日本発売前の新iPod touchを徹底分解! iPhone 4より本当にお買い得かを丸裸に大検証...

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    日本発売前の新iPod touchを徹底分解! iPhone 4より本当にお買い得かを丸裸に大検証...

    脱がさなきゃ分からないことだってある!

    iPhoneに対するiPod touchの位置づけって何なんでしょうか? そんな素朴な疑問に答えるべく、徹底的に丸裸にしてベールに覆われた謎を解明してきたiFixitが、早速ですが、いよいよこれから日本でも発売されるリリースしたての新iPod touchをバッサリと斬りまくってくれましたよ。見えないとこまで見せちゃいます~

    やっぱりiPod touchは販売価格が安いので、おっ、これはiPhone 4を買うよりもお得なんじゃないかって気持ちになってしまいそうですけど、最終的な購入決定の前に、まずはちょっと今回の徹底分解レポートを十分にチェックしておいてくださいね。必ずしもiPhone 4のほうが値段が高すぎるなんてことはないかもしれませんよ...

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    やってまいりました。これが新たにパワーアップを遂げ、iPhone 4と同じくRetinaディスプレイを搭載して生まれ変わったiPod touchですよ。アンボックス前のパッケージって、なんとも眺めているだけでもワクワクしますよね。ついにiPod touchにも前面と背面へデュアルカメラが装備されたのは非常に大きな魅力です。これより開封して、その魅力あふれるiPod touchの奥の奥まで迫っていくことにいたしましょう!

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    ところで、iPod touchには8GBモデル(229ドル/2万900円)と32GBモデル(299ドル/2万7800円)と64GBモデル(399ドル/3万6800円)の3種類のラインナップがありますけど、この中で最もお買い得なのはどれでしょうか?

    まぁ、あくまでも1GBあたりの値段をドルベースで換算したものですけど、最もお得なのはハイエンドの64GBモデルですよ。だって、1GBあたり6.23ドルで買えちゃいますからね。最も販売価格の安い8GBモデルなんかに飛びついちゃうと、実は1GBあたりの換算値段は28.63ドルまで跳ね上がっちゃいます。そんなにストレージ容量は気にしないからとにかく安くって人は別ですけどね~

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    今回、新しくなったiPod touchには、これまでの第3世代モデルとは異なり、Dockコネクターの左側にスピーカー保護グリルがお目見えしていますよ。やっぱり目玉機能の1つである「FaceTime」ビデオ通話への対応もあって、スピーカーフォンとしてのパワーアップが狙われた感じでしょうかね。

    それと、こうして新旧両モデルのiPod touchを並べてみると分かりやすいですが、第4世代のiPod touchは、iPhone 4にも似た、よりフラットなバックデザインとなっています。さらにスリム化が進んだことも一目瞭然ですよね。

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    iPod touchに新装備されたRetinaディスプレイの解像度は640×960ピクセルとなり、これまでのモデルの320×480ピクセルよりも4倍の解像度アップが図られましたよ。右側が今回発売されたiPod touchですが、Retinaディスプレイって電源オフの状態だと、ほぼ完璧なブラックカラーになっちゃいますね。

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    さてさて、こちらが初めてiPod touchに搭載されたフロントカメラでございます。どうやらiPhone 4と同じくVGAクオリティーの動画および静止画が撮影できるようになっているみたいです。

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    一方、こちらが背面に装備されたカメラですが、フロントカメラとは異なり、iPhone 4より大幅にレベルダウンしたカメラとなっています。すでに先のファーストインプレッションレポートでも詳しくお伝えしましたように、背面カメラの解像度は960×720ピクセルで、70万画素しかないことが判明しており、iPhone 4の5メガピクセルの背面カメラからはグッと劣ってしまいますよね...

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    いざ分解作業に入る前のクローズアップはこの辺で終了しまして、いよいよiPod touchの深部へ解体して迫っていくことにいたしましょう。まずはヒートガンで本体を温めまして、接着部を溶かしにかかるとしましょうか。

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    そもそも自らiPod touchをこじ開けて丸裸にしていくだなんて、アップルのサポートでも想定外の荒技ですから、ここから先は、これまでに数々の解体作業をこなしてきたiFixitならではの、多彩なこじ開けツールなんかも必要になってきますよ。プラスチック製のオープナーツールを用いて、最初に各接着面を剥がしにかかりましょう。

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    いままでも各世代のiPod touchの徹底解体に挑んできたiFixitならではの感想ですけど、この新しい第4世代モデルは最も簡単にパカッと本体が開いたんだそうです。この先も同じようにスムーズに開く構造だったら、いろんな修理や交換作業がしやすいんだけどなって言われています。まぁ、いともたやすく開いたのなんて、例によってここまでの話だけでしたけどね~

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    ディスプレイ部分とロジックボード本体を結ぶのは2本のケーブルです。このうち1本は軽々と外せましたけど、もう1本を外す作業から一気に難航し始めましたよ。つまり、本体ケースを開くところまでは簡単でも、その先のディスプレイ交換作業でさえ、そう簡単には自分で自由にできないってことですね...

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    次に現われるのは電磁波対策のEMIシールドですが、こちらはフィリップスネジを数本だけ外せば本体部分から取り除けましたよ。このEMIシールドが、意外と重かったので驚きです。iPod touchの全体重量が101gとなっているのに対し、EMIシールド部分のみで11gも占めちゃっています。iPod touchの10%以上はEMIシールドの重さから成っているということですね。

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    EMIシールドを取り除くと、その下からバッテリーが姿を現わしますよ。ただ、このスペースを見ていただくとお分かりでしょうが、もうギッシリとパーツが詰まっており、空いているスペースなんてなさそうです。当初はFaceTimeの搭載に合わせて、iPod touchに着信を知らせるバイブレーション機能が備わるだなんて言われてましたけど、現在ではアップルからも正式に同機能の実装が否定されちゃっています。バイブレーターなるものも、今回の分解作業では発見できませんでしたね~

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    新発売のiPod touchは、音楽再生ならば最高で連続40時間可能なバッテリーが備わっていると発表されていました。なかなかのバッテリーの持ちですよね。消費電力量は3.44Whとなっていましたよ。

    これまでの全世代のiPod touchと同様に、しっかりと新モデルでもバッテリーはロジックボードへとはんだ付けされています。バッテリー交換すら容易には自分で行なえないってことですね。ただ、第3世代の前モデルと比較しますと、ややはんだ付けは作業しやすそうな感じですけどね...

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    こちらはヘッドフォンジャック部分なんですけど、珍しいことに、コネクターとネジ止めのみで、ロジックボードへのはんだ付けはされていませんでしたよ。ヘッドフォンジャックは交換しやすいというわけですね。ちなみにFoxconn製とのラベル表示がありましたよ。

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    本体ケースからロジックボードとバッテリーを取り外していくことにいたしましょう。最も難しかったのは、ロジックボードにはんだ付けされ、ケースには接着剤でくっついているヘッドフォンとスリープボタンのコントロールリボンケーブルでしたね...

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    さて、だんだんと新iPod touchの実性能が分かる部分に到達してきましたよ。ディスプレイ部分の厚みは2.93mmでしたね。当初はiPhone 4と全く同じRetinaディスプレイが搭載されてるんだって思われたりもしてましたけど、iPhone 4のディスプレイ部分の厚みは3.05mmとなっており、さすがはスリムボディーにこだわったiPod touchの方に軍配が上がりましたね! ちなみに、これまたスモールサイズに生まれ変わったiPod nanoのディスプレイ部分の厚みは2.27mmと、iPod touchよりさらなるスリム化が達成されていましたよ。

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    新iPod touchとiPhone 4では、同じようなRetinaディスプレイが搭載されてはいるものの、その性能が異なるという一例を挙げてみましょう。下側がiPod touchなのですが、ローアングルから眺めた場合にコントラストが違って見えてくるのが分かりますよね。どうやらiPod touchのRetinaディスプレイは、IPS方式ではないのではって噂が流れてますよ。

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    続きまして、こちらがロジックボードから取り外された背面のカメラ部分です。近接エリアには新たにiPod touchでも装備されるようになったマイクがありましたよ。

    さて、この背面カメラにつきましては、すでにチェック済みですが、70万画素レベルでオートフォーカスではない、明らかにiPhone 4との落差を痛感させられる仕様になっていますが、このカメラパーツのサイズを見れば納得です。6.5×6.5×3.3mmというサイズは、はるかにiPhone 4よりも小さくなっており、同じ高性能なカメラを搭載するスペースは、スリムボディーにこだわる新iPod touchには、とてもじゃないけど備わっていなかったことが分かりましたよ。ただ将来的には、きっとこのスリムスペースにだって、もうちょっと高性能なカメラが搭載される日も来るって信じて待ちたいと思います...

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    一方、こちらはフロントカメラですが、iPhone 4と同じ解像度や性能を持ちながらも、本体サイズは4.9×4.9×2.5mmとなっており、これまたiPhone 4のフロントカメラよりも、わずか0.3mmではありますけど薄く、さらなるスリムデザインとなっていましたよ。

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    これはおそらくWi-Fiシグナルの受信に用いられるアンテナです。フロント部分のディスプレイ周辺に備え付けられていましたね。どうやらヘッドフォンジャックの周囲には、別のアンテナもあるようです。

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    いよいよ新iPod touchの心臓部が見えてきましたよ。中央のレッドラインで囲まれたパーツは、Apple A4プロセッサーですね。ただパッケージ部分には「K4X2G643GE」の表示があり、これはiPadに搭載されているのと全く同じ表示です。つまり、ちょっとショックなポイントになりますが、メインメモリの容量はiPadと同じ256MBということが判明しちゃいましたよ! えぇっ、iPhone 4と同じ512MBではなかったんですね...

    その右のブルーラインで囲まれているのは、東芝製のNANDフラッシュメモリーとなっています。こちらはSamsung製のNANDフラッシュメモリーが搭載されているiPadとは一線を画していますね。

    一方、左側のオレンジラインで囲まれている部分には、おそらくWi-FiおよびBluetoothチップモジュールが入っていると思われます。RAMを増設してメモリーのパワーアップを図れそうなスロットなんかは、当然ながら見当たりませんでした~

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    さて、ロジックボードの反対側には左のレッドラインで囲まれた部分に「338S0859」という表示のチップが見当たりますね。これはどうやらiPhone 4にも搭載されていた、Cirrus Logic製の「338S0589」オーディオコーデックと同種のチップではないかと考えられています。

    また、中央のイエローラインで囲まれている部分には、これまたiPhone 4に搭載されているものとほぼ同じ「AGD8 2032」ジャイロスコープがセットされていましたよ。その右のオレンジラインで囲まれた部分には「2032 33DH」チップが搭載されています。iPhone 4でも、この同じチップがジャイロスコープと一緒にパッケージングされていたんですよね。

    ちなみにその下に見えるのは、30ピンのDockコネクター部分です。くっきりと判別可能ですよね。

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    こちらはiPod touchのスピーカー部分です。そんなに音質は良くないかもしれませんけどね...

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    あれれ? この白いプラスチックのピースは何なのでしょうか? どうも空いちゃったスペースに埋め込まれているとしか思えませんよね~。これが何なのかは最後の最後まで謎のままでしたけどね...

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    いかがでしたか? 新発売のiPod touchを丸裸にしてみたからこそ見えてきたものがたくさんありましたね。見なかったほうが良かったこともあったのかもしれませんが...

    だって、きっと第4世代のiPod touchは通話機能を外しただけのiPhone 4にも匹敵するだなんて大絶賛の評価が当初は飛び出したりしてましたけど、現在では米GIZMODO編集チーム内では、はるかにiPhone 4を購入するほうがお買い得だって結論で一致を見るようになっていますよ。iPhone 4よりもメインメモリーが半減し、カメラの性能はガタ落ちし、微妙にRetinaディスプレイの性能も異なって、おまけに噂されていたFaceTimeのバイブレーション通知機能まで幻と消えたのであれば、これってどこまでお買い得なんでしょうか?

    まぁ、そうは言っても大幅に前世代よりも進化を遂げたiPod touchになっていることだけは間違いありませんよ。どこまで何を求めるのかによって、iPhone 4にすべきか、iPod touchにすべきかの選択は変わってくるでしょうね。きっと発売直後は超品薄なんでしょうけどね~

    [iFixit]

    Rosa Golijan(原文/湯木進悟)