バッテリーを食わない、位置情報アプリの開発キット

普及していない位置情報サーヴィスの一因は、バッテリー消費量の大きさにある。同社のSDKを使えば、30秒ごとにユーザーの位置情報を取得するアプリでも、バッテリーの電力をほとんど消費せずに済むという。
バッテリーを食わない、位置情報アプリの開発キット

スカイフック社は、位置情報サーヴィスに起因するバッテリー問題を解決したいと考えている。写真は同社のSDKを利用したapp「MapQuest」

スカイフックという米国の企業が、モバイルアプリ開発用の新しいSDK (ソフトウェア開発キット)をリリースした。

このSDKは「ジオフェンシング(geofencing)」や「アンビエント・ロケーション・トラッキング」などの技術を利用するアプリ開発用で、モバイル端末の弱点ともいえるバッテリー消費量の低減を狙ったものだという。

今年春のSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)では、「Highlight」や「Glancee」といったスマートフォンアプリが大きな話題を呼んでいた。どちらもユーザーの位置情報を追跡し、自分の居場所を知り合いなどに知らせるというものだが、この位置情報の取得のためのセッションが常にバックグラウンドで行われているため、バッテリーの消費が激しいことが指摘されていた。いまのところ、どちらのアプリもそれほど普及していないが、その一因がこのバッテリー消費量の大きさにあるという声もあがっていた。

スカイフックのテッド・モーガンCEOも同意見で、「バッテリーの問題が大きな障害になって、こういったアプリは多くのユーザーを獲得できずにいる」 と述べている。

スカイフックが米国時間18日にリリースした同社の最新版モバイルSDK(ver4.6)では、この問題の解決をねらっている。このSDKのなかに含まれる**「Always-On」** という機能を使えば、30秒ごとにユーザーの位置情報を取得するアプリでも、バッテリーの電力をほとんど消費せずに済むという。

こうしたことが可能になる理由について、モーガン氏は次のように説明している。「このSDKの機能を使うと、ユーザーがある場所にチェックインした時点で、周囲8〜16kmほどの場所にあるすべてのWi-Fi接続ポイントや携帯基地局に関する情報をダウンロードして、端末内に保存するようになる。その後はいちいちネットワークに接続しなくても、ユーザーの位置を確かめられる」(モーガン氏)

「それに対して、他社のSDKでつくったアプリの場合、位置情報の確認のために毎回サーヴァーに接続する必要がある。そうしたプロセスを最適化できれば、バッテリー消費量をかなり抑えられる」(モーガン氏)

スカイフックの技術は以前、iPhoneで使われていたこともあった。また、そのほかにソニーやサムスン、レノボ、デル、HPなどの製品でも、同社の技術が使われている。さらに、マップクエストやカヤック、グラインダーなど、すでに数百社の開発者がスカイフックのSDKを使ってアプリを開発しているという。

TEXT BY ALEXANDRA CHANG
PHOTO BY ARIEL ZAMBELICH/WIRED
TRANSLATION BY 中村航

WIRED NEWS 原文(English)
※この翻訳は抄訳です