【第1回】「初音ミク」ブームに火を付けたのは、誰?(その1)
「初音ミク」。
今やその名前を聞いたことのない人の方が少なくなってきたかも知れないトップアイドルの名前。
ロンドンオリンピックの開会式で歌を歌ってほしい歌手、世界1位。
世界的アイドルとなった初音ミクを、こんなに有名にしたのは誰?
ニコ動文化論研究室、記念すべき第1回目の話題はこれにしてみましょう。
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「VOCALOID」。それは、歌を歌ってくれるソフトウェア。
ニコニコ動画をよく見る人で、それを知らない人はいないでしょう。
そのVOCALOIDシリーズの中で、抜群の知名度を誇る製品が初音ミクです。
初音ミクはここで今更説明するのも不要なほど、世界でとっても多くの人が知っている「アイドル」になりました。
しかし、この初音ミクがブームになった経緯を説明できる人が、この世界でどれだけいるでしょう?
おそらく、世界で何人もいないはずです。
今、いわゆる「ボカロ廃」としてカラオケではボカロばっかし歌います!なんて人も、細かい経緯までは言えないんじゃないかな。
そこで!かつてニコ動でランク厨だった私のような人がすらすらっと説明しよう!
というのがこの研究のコンセプトです。
【序章:初音ミクに、時代が追いついた】
ニコ動が(γ)になった時(smilevideoという自前の動画サーバーになってから)から、
初音ミクが登場するまでは、若干の期間のズレがあります。
そのズレていた時期のことっていうのは、ミクの歴史を取り扱った既存の記事では、あまり触れられることがなかったはずです。
しかし、私はこのズレていた時期の分析をきちんとしないと、
「初音ミクが流行った理由」を説明できないと思います。
初音ミクは、未来型のアイドルだと思います。
語弊を招く言い方かもしれませんが、そもそもミクは「人じゃない」。
あくまで、音楽ソフトウェアでしかないのです。
そんな存在の初音ミクがブームになれたのは、そんなアイドルが誕生できる土壌・歴史があったからです。
2007年3月6日から、2007年8月31日まで、たった半年だけど、
ニコニコ動画には初音ミクが根を下ろせるだけの、土壌・歴史が積もっていたのです。
いわば、初音ミクに時代が追いついた。
その追いついた時代のことを説明しなければ、ミクが流行ったことは説明できない。ボクはそう思います。
そんなことなんて、重要じゃないんじゃないの?
そう思う人は、ちょっと考えてみてほしいのです。
もし仮に、ニコニコ動画がなかったとしたら、初音ミクはこんなに有名になれたでしょうか?
次回のエントリーでは、そのへんの土壌の話をしたいと思います。