度1位も納得です。

もちろん、暮らしやすさだけなく、ものづくり関連企業が集まっていたり、東京や大阪といった大都市へのアクセスも良かったり、浜松バレー構想といった起業支援が手厚かったりと、「起業」という視点でも魅力的です。

「健康」で「快適な暮らし」を送りつつ、起業で自分らしい働き方ができる街、浜松。これから、福岡市のような、ベンチャー経営者が注目する街へと成長していくかもしれません。

次回は、浜松出身の起業家・株式会社ビズリーチの南壮一郎氏と、浜松市長・鈴木康友氏の対談をお届けします。乞うご期待!


Image: 武田侑大 ,ライフハッカー[日本版]編集部 via 浜松医療センター

Reference: 大都市の健康寿命, 全47都道府県幸福度ランキング2018年版, 浜松方式, メディカルバースセンター, 小・中学生医療費助成制度, 2017 年(平成 29 年)の日本の天候(PDF), 浜松市舞浜サテライトオフィス, 公園データ, 宅建協会, 平均消費者物価地域差指数(2017 年)

Source: 浜松市

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