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三橋貴明の新刊、続々登場!
チャンネルAJER更新しました。
『中庸① 』三橋貴明 AJER2011.12.13(3)
『中庸②』 三橋貴明 AJER2011.12.13(4)
今回は「中庸」に関するお話。
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李白社から新刊「大恐慌情報の虚(ウソ)と実(マコト)」発売しました!
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昨日は、三橋経済塾及び「2011年 年末カジュアルパーティ(忘年会)」にご出席頂いた皆様、ありがとうございました。素敵なゲストにもお越し頂き、楽しんで頂けたのではないかと思います。
再び、ドイツ国債(10年)の金利が2%を下回り、1.85%になりました。
残りの四天王の長期金利は、日本が0.99%、アメリカが1.85%、スイスが何と0.71%となっています。ユーロがやたら揺れ動くため、ドイツ国債の金利は先日まで2.3%に上昇していましたが、フランスなどの格下げ問題を受け、あっという間に下落しました。結局のところ、ユーロという通貨にしても「投資先がない」という問題は同じという話です。
さて、気持ちが悪いくらい長期金利が下がっているスイスですが、以下のような記事が配信されました。
『金とスイスフラン、もはや安全資産でない=UBS
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE7BF05O20111216
スイス大手銀行のUBSの最高投資責任者(CIO)Alexander Friedman氏は16日、金とスイスフランがもはや安全資産とならない、との認識を示した。
同CIOは顧客向け書簡で「2012年に入ると、金もスイスフランも安全資産のステータスを維持しない」と指摘した。
同CIOは、スイス中銀が9月にスイスフランの対ユーロ相場の上限を設定したことにより、スイスフランが、米国債や日本国債などを含む安全資産のリストから実質的に外れた、と述べた。
一方、金については、状況は若干複雑とし「投資家は、大規模の流動性主導の売りが出ている時に安全資産の役割を果たすことを期待して金を購入すべきでない」と指摘した。』
念のため、「スイスフラン」が安全資産ではないとUBSは言っているわけで、スイス国債ではありません。
スイスフランが「安全資産」でなくなるという根拠は、もちろんスイス国立銀行が「1ユーロ=1.2スイスフラン」という為替レートの上限を設定したためです。1ユーロ=1.2スイスフラン以上のフラン高は認めないと、露骨なことをスイス国立銀行が宣言したため、スイスフランは少なくとも対ユーロでは価値の上昇の上限が決まってしまったわけです。それはもちろん、安全資産のリストから外す必要があるでしょう。
『スイス中銀、Sフランの対ユーロ相場上限を1.20フランに維持
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE7BE00L20111215
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は15日、スイスフランの対ユーロ相場上限を1ユーロ=1.20フランに維持すると発表した。市場の一部では、スイス中銀が自国通貨安をさらに進める可能性があるとの観測がささやかれていた。
ただ、経済見通しが悪化した場合にはさらなる措置を講じる方針を明確にした。
スイスフランの3カ月物LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の目標は「ゼロ%近く」に維持した。
来年については緩やかな成長を予想。インフレ率は小幅のマイナスになるとの見方を示した。
中銀の声明は「現在でもスイスフランは依然高い水準にあり、時間とともに下落すべきである。中銀は、経済見通しとデフレリスクの観点から必要であれば、さらなる措置を取る用意がある」としている。(中略)』
そりゃあもう、長期金利が0.71%というもの凄い水準に下落しているわけですから、スイスのデフレ「も」相当に深刻化しているわけでございます。ちなみに、スイスのインフレ率(CPIベース)は2010年が0.7%、2009年がマイナス0.48%でした。立派なデフレでございます。
また、スイスは「金融立国である」とステレオタイプな見方をしている人が多く、それは必ずしも間違っていないのですが、完全に正しいわけでもありません。何しろ、スイスは貿易収支とサービス収支が共に黒字化している、珍しいタイプの経常収支黒字国なのです。
【スイスの経常収支、貿易収支、サービス収支、輸出額の推移(単位:十億ドル)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_36.html#Swith
図の通りスイスは02年以降、貿易収支とサービス収支が共に黒字化しています。さすがに、収支でみるとサービス(金融や観光など)の方が多いですが、輸出額自体は財の方がサービスを圧倒しているのが分かると思います。
スイスのGDPは、2010年に5237億ドルでした。同年の財の輸出は2585億ドル、サービスの輸出は836億ドルでした。すなわち、スイスの財の輸出対GDPは49.4%、サービスの輸出対GDPは16%ということになります。
すなわち、スイスは日本(輸出依存度13%程度)とは比較にならないほど、外需依存の経済になっているわけです。これでは、国内がデフレで実質金利が高まり、ひたすらスイスフランが上昇していくような局面において、中央銀行が、
「スイスフランの対ユーロ相場上限を1ユーロ=1.20フランに維持する」
と、無茶な宣言をしたくなったとしても、不思議ではありません。
だからと言って、変動相場制の資本主義国が為替レートの上限を設定しても構わないという話ではありません。スイスはまあ、経済規模がそれほど大きいわけではないので、世界経済に与える影響はそれほどでもないですが、同じことを日本がすることはできないし、するべきでもないという話です。
日本までもが「為替相場の上限」を宣言した日には、世界は冗談抜きで「通貨安戦争」のただ中に放り込まれることになります。ただでさえ、世界は中国という問題児を抱えているのです。
日本はスイスはもちろん、中国と比べてさえ輸出依存度が小さい、内需大国です。内需大国において、デフレが進行し、さらに円高が進んでいる。日本政府が何をするべきなのかは、火を見るよりも明らかであり、それは決して「経済構造」が異なるスイスと同じではないのです。
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