長いもので、僕がブログを書きはじめてからもう8年になる。
僕はちょうどブログ・ブームみたいな時に書きはじめた。
2005年辺りである。
いまの大御所のブロガーも大体2004年〜2006年ぐらいの時に書きはじめているような気がする。
それ以前にも、自前のシステムでブログを書いていた人たちもいたのだが、ライブドア・ブログなど、一般人が簡単にブログをはじめられる環境が整ったのが、だいたい2004年ぐらいだったと記憶している。

さて、ブログである。
僕が思うに、最近、ブログを書いている人が減ってきていると思うのだ。
大御所はいまでも書き続けているし、実は前よりもますます書いていたりするのだが、ふつうの人がブログを書くことが減っていると思う。
正確に統計を取ったわけでないし、統計を正確に取れるわけでもないのだが、とにかく実感として、最近はブログを書いている人が少なくなったとような気がするのだ。
少なくとも、僕は大御所のブロガー以外、ほとんど読まなくなってしまった。
そこで今日はそのことについて考えたい。

まず、僕が思うのは金銭的なインセンティブである。
2004年〜2006年辺りは、何だかんだいって、ブログを書いていれば将来食えるようになるかもしれない、という薄っすらとした希望が、ブロガー界隈に漂っていたように思える。
ブログを書き続けていれば、ページビューが増えて行き、アフィリエイトなんかでそれなりに利益が出るんじゃないか、という希望をふつうのブロガーまでが共有していたと思うのだ。
いまは月のアフィリエイト収入が3000円ぐらいでも、このままインターネットが成長して、自分のブログも成長していけば、30万円とまではいかなくても、ひょっとしたら15万円ぐらいは儲かるかも、という淡い期待があった。
だから、儲かってないブロガー、つまりほとんどのブロガーも夢を抱いて、けっこうがんばってブログを書いていたような気がする。
それが2007年とか2008年辺りで、ブログの収益性というのがだんだん明らかになってきた。
2009年とか2010年辺りで、確かに、ブログで食っていける人がちらほら出てきたのだけれど、そんなものは100人に1人どころか、1000人に数人レベルの話であることが、多くのブロガーにわかってしまった。
こうして多くのブロガーに、将来ブログを書いて食っていけるかもしれない、という想いが、どれほどの難易度の話なのかわかってしまい、少なくとも金銭的な希望を失っていったのかもしれない。

ふたつ目は、SNSの流行である。
ブロガーがもしかして儲かるかもしれないという淡い希望を抱いていたのは、多分真実だとして、それでもそれ以外にブログを書くインセンティブはあった。
同じ興味を持っていると人と知り合いたいとか、そういうことだ。
また、単に、自分の言いたいことを言いたい、という欲求もあったはずだ。
しかし、こうした用途には、ブログよりもFacebookとかTwitterの方が、向いていることがわかり、グログを書いていたふつうのブロガーたちは、ブログの更新頻度を減らし、どんどんSNSの方に向かっていったのだと思う。

みっつ目は、大御所ブロガーの固定化である。
ブログ・ブームから10年近い年月が経ち、各分野のアルファ・ブロガーがほぼ決まってしまったような気がする。
こうしたアルファ・ブロガーはすでに多数のファンを抱えており、安定したページビューがあり、さらにブログをきっかけとして雑誌などに連載したり、本を書いたりして、安定した収入源になっていたりする。
つまり、ひとつ目の理由であげた、1000人のなかの数人の人たちの話だ。
この人たちは、ブログを書けばたくさんの人に読んでもらえて、多くのフィードバックがあり、その上で、金銭的な報酬まであるのだ。
だから、ブログを書くということが持続するし、むしろますますインセンティブが強化されるのである。
もともと強い人がもっと強くなる。
基本的に、自由なマーケットでは、勝者はもっと勝者になり、格差はどこまでも開いていくのだ。
こうなると、ふつうのブロガーはますますインセンティブがなくなる。
1970年台なら、家のガレージでコンピュータを作ってビジネスにしようと思えたかもしれないけど、いま家のガレージでコンピュータを作っても誰も相手にしてくれない。

それでも僕はブログを書くことを薦めたい。
まず、ブログはいまでもネットワーキングにとても役に立つからだ。
たとえば見ず知らずの人に会うとして、やっぱり変な人だったら怖いのだけど、その人がブログを書いていて、ちょっとメールのやり取りでもしていたら、ぐっと安心感は高まる。
つまり、ブログを書いていると会いたい人に実際に会える確率ははるかに高くなる。
それにブログを書くということは、自分の頭にあるコンセプトをしっかりと文章にしないとけないわけで、ここでものすごく理解が深まる。
つまり、仕事でも趣味でも、ブログに書くことによって、非常に学習効果が高まるのだ。
最後に、ブログは、需要のある専門分野なら、まだまだ儲けることができる。
ブログを書いて、たとえば月に数万ページビューまで行けば、そこそこのアフィリエイト収入(数万円ぐらい)になるだろうし、有料メルマガなど、最近ではマネタイズできる方法もいろいろある。
そこまで行くのはそこそこ大変だけど、その過程でネットワーキングにもなるし、自分の学習にもなるのだから、悪い話じゃない。