米アマゾンが割安「キンドル」 広告入れ端末安く
まずGMやビザ
【シリコンバレー=奥平和行】インターネット小売り最大手の米アマゾン・ドット・コムは11日、広告表示機能を備えた電子書籍端末「キンドル」を米国で発売すると発表した。価格は従来より25ドル安い114ドル(約9600円)に設定し、5月3日に出荷を始める。広告収入を見込んだ割安価格で端末の普及を加速させる狙いだ。
同日から自社サイトで購入予約の受け付けを始めた。広告付きの「キンドル・ウィズ・スペシャルオファーズ」として発売する端末は昨夏に発売した現行の製品と基本的な性能は同じで、6型の電子ペーパーや充電なしで最大1カ月の利用が可能な電池などを搭載する。
広告は端末に保存した書籍名などを表示する「ホームスクリーン」の下部や、読書を休止している際に表示する「スクリーンセーバー」の形で挿入する。第1弾として米ゼネラル・モーターズ(GM)やクレジットカード大手の米ビザなどが広告を出すことを決めた。
アマゾンは新端末の購入者を対象に、自社の製品・サービスなどを割安価格で提供する。20ドル分の商品券を10ドルで購入できる権利のほか、音楽ファイル「MP3」の販売サイトでアルバムを1ドルで購入できるサービスなどを提供。端末を自社の販売促進の道具としても活用する。
2007年にキンドルを発売したアマゾンは電子書籍端末の普及を先導してきた。米国でのシェアは6割程度とみられ、ソニーや書籍販売大手の米バーンズ・アンド・ノーブル(B&N)などに大きな差を付けている。最大手のアマゾンがさらなる価格競争を仕掛けた格好となり、競合他社も対応を迫られそうだ。
また、これまで売上高の大半を物品販売に依存してきたアマゾンが広告事業に本格的に乗り出すことにより、米IT(情報技術)業界の競争の構図に変化が生じる可能性もある。アップルやグーグルなどはスマートフォン(高機能携帯電話)など持ち歩くことができるIT機器を舞台に広告の獲得競争を繰り広げており、アマゾンもここに参戦する形になる。
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