新聞であまり取り上げられなかった民法見直し案があった 偽造防ぐ「自筆証書遺言」って何だ?

新聞であまり取り上げられなかった民法見直し案があった 偽造防ぐ「自筆証書遺言」って何だ?
新聞であまり取り上げられなかった民法見直し案があった 偽造防ぐ「自筆証書遺言」って何だ?
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 高齢化社会などに対応するため、遺産相続のあり方について検討してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会が、相続関係の民法改正の要綱案をまとめた。新聞などでは被相続人(死亡者)の配偶者を優遇する「配偶者居住権」の新設などが大きく取り上げられたが、要綱案には自筆証書遺言についても大きな変更が盛り込まれている。何がどう変わるのか-。

遺言

 昨今の終活ブームで、遺言への関心が高まっている。日本財団が平成28年3月に実施した調査によると、おおよそ3人に1人が「遺言の作成は必要」と考えていた。

 遺言を文字通り「遺志を生きている家族らに伝えるために遺す言葉」と捉えるならば、生前にICレコーダーに録音しようが、ビデオで撮影しようが、SNSに書こうが特段の問題はない。ただ、遺言を作る目的によっては、話がややこしくなる。

 日本財団の調査で、「遺言の作成は必要」と考えていた人にその目的を複数回答で尋ねたところ、「相続時のトラブルを避けるため」が47・7%でトップ。次いで「相続時の手続きを楽にするため」が42・4%だった。

 相続など、もめごとのタネとなりそうなことを遺言する場合、遺言に法的な効力を持たせる必要がある。そして民法には、法的効力を持つ遺言の方式が定められている。種類は複数あるが、一般的なのは法律のプロである公証人が作る「公正証書遺言」と、今回の要綱案に見直しが盛り込まれた「自筆証書遺言」だ。

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