勘三郎、初期の食道がん「神様が与えてくれた試練」

[ 2012年6月19日 06:00 ]

初期の食道がんであることを公表した中村勘三郎

 歌舞伎俳優の中村勘三郎(57)が初期の食道がんであることが分かった。18日、松竹と所属事務所が発表した。6月1日に受けた人間ドックで判明。現在、都内の病院に検査入院中で、9、10月に予定されている長男の六代目中村勘九郎の襲名披露興行は出演をとりやめる。昨年、突発性難聴で約半年間の休養後に舞台復帰した勘三郎は、スポニチ本紙の取材に「皆さんに心配をおかけして本当に申し訳ない。神様がもう一回修業しなさい、と与えてくれた試練だと思う」と話した。

 勘三郎は先月30日に57歳の誕生日を迎え、都内で親族や友人らによる誕生パーティーを開いた。明け方までドンチャン騒ぎ。その翌々日の今月1日、体のメンテナンスのため都内で人間ドックを受診した。検査の途中、麻酔でもうろうとしている中、遠くから「“がんが見つかりましたよ。神様に感謝してください”という医者の声が聞こえてきた」という。

 初期の食道がん。「最初は神様に感謝って、冗談じゃないよと思った。でも初期だからね、偶然に見つかって本当によかったんだよ」と話した。同時に検査した腸には異常は認められなかった。

 昨年1月、突発性難聴を発症し、半年間にわたり休養。7月下旬に長野県松本市での公演で本格的に舞台復帰。11月から今年5月までは、東京・浅草での「平成中村座」の7カ月ロングランを完走。楽屋では関係者に舞台のアイデアを次々と語るなど完全復活していた。突発性難聴でやめていた酒も、今年に入り徐々に“解禁”した。

 幸い8月までは歌舞伎の長期公演はない。ただ、9月には大阪・松竹座、10月には名古屋・御園座で長男の晴れ舞台「中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露」興行がある。治療・静養のため同2公演は休演する方向となり「出たかったけどね。ファンの皆さんに申し訳ないよ」と残念がった。

 12月の京都・南座と来年2月の福岡・博多座の勘九郎襲名披露興行を休演するかは未定。「なんで何度も何度も心配かけちゃうんだろうね。でも、神様が“もう一回修業しなさい”って与えてくれた試練だと思って治療に専念しますよ。一日でも早く元気な姿をお見せできるようにね」と早期の復帰を誓った。

 ◆中村 勘三郎(なかむら・かんざぶろう)本名波野哲明(なみの・のりあき)。1955年(昭30)5月30日、東京都生まれの57歳。父親は十七代目中村勘三郎。59年、歌舞伎座で五代目中村勘九郎を名乗り初舞台。05年、十八代目勘三郎を襲名。04、07年には米ニューヨークで平成中村座公演。歌舞伎のほかNHK大河ドラマ「元禄繚乱」(99年)に大石内蔵助役で主演。08年に紫緩褒章受章。1メートル65、65キロ。

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