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『コレキヨの恋文①』三橋貴明  AJER2012.4.10(3)

『コレキヨの恋文②』三橋貴明  AJER2012.4.10(4)

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4月28日に、鳥取で講演会「日本の明日はどっちだ!?地域経済活性化について語る 」が開催されます。
【日時】平成24年4月28日(土)午後2時~3時30分
【場所】鳥取県立生涯学習センター 県民ふれあい会館
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 エンターテイメント経済歴史小説、「コレキヨの恋文 」、長谷川慶太郎氏との対談本「日本と世界はこう激変する 大恐慌終息へ!? 」、日本の資本主義を語る「悲観論に踊らされるな! ニッポン経済集中講義 」発売になりました!




 本日はさくらじに出演します。また、チャンネル桜「報道ワイドウィークエンド」のキャスターとしても登場いたします。
 【告知】#29 「コレキヨの恋文」三橋貴明 登場!
http://www.sakura-tv.com/blog/
 さくらじは、一般の方もチャンネル桜にお越し頂き、生でご視聴頂くことが可能ですのです。興味がある方は、どうぞ。


 さて、国民経済において供給能力(潜在GDP)が需要(名目GDP)に追い付かない状況の場合(つまり、現在の日本の逆です)、インフレギャップが発生します。デフレギャップとは異なり、インフレギャップは放っておいても埋まります。すなわち、インフレ率上昇と貿易赤字拡大によって。(参考:現在の日本の電力産業)


 インフレ率が上昇し、実質金利低下で為替レートが際限なく下落していき、それでも物やサービスの輸出を増やさず、貿易赤字、経常収支の赤字を拡大していき(要は国民が働かないと)、さらに↑この状況でも社会保障支出など政府支出を削減しないと、その国の政府は国内の貯蓄不足から「外国からお金を借りる」を拡大していきます。それが行き着くところまで行くと、「政府のデフォルト」という最終的な破綻状態に至ります。


 すなわち、現在のギリシャです。ギリシャは誠に典型です(「財政破綻への道」を説明する場合において)。


【ギリシャのインフレ率・経常収支対GDP比率(単位:%) 】
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_37.html#GIC


 上図の通り、ギリシャは90年代半ばまで、高インフレ率&経常収支赤字に苦しめられていました。とはいえ、これはギリシャ国民がインフレギャップがある状況にも関わらず、投資や生産、サービスの供給を増やさなかったためで、ある意味で必然です。


 そういう意味で、現在のギリシャに対しIMFなどがワシントン・コンセンサスに基づいた各種の「構造改革」を強制しようとしているのは、正しいと言えなくもないのです。但し、ギリシャがバブル崩壊後のデフレ局面になければ。


 ところで、90年後半から、ギリシャはユーロ加盟を目指し、インフレ率が抑制されていきます。そして、ユーロ加盟後は何しろ中央銀行の機能をECBに委譲しましたので、ギリシャのインフレは見事に抑制されました。


 ところが、別にユーロに加盟したからといって、ギリシャのインフレギャップ(供給能力不足)が解消したわけではありません。インフレ率を強制的に抑制した分、貿易赤字が拡大し、経常収支の赤字はむしろ膨らんでいきました。08年のギリシャの経常収支の赤字は、対GDP比で15%。日本で言えば、45兆円もの経常収支赤字状態に陥ったわけです。


 経常収支赤字は国内の貯蓄不足なので、ギリシャ政府は当然(?)、社会保障などを維持するために、外国からのお金(共通通貨ユーロ)の借入を増やしていきました。つまり、ユーロ加盟でインフレが抑制された分、経常収支に皺寄せがいき、政府の対外債務は積み上がっていったわけです。


 結果、最終的にギリシャは政府の対外負債の返済不能、すなわちデフォルト状態に陥ったわけですが、現在はむしろ国内の需要(名目GDP)急収縮から物価上昇率がマイナスになりかねないという恐ろしい状態に陥っています。国民経済の収縮(所得減少)により、インフレギャップが解消されつつあるのです。


 しかも、物価上昇率がマイナス(2012年予測)になる可能性が高いにも関わらず、長期金利は高騰したままです。無論、ギリシャに金を貸していたのが「国際金融市場」であり、政府が国内の過剰貯蓄を借り入れていた(日本のケース)わけではないためです。何しろ、ギリシャは経常収支赤字、つまり過小貯蓄状態が続いているのです。


 結局、ギリシャのユーロ加盟は、同国の根本的な問題(供給能力不足からくるインフレギャップ拡大)の解決にはならず、問題を複雑化、かつユーロ圏に拡散させてしまっただけ、という話ですね。


 このギリシャのユーロ加盟を推進したのが、同国の経済学者であるルーカス・パパデモス氏でした。パパデモス氏は現在はパパンドレウ政権の後を引き継ぎ、ギリシャの首相を務めており、ギリシャのユーロ残留をかけた総選挙に挑むことになります。


ギリシャ首相:総選挙は5月6日-ユーロ残留かかる闘い開始
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M2BHRR6KLVR801.html
 ギリシャのパパデモス首相は5月6日の総選挙実施を宣言した。1300億ユーロ(約13兆7900億円)規模の救済とユーロ圏残留がかかった選挙に向け闘いの幕が切って落とされた。
 首相は11日、アテネでの閣議で閣僚らに議会を解散し5月17日に再招集すると伝えた。首相は11日中にパプリアス大統領に会い、総選挙に向けた手続きを正式に開始する。ギリシャの救済受け入れからほぼ2年後の総選挙となる。日程はフランス大統領選挙の決選投票とも重なる。
 記者団に配布された閣議の記録によると首相は「5カ月前に誕生したこの政権が目標を達成した。われわれは次の選挙で誕生する政権にバトンを渡さなければならない」と語った。パパデモス首相はギリシャの第2次救済を確保するため昨年11月に指名された。
 世論調査によれば、2大政党であるサマラス党首の新民主主義党(ND)とベニゼロス党首率いる全ギリシャ社会主義運動(PASOK)はいずれも安定多数を得られない見込み。選挙の結果、政治的不安定が生じ緊縮策実践が頓挫、救済が得られずユーロ離脱の脅威につながる恐れもある。
 5年目になる景気縮小の中でギリシャ国民の支持は細分化し、最大8党が定員300の議会で議席を獲得する可能性がある。
 新政府は2013-14年で約120億ユーロ相当の歳出削減策を取りまとめ、新議会が13-16年の新たな中期計画を6月に採決する必要があるとパパデモス首相はこの日述べた。パパデモス政権が第2次救済を確保するために発表した措置に加えた緊縮策となる。 』


 繰り返し書いていますが、現在のギリシャがユーロに残留し、各種の緊縮財政を受け入れた場合、名目GDPと政府の税収の減少を招き、状況が悪化していきます。すなわち、ユーロ離脱以外にギリシャがが採るべき道はないように思えるわけですが、離脱したらしたで、ギリシャ国民がきちんと働き、投資を積み重ね、輸出(ギリシャの場合はサービスの輸出)を拡大しない限り、大元の問題は変わりません。


 結局のところ、国民経済の本質は「国民がきちんと働き、投資を積み重ね、需要を満たすこと」に尽きることが分かります。
 そういう意味で、現在の日本のデフレが続き、各種産業の供給能力が毀損し(すでに電力、建設などが国内の需要を満たせなくなっています)、かつてのギリシャのような高インフレ、貿易赤字恒常化に陥ることを心の底から怖れます。実は、現在の財政破綻論者が殊更に我が国の財政問題をクローズアップさせ、適切な対策が実施されるのを妨害し、デフレと供給能力毀損を促進することこそが、まさに「ギリシャへの道」そのままなのです。


日本はギリシャのようになる! 増税だ! 政府支出削減だ!」 


 と、財政問題に絡んで見当違いなことを叫んでいる人たちの影響力が高まれば高まるほど、日本が本当にギリシャへの道を歩むという、まことに皮肉な事態に陥っていることが分かります。



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