若者よ、アジアのリーダーを目指せ!

少し前にテレビ番組(ガイアの夜明け)の感想として「女・若者・中国人」という記事(こちらです)を書いたところ、その番組にでていらしたコンサルタント会社よりご連絡を頂き、資料を送って頂きました。

番組にでていらしたのは、南富士産業株式会社の杉山定久社長です。もともとは静岡県三島市にある屋根工事専門企業ですが、35年前から杉山社長が中国に本を寄付するなどの活動を続けておられ、今は中国で経営塾を開いていらしたり、中国に進出する日系企業の支援もされています。

送って頂いた資料には、ハングリー精神に溢れ、優秀な中国人の若者のエピソードがたくさんでてきます。ちきりんも中国人留学生の優秀さはよく見知っているのでこの意見には全く賛成です。


それらの資料の中でちきりんの目を引いたのは、杉山社長の私塾(GMC=Global Management College)についての“プロ経営者集団の人的ネットワークを形成することを目指しています”という記述です。

一国内ではなくアジアというより広い地域で、様々な事業に携わる経営者達がネットワークを作れば、そこからまた新しいビジネスの可能性もでてくる、そういうネットワークの構成員となる「アジアの頭脳」を育てたい、ということのようです。

それをみて2年前に「アジアの結束そろそろ」というエントリを書いたことを思い出しました。ちきりんは、この地域(アジア)にこれから必要になるのは、アジア地域を舞台として育ち、この地域の問題解決に関心をもち、その動きを(国家を超えて)地域レベルで率いていくことのできるリーダーだと思っているんです。(具体的な内容については「アジアの結束」エントリをご覧ください。)


GMCは「経営者ネットワーク」なので、ちきりんの考えていたものとはやや違うようにも見えますが、ちきりんの考える“アジア社会のリーダー達”も、その大半はビジネス領域出身のリーダーになるだろうと想定しているので、基本は同じと感じました。「アジアン・リーダーズ・ネットワーク」というイメージです。


たとえばちきりんの考える「アジアのリーダー」像はこんな感じです。

(1)最低、アジアの二つの国で教育を受けている。
(2)最低、アジアの二つの国に1年以上、住んだことがある。短期滞在を含めればより多い国の経験がある。
(2)母語+英語+母語以外のアジアの言語、の3カ国語でコミュニケーションができる
(3)自身の組織を率いた経験がある。(=経営者、NPOリーダーなど。会社員、公務員以外の経験)
(4)自分が率いる組織の事業領域が最低でもアジアの2カ国以上にわたっている。
(5)ビジネスやイニシアティブを通じて、「アジアの問題解決」に関心がある。


アジアの複数の国で育つ、もしくは大学院進学や留学などで複数の国で教育を受け、働き初めてからアジアの複数の国で事業を体験し、早い段階で“自分の組織”を率いる経験をした人が、30代、40代くらいで、自己の事業に加えて「アジア地域の問題解決」に自然発生的にリードをとりはじめる。(=アジアン・パブリック・イニシャティブ)そして、アジア各国出身のそういう人達による「コミュニティ」が形成される、というイメージです。



世界を見ると、
・アメリカ大陸=USAの独裁モデル (→カナダとメキシコは諦め。南米は反発)
・欧州大陸=地域リーダーモデル
・アフリカ=地域リーダー不在モデル
・アジア=?
という感じなんだけど、アジアに関しても欧州的な地域リーダーモデルを追求するのが、地域全体の発展や住んでる人の幸福につながるはず。(中国独裁モデルとかヤでしょ?)


でも「リーダー」とか言っても、いきなり人の上に立つ、みたいなことを考える必要はないんです。それはフィリピンでオンライン英会話学校を開いた、みたいなところから始まるかもしれないし、日本で起業してるビジネスを少しずつ中国や韓国に広げていく、みたいなパターンでもいい。企業から派遣されて中国やアジアに数年駐在した人が、どこかで退職して自分でなにか始めてみる、でもいいと思う。

大事なことは「一定年数をこのエリアに投資する」という意思と、「個人として自分で立っていること」です。


時間っていうのはやっぱり大事なんだよね。1年では絶対に終わらない使命があるから。最初に書いた杉山社長は35年間も中国にコミットしてこられたとのこと。そこまでいかなくても最低10年のコミットは必要かも。10年間、アジアの複数の国に住むか、事業をするか。もちろん“学ぶ”の期間を含めてもいいんだけど、この地域にコミットする、という意思が必要。でもまあ20代の人ならもちろん、30代の人でも十分間に合います。

もうひとつは、個人として自分で立つこと。国の境を超えて地域の人になれ、という話をしているわけだから、特定の会社だの組織だのに忠誠を尽くしてます、この線を越えたら上司の判子が必要です、では話にならない。自分が腹をくくったら決められる、という人じゃないと、他の(他国の)リーダー達のネットワークに入れない。だから「自身の組織を率いている」という項目を入れました。



まっ、そんな感じで、いつものようにとりあえず煽っときましょうかね。


若者よ、アジアのリーダーを目指せ!


特に、今既に日本で起業してる人。「日本で成功」とかじゃなく、最初から「アジアで成功」を目指して欲しいでやんす。 → 関連過去エントリ、「輸出を想定せずにつくられたもの」


そんじゃーねー