『OS X Lion』がMac App Storeにお目見えし、正式にリリースされましたが、Snow Leopardからアップグレードした人は、現時点で実際にどれくらいいるのでしょうか? 米Lifehackerの読者から「今すぐアップグレードすべきなのか?」という相談が届きました。

Lionは、機能もインターフェイスもSnow Leopardとは異なるので、悩む気持ちも分かります。今回は、今すぐアップグレードした方がいいかどうかを、それぞれの理由を元に検証してみましょう

 ■アップグレードした方がいい理由

正式リリース前に「OS X Lionの目玉的な新機能とアプリ」をご紹介しましたし、リリース後にも「OS X Lionの注目ポイントを総まくり」しました。これらの新機能と使い勝手のレビューを読んで、今すぐMac App Storeで買わねば! という気持ちになった人も多いかもしれません。Macをどのように使っているかによって、アップグレードした方がいいかも変わってきますので、アップグレードした方がいいタイプを中心に、以下に理由をご説明していきましょう。

SSDドライブのMacユーザー

Snow Leopardでは、SSDドライブを安全で長持ちさせる機能がありませんでしたが、LionはビルトインでTRIM機能をサポートしています。これだけでも、2,600円払ってアップグレードするだけの価値があるかもしれません。


ハードディスクに大事なデータが入っているMacBookユーザー

ドライブ全体を暗号化したいノートパソコンユーザーや、『TrueCrypt』のようなソフトを使わずにOSのセキュリティを確保したい人は、アップグレードした方がいいでしょう。こちらも同じくLionにしかできないことです。Lionの「FileVault 2」は、Macのドライブ全体を暗号化できるので、MacBookやMacBook Airのセキュリティをより強固にした状態で使うことが可能です。暗号化や非暗号化を同時に行えたり、Macの暗号化キーを即時消去するインスタントワイプ機能があったりと、かなり便利に機能改善されています。


iCalとMailのヘビーユーザー

Appleのビルトインアプリのうちいくつかは、ユーザーエクスペリエンスがかなり向上し、使いやすくなっています。特に、「iCal」の一週間のうちで空いている日を教えてくれる「heat map」や、「火曜の夜は友だちとご飯」など、自然な言葉でイベントが素早く追加できる機能は良いです。

「Mail」もカンバセーション・ビューが導入され、より使いやすくなりました。機能の向上自体は大したものではないかもしれませんが、これらの機能で仕事の流れが大きく変わりそうな人は、アップグレードしてもいいのではないでしょうか。


250以上の小さな新機能

Lionに追加された250以上もの小さな新機能は、一つ一つがアップグレードの理由にはなり得ないかもしれませんが、すべてを使えるようになればユーザビリティは著しく向上するでしょう。例えば、近くにいる他のMacユーザーにドラッグ&ドロップでファイルを送ることができる「AirDrop」も、機能自体は少ないアプリですが、とても便利です。他のMacユーザーと、P2PのWi-Fiネットワークを構築するかのようです(WindowsとLinuxには使えません)。FInderの新しい整列ボタンや、フォルダにファイルをグルーピングして入れられる機能なども、小さいながらも本当に使える新機能です。このような機能が250以上も使えるというのは、アップグレードの理由になると思いますよ。


Lionのインターフェイスはより整理されて、目にも楽しく、使いやすくなっています。アップグレードは簡単で面倒なことはありませんから、新しいOSにすぐに慣れさえすれば、2,600円の金額に見合うのではないでしょうか? ちなみに米lifehacker編集部のほとんどは、そのうちアップグレードしようと思っているそうです。

■アップグレードはもう少し待った方がいい理由

上記のようにMacを使っている人を除けば、Lionへ今すぐアップグレードする必要がない理由もあります。LionとSnow Leopardのスピードテスト」をしたところ、Lionが特別速いという訳ではありませんでした

それに、多くのアプリはまだLionに完全に対応していません。未対応のアプリはかなり数がありますし、新しいOSに対応した直後はバグや問題も多いです。自分の使っているアプリがLionに対応しているか、アップグレードする前に間違いなくチェックしておいた方がいいでしょう。

Lionの目玉新機能「オートセーブ」や「バージョン」や「再開」などが、上に登場しなかったことにお気づきの人もいるでしょう。米Lifehacker編集部が使ってみたところ、これらの目玉機能は、実際には期待通りの働きをしていないとのこと。基本的に、使っているとまだイラッとするような状態です。

「バージョン」は、古いバージョンが必要な時に元に戻すために、ファイルのバージョンをすべて保存するので、Lionは安全性のためにファイルをロックします。よって、自分でファイルを保存する時には、OSが保存する前にファイルのロックを解除しなければならないのです(しかも毎回!)。

再開は、Macを終了する前にセッションを保存してくれる機能ですが、パソコンを終了する前や再起動する前にアイテムを保存するかどうか、未だにその都度確認されます。これでは本当に時間の無駄です。また、いくつかのアプリをフルスクリーンで使ってみましたが、Macのパフォーマンスがガタ落ちしました

最終的には、すべてのMacユーザーがLionにひれ伏す日が来るのでしょうが(なにせ百獣の王ですし)、近々バージョン10.7.1 もリリースされるようですし、今すぐ何がなんでもLionにアップグレードするべき理由というのは見つかりません。ただ、それまで待てない! という人は、アップグレードしてもいいと思います。

すでにLionにアップグレードした人は、その使用感はいかがでしょうか? アップグレードして良かったこと、悪かったことなどがあれば、コメント欄にご記入お願いします。また、まだアップグレードしないという人は、よかったらその理由を聞かせてください。

Melanie Pinola(原文/訳:的野裕子)