この度、筆者は6日間の間、Chrome OSネットブックを自分のメインマシンとして使ってみたそうです。これがなかなか貴重な体験であり、気付かされたことが多くあったとのこと。
Chromeのみのシステムで作業していくのは、良い意味でも悪い意味でも「かろうじて仕事が片付けられる」ラインギリギリのスペックなのですが、逆に、生産性を上げるためにはどうしたら良いのか? について、改めて考える良い機会になったそうです。
きっかけとなったのは、次のChrome OSが搭載されたGoogleの「Cr-48ネットブック」をテストパイロットとして使える幸運が巡って来たこと。ネットブック自体はさほど不都合を感じずに使えるモノで、持ち運ぶには最適なパソコンだとか。米Gizmodoのジェイソン・チェン記者のレビュー(英文記事)とおおまかなところでは同意見です。
Cr-48はまだ発売されておらず、この手のネットブックを欲しいと思うかどうかは人それぞれだと思います。Chromeを全面的に受け入れる体勢を取ることも可能ですが、自分用のChromium OSビルドのインストールもできます。
今回のこの記事は、近い将来主流になるかもしれない、ウェブフォーカスのインスタントオンシステムを搭載した、ネットブック生活の一つの記録として読んでもらえるとよいかと思います。
■Chromeのみという選択の利点ブラウザとその他の設定がちょこちょこある程度のパソコンを、何を好き好んで選ぶのか? といった疑問は、自然と湧き上がってくるものです。これには多くの理由が挙げられますが、今回は下記のポイントに絞ってお話していきます。
仕事をすると言っても自分の場合、コードをコンパイルすることもCADを使うこともありません。Twitter、IM、メールを使う場合、世の中には様々なアプリが溢れんばかりです。自分が必要としているものが、ちょうどよく収まっている感もあり、Chrome OSは多くの面倒くさい作業からユーザを解放してくれます。
ソフトウェアの更新もしなくて良く、アプリはほとんど一瞬にしてインストールされ、Chromeテーマやプロフィール写真以外のカスタマイズはほとんどありません。OSのインストールすら不要です。もちろん色々なものがない代わりに、ウェブは必ずそこにあります。そのウェブが仕事の邪魔をするもっとも大きな原因だったりするわけですが、Chromeの場合、システムを最適化しているふりなどが無意味なので、横道にそれにくいです。
テキストメッセージを送信したり、ちょっとYouTubeで動画を見たりなどの作業は、携帯電話でも十分なのですが、ノートを取ったり、返信が遅れているメールを返したりなどの作業をする場合は、どうしてもパソコンでやりたいと思ってしまいます。
ですが、ネットブックを常に持っていれば、うちに帰ってからあのメールの返信をしようというのは、言い訳になりません。Cr-48では、ビルトインワイヤレス接続を使っての100MBまでのデータ通信を無料で行なえます(アメリカでの話)。
作業前にあれをググらくてはといった場合、いつでもググって作業を開始できるので、やりたくない時に責任を他に押し付けず、やりたくないという、自分のいたって人間的な感情と向き合えます。
■Chrome OSで実際の作業って可能?
ここからは実際の作業についての話をしていきます。Chrome OSを使って仕事はできるものなのでしょうか?
筆者の6日間ずっとChromeを使用したというのは、冗談でもなんでもありません。米Lifehackerの仕事も、メールもフリーランスの書き物も、全てCr-48で行なったそうです。これはオンラインでの書き物作業、簡単な画像編集、Gmail/Google Voiceを使ったVoIPコール、ボスとのIMチャット、その他フィードのチェックなどといった作業全般のことです。
いくつか例外があり、Windows/Macでブラウザのテストを行なう必要があったので、その時は、Chrome以外のパソコンを触りました。ですが、ほとんどの人はブラウザやソフトウェアのテスト、比較などをする仕事をしていないはずなので、こういった問題には直面しないかと思います。Chromeだけで仕事をし、生活するためのアドバイスを下記にまとめてみました。
オンラインライフをシンプルにするべく行動したからといって、それは、友達や親戚、職場の仲間達にとっては知ったこっちゃないことです。なので、自分のオンラインライフをシンプルに保つためには、彼らからの要望にちゃんと応じられる必要があります。
- オフィス文書は、Google Docsで大抵の場合開けます。アップロードボタンをクリックし、ファイルをDocs形式に変換すればOK。
- その他のよく分からない文書、画像、アーカイブ、圧縮ファイルなどのほとんどは「Zamzar」で変換できます。変換された結果をメールで送ってくれるので、Gmailを使っている場合クリックするだけで、大抵の問題が解決します。
- Chrome OSからはファイルの解凍ができません。100%の確信はないですが、できないんだと思います。トライしてみてもできませんでした。そういった場合は「WobZip」を使えば、ZIP、7z、RAR、.tar.gzなどの圧縮ファイルへのアクセスが可能になります。
プリンタが常に近くにあるとは限りません。よって、画面上で作成したものを、ハードディスクやオンラインサービスへ保存しておく必要がどうしても出てきます。
- 「Aviary Screen Capture」拡張機能がかなり優秀で、エディタやレベルの選択などができます。Photoshop風の画面エディタ、そして、さらに軽量なMarkup Editor(デフォルトでキャプチャ画面を開く時に起動、そこから他へ転送)があり、Flashがあんまり好きでない、またはちょっと修正するだけ、という場合にはHTML5ベースのエディタもあります。
- 「Sumo Paint」も、Photoshop風のかなり優秀なツールです。公式Chrome版はないのですが、「OpenIT Online」拡張機能を使うと、右クリックメニューからSumo、または他のサービスへ画像を送れます。「Picnik」拡張機能も、画像送信をツールバーボタンから可能にしてくれるのですが、Cr-48で使ってみたところ、使い心地は正直いまいちでした。
- そして忘れてはならないのが『Dropbox』。他で保存したファイルを開いたり、プレビューするのにもDropboxアカウントは必須です。非公式Chrome拡張機能があるのですが、これはツールバーに携帯スタイルのDropboxドロップダウンメニューを追加してくれ、画像・音声・文書などが簡単に開けるようになります。
「Cloud Print」がもっと浸透していく、または、常にプリンタに接続されているデスクトップがあるという場合以外であれば、ブラウザのプリント機能として、PDFを活用していくことになるかと思います。表示しているページをPDFで保存してくれる「Web2PDFConvert」などの拡張機能があるので、それをGoogle DocsやDropboxへアップロードしましょう。
フリーでスピーディーなWi-Fiが捕まる場合は良いですが、制限付きのスマートフォンデータプランからのテザリングなどの選択肢しかない場合、翌月に請求額を見てびっくり仰天したくないものです。そのためには、お気に入りのサイトなど、頻繁に開くサイトの携帯版をブックマークしておきましょう。携帯版は、通常「m.○○○○.com」または「mobile.○○○○.com」となっているはずです。検索の際も、検索結果の中からキャッシュリンクをクリックすれば、画像をダウンロードすることなくテキストだけ確認できます。
同様に、Cr-48はFlashが苦手なので、Flashやその他のプラグインを「クリックして再生」に設定、または「FlashBlock」などの高度なフィルタリングアプリをインストールして、広告や動画がプロセッサーへかける負担を軽減できます
GmailやGoogle Docs以外のアプリも、オフラインアクセス可能なものが今後どんどん増え、いつでもどこでも利用できるようになるはずですが、現状ではブックマーク以外でオフライン作業可能なものは、さほど多くありません。オフラインストレージなどはかなり便利ですが、それ以外だと「Scratchpad」がオススメです。これはオンラインでもオフラインでも使えるノードパッドで、Google Docsラベルへの同期も行なってくれます。オンラインで入力する際には、キーストロークいくつか毎に保存されるので、データがなくなってしまう心配もありません。ぜひ、フル画面モードで試してみて下さい。ミニマリストな書き物スペースでバックアップもコンスタントに行ってくれるので、重宝するかと思います。
今回、Chrome OSについて、ざくざくっとご紹介しましたが、まだこのOSは未知数なので、補足や訂正、ご意見、感想などありましたら、どしどしお寄せ下さい!
Kevin Purdy (原文/訳:まいるす・ゑびす)