舞台は青森県鯵ヶ沢、動物好きのセツ子(薬師丸ひろ子)は、店先で6頭の犬に餌をやっている最中に白く長い毛に覆われた秋田犬と出会った。餌を与えようとしても食べないその犬は、ひとりの少年を見つめている。彼はいつもセツ子を手伝いながら、交通事故で入院中の母親を世話している少年だった。ある日、正体不明の動物による農作物の被害が鯵ヶ沢に相次ぎ、ついにマタギの猟師が借り出されることに。その動物の風貌は、セツ子と少年が見たあの犬にそっくりだった ――。
『わさお』作品情報 | cinemacafe.net
(3月16日追記)
最近「わさお 安否」で検索してくる人が増えたので、その目的で訪れた方は以下のわさお通信をご覧ください。
とにもかくにも、ご心配おかけしましたが、わさお並びにに関係者は大丈夫ですのでご安心ください。また、より深刻な状況に陥っている地域や方々がおられますので、そちらのほうへの支援をお願いいたします。
わさお、大丈夫ですのでご心配なく|わさお通信:今日のしっぽ|Web東奥
(注意)
本エントリーはネタバレ込みの感想ですので、未見の方はご注意ください。
宇都宮ヒカリ座にて。
はてなユーザーに限らず、"わさお"という名前をご存知の方は少なくないと思います。
元々はid:merecoさんが北東北を旅した時に見つけてブログで紹介したのがきっかけでしたが、そこで一気に注目を集めて以来、たくさんのメディアに取り上げられ、写真集を出すなど人気者としての地位を確立していったのです。
わたしは秋田出身なのですが、幼い頃に実家の近くにわさおみたいな雑種の秋田犬(しかもわさおよりもたぶん大きかった)が飼われていて、よく追いかけまわされたり、服を引っ張られて犬小屋に連れていかれたりしたという思い出もありまして、何となく親近感を覚えてしまいました。そんな経緯もあって、日常的にわさお情報をチェックするくらい追っかけみたいなことをするようになってしまいました。
そんなわけでわさおが映画化されると聞いた時も、不安はあるものの絶対に観に行こうと楽しみにしていたのですが....。
正直何が主軸として語られている映画なのかさっぱりわからなくて、とにかくひどい作品でした。
動いているわさおを観られたことはとても嬉しかったのですが、正直見どころはそれだけ。もう終始意味が分からない。
わさおの忠犬ハチ公ぶりを描きたいのか、鰺ヶ沢の人々の暖かさを描きたいのか、それともトライアスロンで町おこしを語りたいのか、全然わかんないんです。最初の事故シーンからして既にやる気ミニマムというか、「え?これちゃんと演技とか演出してんの?」みたいなシーンで始まった時点で正直嫌な予感がしたのですが、その後も物語の主軸が明確に打ち出されないまま、たくさんの不思議映像が飛び出してくるので、もうぐったり。
もう何から書いていいのか分からなかったので、突然ですがわたしがびっくりしたシーンベスト3をまとめます。
3位 わさおが消えた?まるでホラー映画のような演出で観客もびっくり
不意に現れたわさおを見て驚くセツ子。
歩み寄ろうとしたその時に旦那さんに後ろから声をかけられたのでちょっと振り向いて、すぐにわさおの方を振り返ると....わさおがいない!というホラー映画チックな演出に思わずびっくり。わさおはお化け扱いかよ...。
2位 え?そこから完走しちゃうの?
作中でなぜかトライアスロンが開催されるのですが、いろいろとあってそれに老人3人と30代の男性1人(全員ジモティ)が参加することになります。スイムあたりは何とかこなしていた4人ですが、その後はかなりの苦戦を強いられ、最後のランに至っては怪我もあってもうゴール出来ないんじゃないかという状態になります。足を引きずったりしてもうゴールは無理そうな状態の4人。
作品の中でもそれほど練習してようにも見えなかったので*1、「参加して盛り上げられたこと」「頑張ったこと」をほめたたえる展開なのか...と思っていたら、何と気付けば4人全員が何とか時間内にゴールするという奇跡の展開。
たしかにそうした方が話は収まりやすいけど、そもそもそんなに簡単に時間内にゴール出来るもんなの?と思い、公式サイトを確認してみたのですが、これまた微妙なことに...。
競技 | 距離 | 制限時間 |
---|---|---|
スイム | 1.5km | 1時間 |
バイク | 40.0km | 3時間(スイムスタートから) |
ラン | 10.0km | 4時間(スイムスタートから) |
計 | 51.5km |
ここから抜粋
わたしは泳ぐのも自転車に乗るのもあまり得意ではないのでよくわかりませんが、ランに限って言えば10kmを1時間で走るのは(少なくとも作中で見せたペースで考える限りは)難しいと言わざるを得ません。普通に歩いたら2時間はかかりますし、足を引きずったりしていたらもっとかかることは明らかです。
野暮なのは重々承知していますが、いくらスイムとバイクがいいペースであったとしてもこれはなあ...。
ただあまり悪い方向にはとらえたくなかったので、とりあえず爺ちゃんたちが実はものすごく運動神経がよかったということで納得したふりをしています。
1位 大きな熊を無傷で撃破...ってわさお強すぎるだろ!
畑を荒らす大きな熊、それも人間なんて一撃でやられそうなくらい強そうな熊と戦う羽目になったわさお。
この戦いそのものは描かれなかったのですが、わさおは何とか勝利をおさめ、熊を倒します。ここで大事なのは撃退ではなく息の根を止めたということです。あんな穏やかな顔をしているのに、熊を殺してしまうとは...。
ちなみに、熊の死体を見たマタギが「犬の方もかなりの傷を負っているはず」などという不吉な言葉を残してわさおの安否を不安にさせるのですが、いざふたを開けてみればわさおは完全な無傷で元気そのもの。
いやいや。熊に完封勝利ってすご過ぎるだろ...。一撃も食らわずに完全に熊を葬り去るとかシャレになりません。じゃれて遊ぶなんてことは想像もしたくないレベルの恐ろしさ!
いくらわさおが強そうだとは言えさすがにこれはどうかと思うのですが、でもこの作品はわさお賛歌なんだと考えることにしてこれも肯定的に受け止めています。
とりあえず動くわさおが観れただけで満足したので、そこまで割り切れる人にはおすすめです!
わさお The Movieとしてみるか、もしくは鰺ヶ沢の地域映画としてみれば悪くない...かも。
(関連リンク)
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