震災のあった長野県栄村を取材してきました

本日4月23日、長野県の栄村に伺ってまいりました。『週刊SPA!』内にて、経済学者・飯田泰之と共に担当している連載コーナー「週刊チキーーダ!」の取材に加え、わずかばかりではありますが、寄付を行うためです。




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「もう一つの被災地」「忘れられた震災」とも呼ばれている栄村ですが、現在ではいくつかのメディアがとりあげ、支援の輪も広がりつつあります。今回は、NPO法人栄村ネットワークさんのご好意により、栄村の現在の様子を取材する機会をいただきました。取材をするからには、その模様をより多くの方の目に触れるお手伝いをしなくてはなりません。記事は後日発売の『SPA!』に掲載されますが、雑誌版の記事とは重ならない範囲で、インタビューの一部概要と写真を掲載したいと思います(雑誌もお読みいただければ嬉しいです)。


栄村には31集落あり、そのうち、4〜6つの集落が大震災により大きな被害を受けたといいます。写真は、被災してから40日ほどたった現地の模様です。下の写真は、村のトンネルを抜けてすぐの道路を撮影したものです。大きな地割れがおこり、ガードレールごと歪んでいるのが分かります。





↓その道路のすぐ脇にある建物は、地面が大きくえぐられ、建物が浮き、道路から離れてしまっています。




↓家屋に貼られているのは、その危険度合いなどを記した判定ステッカー(調査済・要注意・危険)です。この建物は「赤色」ですので、「危険」ステッカーということになります。



↓山に向かう道路が土砂崩れをおこしていました。ただし現在は片道分が既に片付けられ、通行が可能な状態です。





↓川のあったところに行くと、岩が多く転がっています。この岩は元々あったものではありません。




↓山の赤い丸で囲った部分が大きく削られ、土石流となって一気に流れてきてしまったといいます。土石流は、あっという間にやってきました。「土石流警報」もあるにはあるそうですが、本当に数十秒でかけおちて来るため、「この規模の土石流だと、心の準備にもならない」とおっしゃっていました。



この土石流が何メートルも積み重なったことで、写真のような岩山となっています。この岩山の下は雪なので、雪が溶けていつまた崩れるかわかりません。



↓大きく歪んでしまっている住居がたくさんありました。



↓住居だけでなく、牛舎(肉用)も大きな打撃を受けました。






この牛舎の主人の方にお話を伺ったところ、餌をあげることもできなくなってしまったので、元々いた200頭あまりの牛は全て手放したそうです。立て直すにもお金がかかり、撤去するにもお金がかかる。この年になって借金を抱えてやりなおすというのも難しい、と困っておられました。


↓その牛舎の屋根は、大きな余震が起こればいまにも滑り落ちてきそうな状態のままになっています。



↓畑も甚大な被害を受けました。



栄村は、住人のほとんどが農家を営んでおり、水路が立たれたり田畑が荒れたことが大きな問題となっています。しかし、4月下旬現在ですらまだ雪が多く残り(例年より雪解けが遅いそうです)、地面がまだ露出していないため、被害の全貌を確認することもできていません。水路・パイプなどは、今年中にすべて復旧するのは難しいのではないか、とおっしゃっていました。


↓40日間の間に、急いで修復された道路もあります。



↓集落の方が集まる公民館の中を見せていただきました。




といっても、入り口が埋まっていて入れないので、案内をうけ、窓から入らせていただきました。中では多くのものが倒れています。




↓壁も倒れてしまっています。



奥に行くと、二階がそのまま落ちてきてしまっています。




屋根も倒れているので、階段の先が覆いかぶさって何も見えません。



農業が中心となる地域にとって、公民館はとても重要な役割だと伺いました。集落の農業には共同作業も多く、種を植えたり収穫をする時期の相談など、とにかく「集いの場」が必須です。そうした集落の中心となる公民館が破壊されたのは特に大打撃なので、一刻も早く修復しなくては、とおっしゃっていました。


NPO法人栄村ネットワーク代表の松尾真さんによれば、今は被災直後のごたごたは抜け、これからどう復興するかにむけて動きだしているとのことでした。最初は「忘れられている」という焦りもありましたが、ようやくそれも収まりそうだといいます。しかし、直後の混乱は収まれど、復興への資金、行政の対応、産業への打撃など、課題は山積みです。復興に向けて、長期的な被災地支援が必要になります。


栄村大震災についての詳しい情報は、以下のブログに掲載されております。募金の受付先なども掲載されているので、ぜひお読みください。特に、ブログに既に書いているにも関わらず、物資やボランティアについての問い合わせが多くあることは負担にもなっているようでしたので、問い合わせなどをする前にブログで確認をすることは怠らないほうがいいと思います。


栄村復興への歩み(NPO法人栄村ネットワーク)
http://sakaemura-net.jugem.jp/


取材終了後、お礼を伝え、寄付金を手渡した際、松尾さんに「現地でお金を落としていってね♪」と言われたので、地元のおみやげをいくつか買わせていただきました。トマトジュースは1ケース買い、取材スタッフと山分けしました。ありがたく、おいしくいただきたいとおもいます。



トマトジュースのアップ。地震によって缶は凹んでいますが、味にはまったく影響なし!おいしいです!




※『SPA!』誌面では、松尾さんのインタビューなども掲載する予定ですので、発売の際にはご確認いただければ嬉しく思います。掲載は、今日から「次の次の号」になります。発売の際にはツイッターでも告知させていただきます(http://twitter.com/#!/torakare


【参考URL】
このページで知った人も多いはず。「栄村大震災-アンサイクロペディア
http://bit.ly/gCBilN


多くの写真が掲載されています。「長野地震(M)6・7被害の様子【長野県 栄村】」
http://matome.naver.jp/odai/2130003171547749101


新潟県の被災状況にも注意が必要です。「津南町十日町市地震被害【新潟県 中越地方 震度6弱】」
http://matome.naver.jp/odai/2130009196148347601


栄村のツイッターアカウントです
http://twitter.com/#!/sakae_vill


インタビュー動画や画像が豊富。「栄村おこし」
http://touhokukantoudaishinsai.com/index.html


以前、『SPA!』で栄村を取り上げた記事。「マスコミが報じなかった もう一つの『東日本大震災』」
http://spa.fusosha.co.jp/feature/number00014398.php