国立大学職員日記
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■はじめに
 科学研究費補助金を受ける研究者は大きく分けると2種類に分類することができます。研究課題の責任者である研究代表者と、その研究代表者と協力して研究を行う研究分担者です。国立大学で行うような研究は科学研究費補助金に限らず研究協力者や連携研究者の存在が欠かせません。そのため必ずしも研究分担者が研究代表者の後塵を拝している訳ではありませんが、研究代表者は何よりもその研究の発案者であり、一定の責任を有する重要な存在と言えます。
 今回のエントリーはそんな科学研究費補助金の研究代表者が各国立大学に何人、そして全体の何割いるのかを調べてみました。後述しますが、対象となる科学研究費補助金はその研究種目を区別していません。そのため基盤Cだろうが基盤Aだろうが新学術領域研究の総括責任者だろうが、どの種目の研究代表者でも1人は1人として勘定しています。研究種目が与える社会への影響力うんぬんを考えると、どの研究種目の研究課題も等しく1つと扱うのは常に適切ではないかもしれませんが、各国立大学の教員数から比べた研究代表者数の割合は、一定程度、その国立大学の科学研究費補助金を初めとする研究活動に取り組む姿勢を反映していると思います。

■データの不正確について
 相変わらずデータは不正確ですが、今回の場合は特に次の事情によります。
 「研究代表者の人数」は「科学研究費助成事業データベース」の「平成24年度採択分(新規採択に限らない)」を全てCSVで出力し、この中の「代表者」の項目にあった機関名・職種から割り出しました。科研費申請に際して自分の所属機関や職種を入力し間違える例は少ないかと思いますが、「教授」や「准教授」ではなく「教員」という名称になっていたり、年度中の異動の情報がまだ反映されていないかったりと、必ずしも正確ではない部分もあります。今回は特に職種について、「教授」や「准教授」のように明確に記載されているもののみを抽出し、「教員」や「研究者」となっているものは捨象しています。また研究代表者が2名となっているものが30件程、3名となっているものが数件ありました。これらについてはそれぞれの代表者を1名と数えています。「教員」となっている職種や代表者が複数人いる研究課題は、本来であればその職種を調べたり、代表者の扱いも「2分の1名」「3分の1名」とすべきだったかも知れませんが、数万件にも及ぶ全体からみるとごく一部(せいぜい100件程度)だったため、このあたりのややこしい処理は避けることにしました。
 「各国立大学の教員の人数」はまだ平成24年度分で一覧になっているデータがなかったため、このエントリーを作る際に作成したデータから「平成23年度における職種ごとの教員人数」を使用しました。
 要するに「平成23年度の人数で平成24年度の科研採択数を計算している」という訳で、もう問答無用に不正確です。とは言え出来上がったデータを見るとある程度は参考にできそうな感じもするので、「科学研究費補助金の研究代表者が各国立大学にどのくらいいるのか知りたくて知りたくて仕方ない!」とまではいかなくてもちょっと興味がある方はご覧いただければ幸いです。

■全データ
 まず各国立大学の各職種のデータを掲載しますが、職種によっては「教員数0人」のはずなのに代表者が存在するなど、そのパーセンテージを算出できないところが多々あります。これは職種の入力間違いか、あるいは人数を算出する元となったデータに講師や助教の人数を入力していないことが原因かと思います。そのため、この後に乗せる「ランキング」では、このようなエラーが出ている「講師・助教・助手」のデータは抜かして確実にデータが揃っている「教授・准教授」のみのデータを利用しているので予めご注意願います。















■代表者割合ランキング(教授・准教授のみ)
 なお表中の「偏差値」は全国立大学における「割合」の偏差値です。

























































































■おまけ(教授・准教授の上位20機関ランキング)
(教授)


(准教授)




■おわりに
 ランキングにしてみると1位が「奈良先端科学技術大学院大学」で割合が100%を超えるという凄まじいものでした。つづく2位も同じく「大学院大学」である「総合研究大学院大学」。他2大学も併せて、「大学院大学」勢が上位に割り込みました。また旧帝7大学では「東北大学」が首位、続いて「京都大学」が続くという結果で、「東京大学」は代表者割合ではいつものランキングに見られる程は活躍しませんでした(ただ配分額では東京大学は平成23年度で1位を取っています)。
 全体的に見て「研究活動に特に力を入れている国立大学」が上位に来ている印象がありますが、いかがでしょうか?今回のランキングは「割合」を調べるものなので、配分額では見られない特徴が現れたのは非常に良かったと思います。
 そういえば平成24年度の「科学研究費補助金の配分額ランキング」をまだ作ってなかったですね。下記にあるPDFをまとめれば簡単に作れるので、時間をみつけてやっておこうと思います(あるいは誰か作っておいてくれると助かります)。

参考:平成24年度科研費(補助金分・基金分)の配分について


コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
Unknown (replica watches)
2016-05-12 15:55:30
全体的に見て「研究活動に特に力を入れている国立大学」が上位に来ている印象がありますが、いかがでしょうか?今回のランキングは「割合」を調べるものなので、配分額では見られない特徴が現れたのは非常に良かったと思います。
 
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