酒で煮ると鉄化合物が超電導に、赤ワインが最適
物材機構と慶大、仕組みを解明
物質・材料研究機構と慶応義塾大学先端生命科学研究所は16日、ある種の鉄の化合物を酒で煮ると、電気抵抗がなくなる超電導を誘発する仕組みを解明したと発表した。酒に含まれる有機酸などが超電導になるのを邪魔していた余分な鉄を取り除くためという。
物材機構の高野義彦グループリーダーらは、鉄やテルルなどでできた化合物を6種類の酒で煮たところ、赤ワイン、白ワイン、ビール、日本酒、ウイスキー、焼酎の順で超電導になりやすいことを見つけた。慶応大が煮た後の汁から220種類の物質を見つけた。詳しく調べると、リンゴ酸、クエン酸、βアラニンが超電導を誘発するとわかった。
この3物質をそれぞれ溶かした水で鉄テルル化合物を煮ると、超電導になることを確かめた。「余分な鉄を溶かして捕まえるためだ」と高野グループリーダーは話している。特に赤ワインはこれらを多く含んでいるため、超電導を誘発する能力が高いと考えられるという。
鉄テルル化合物は超電導になる物質と構造が似ているが、そのままでは超電導にはならなかった。同様の物質に応用できる可能性がある。