写真●福島県飯舘村が村民に配布したタブレット端末。NTTドコモの「Optimus Pad」に独自のメニューを組み込んだ(飯舘村役場提供)
写真●福島県飯舘村が村民に配布したタブレット端末。NTTドコモの「Optimus Pad」に独自のメニューを組み込んだ(飯舘村役場提供)
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 東京電力福島第1原発事故の影響によって、ほぼ全村民が避難中の福島県飯舘村は2012年8月8日、タブレット端末を活用した「村民の声ネットワークシステム」の本格運用を開始した。避難によって離ればなれになった村民同士や、福島市内に臨時移転中の村役場と村民の間のコミュニケーションを円滑にし、避難中のコミュニティー機能を維持するのが狙いだ。

 本格運用に先立ち、飯舘村は約2500台のタブレット端末(写真)を、全世帯に1台ずつ、避難のために世帯が分かれている場合は2台を上限として配布した。村民には高齢者も多いため、村職員が福島市内や相馬市など散在する避難先に出向き、タブレット端末の使い方を説明してきた。

 配布したタブレット端末はNTTドコモのAndroid端末「Optimus Pad」(韓国LGエレクトロニクス製)である。飯舘村独自の機能として、「お知らせ」「住民相談・アンケート」「ふるさとカメラ」「放射線量情報」「動画配信」「その他情報」の6つのトップメニューと、「テレビ電話」機能などを用意した。

電話帳に村民名簿を登録

 「お知らせ」ボタンをタップすると、村役場が発信する避難区域や賠償などに関する情報を閲覧できる。「住民相談・アンケート」では、逆に村民から村役場への相談ごとなどを投稿できる。「ふるさとカメラ」では、村民が自由に出入りできなくなった飯舘村区域内の様子をライブカメラで配信している。

 テレビ電話機能では、電話帳への記載を許諾した村民のタブレット端末用電話番号があらかじめ登録されている。避難先が異なるなどで相手の連絡先が分からなくなった村民同士でも、気軽に連絡を取りやすいように工夫した。8月8日の本格運用開始記念セレモニーでは、菅野典雄村長が、避難先の村民とテレビ電話で通話する様子が披露された。

 向こう3年間は、村民のタブレット端末使用料と通信料を飯舘村が負担する。その後の使用方法や料金については後日決定するとしている。村民は飯舘村以外が提供するインターネット上のWebサイトやサービスも自由に閲覧・利用できるが、有料コンテンツを利用する場合の料金は自己負担になる。有害コンテンツについてはフィルタリングによる制限がかかる。

[飯舘村役場「村民の声ネットワークシステム」]