2010年12月2日

漢字の活字字体の典拠『康煕字典』のiPad用電子書籍を新発売


パーソナルメディア株式会社 (代表取締役:松為彰、本社:東京都品川区、電話:03-5759-8303、資本金1,000万円) は、日本の漢字の活字字体の典拠とされている漢字字典『康煕字典(こうきじてん)』の「安永本(あんえいぼん)」を、iPad用の電子書籍として本日2010年12月2日より販売開始いたします。『康煕字典 安永本』(iPad版)の価格は税込4,800円で、App Store にてご購入いただけます。

『康煕字典』は中国で作られた漢字の字書です。中国の「清(しん)」の時代に、四代皇帝康煕帝(1654生~1722没、1661年即位)の命により、張玉書(ちょう ぎょくしょ)、陳廷敬(ちん ていけい)ら30人が約5年を掛けて編纂し、康煕55年(1716年)に完成しました。

康煕字典は、明治以来の漢字の活字字体の典拠であるという意味で、国語学的には極めて重要なものとされています。2010年11月30日に内閣告示された新しい常用漢字表の中でも、明治以来行われてきた活字の字体とのつながりを示すために、参考としていわゆる康煕字典体が添えられています(*1)。常用漢字表に含まれない漢字も、基本的には康煕字典の字体を拠り所とするように、2000年12月の国語審議会などで答申されています(*2)。また、多くの漢字字典や漢和辞典の部首や配列は、康煕字典の方式に基づいています。

しかし、康煕字典は現在国内の出版社からは販売されておらず、中国関連の専門書店や古書店などでしか入手できないのが現状です。そこで、パーソナルメディアでは、比較的低価格で手軽にご利用いただける電子書籍版の康煕字典を開発し、商品化することにいたました。

康煕字典には過去にいくつかの版が作られています。このたび採用した「安永本」は江戸期日本で翻刻(ほんこく)されたもので、初版は中国の康煕字典発刊の64年後、安永9年(1780年)に刊行されました。日本の康熙字典考証の先駆けである都賀庭鐘(つが ていしょう)の「字典琢屑(じてんたくせつ)」の一巻が追加され、全41巻で構成されています。日本人が読みやすいように、親字に読み方がカタカナで補われ、訓点と送り仮名を振った木版を新たに起こしてあるので、専門的な知識が無くても比較的読みやすいのが特長です。

『康煕字典 安永本』(iPad版)では、「安永本」の全ページを収録しているほか、「目次・部首一覧」から各巻の該当ページに直接ジャンプするリンク機能を設けています。また、康煕字典の全収録文字をパソコン用の文字(*3)で書き起こした「収録文字一覧」が付属しているので、康煕字典の字形と現在の漢字の字形とを比較して確認できます。

当社は、電子書籍による新刊書の出版や既刊書の電子書籍化はもちろん、これまでのソフトウェア開発ノウハウを活かした電子書籍向けの技術開発や、電子書籍のメリットを活かす新しいコンテンツビジネスの構築など、電子書籍に関する製品開発や関連事業を積極的に展開していく予定です。



(*1)
2010年11月30日内閣告示第2号「常用漢字表」
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokujikunrei_h221130.html
「常用漢字表(平成22年11月30日内閣告示)」の「表の見方及び使い方」の6に、康煕字典体への言及があります。
(*2)
2000年12月8日国語審議会答申等「表外漢字字体表」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/12/kokugo/toushin/001218.htm
(*3)
Windows等で利用可能な文字コードであるUnicodeでは、康煕字典の多くの文字を表現することができません。そのため、この収録文字リストは、BTRON仕様の多漢字パソコン用OS「超漢字」と、その文字フォント(GT書体フォント)を用いて作成されています。また、収録文字リストのデータ作成には、「超漢字」用のアプリケーションとして販売されている「超漢字康煕字典」を利用しています。なお、『康煕字典 安永本』(iPad版)のご利用にあたって、「超漢字」は必要ありません。

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