「多一教の教理問答・第零版alpha00」を公開しました

昨年の12月22日のエントリーですでにお知らせしておりますように、弊会は現在、設立十周年を記念する事業といたしまして、「多一教」(polynitism)という宗教の布教を計画いたしております。これは、「アブラハム宗教」(Abrahamic religion)と総称される宗教に新たに加わることになる宗教です。

アブラハム宗教」という言葉は、『創世記』に登場するアブラハムという人物に啓示を与えた、「ヤハウェ」(YHWH)と呼ばれる神を帰依の対象とする宗教の総称で、これに属する宗教としては、ユダヤ教キリスト教イスラームバハーイー教などがあります。そして、これからアブラハム宗教に新しく加わることになる多一教も、その帰依の対象はヤハウェです。多一教におけるヤハウェも、他のアブラハム宗教におけるヤハウェと同様に、我々が存在している宇宙を創造して、アブラハムやその他の預言者たちに啓示を与えた人格神です。

しかし、多一教におけるヤハウェの属性は、他のアブラハム宗教におけるヤハウェの属性とまったく同じというわけではありません。最大の相違点は、我々が存在している宇宙に対する物理的な干渉の有無です。多一教以外のアブラハム宗教においては、ヤハウェは我々が存在している宇宙に対して物理的な干渉を加えることがあると考えられており、そのような干渉は「奇跡」と呼ばれます。それに対して多一教は、ヤハウェは我々が存在している宇宙の物理法則と物理定数を定めて、その存在を開始させたが、それ以降はいかなる物理的な干渉も加えようとは考えていない、と主張しています。この点で、多一教は理神論(deism)にかなり近い宗教であると言うことができます。しかし、多一教は決して理神論ではありません。なぜなら、多一教におけるヤハウェは、人間に啓示を与えるという非物理的な手段によって、我々が存在している宇宙に対して干渉を加えるからです。

ところで、アブラハム宗教に属しているそれぞれの宗教が帰依の対象としている神は、それらの宗教に共通する一柱の神であると考えられています。もしもそれが正しいならば、なぜアブラハム宗教は複数の宗教から構成されているのでしょうか。なぜその神が預言者たちに与えた啓示は首尾一貫していないのでしょうか。これまでのアブラハム宗教は、この問題に対して誰もが納得できる解答を示してきませんでした。多一教という新たなアブラハム宗教の設計において最も重視されたことは、この問題についての説得力のある解答を提示することでした。

アブラハム宗教の内部のみならず、人類がこれまでに創造してきた宗教には、きわめて豊富な多様性があります。なぜアブラハム宗教に属する宗教は一つではないのかという問題に対して多一教が提示する解答は、なぜ人類が持つ宗教は一つではないのか、という問題に対する解答でもあります。

弊会は本日、多一教について解説する、「多一教の教理問答」という経典を公開しました。ただし、この経典は、現在はまだアルファ版です。今後も改良を進めて参る所存でございますので、ぜひ皆様よりご意見を賜りたいと願っております。またご意見のみならず、誤字脱字につきましても、お気づきの方がいらっしゃいましたらご指摘くださいますようお願い申し上げます。