”友情”・”努力”・の果てに”勝利”はあるのか?  『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』


目と目で通じ合ってます。


キック・アス』のマシュー・ヴォーン監督作。X-MENシリーズ過去作は1.2は「観たけど、あんまり記憶に無い」という、ある種「観てない」よりもタチの悪い状態だったので、当初はスルー予定だったのだが、Twitterでのフォロワーの方々が軒並み絶賛の嵐だったので、予備知識ほぼ無しのまま鑑賞。…何これ!?超面白いじゃん!!格好いい主人公!しかもCIAの秘密組織!そのうえ超能力!個性豊かな仲間達!これも超能力!敵はナチの残党!これまた超能力!おっぱい(青色と銀色だが)!素晴らしい!!

冷戦時代、キューバ危機という史実を舞台に、X-MENシリーズの根底にあるテーマである「異人種への差別」という、重くなりそうな世界観を、説明過多にならず、且つ人物背景が理解出来る鮮やかな演出で見せてくれる。


そして、何より2大主役の「プロフェッサーX」ことチャールズと「マグニートー」ことエリック。片や、裕福な家庭で暮らしながらも家族の温もりを知らない。もう一方は、ナチス強制収容所の中で育ち、最愛の母を目の前で惨殺されるという壮絶な過去を持つ。この対照的ながらも、心の奥に拭いきれない孤独を抱えた若き能力者2人。彼等が惹かれ合うのは当然!そして、お互いを深く理解し、畏敬しながらも、各々の信念を貫くため、別の道を歩む事となる。これもまた必然!そこに流れるのは義兄弟的な熱い、アツ過ぎる友情!
全世界の腐女子達は、このカップリングでBL同人を描きまくって萌えまくるに違いない!飛影はそんなこと言わない!!


そして、彼等の下に集う異能者たち。或る者は能力をひた隠しながら生活し、或る者は能力を制御出来ずに困惑している。そんな、まだ未熟で己の特異なる力を有効に活用出来ずに弄んでいる若者達が、軋轢や困難、そして仲間の死を乗り越え、努力に努力を重ねた鍛錬により、一人前のX-MENと成長していく。そして挑むは、世界転覆を目論むミュータント、セバスチャン・ショウ(演じるはケヴィン・ベーコン。残念ながら透明人間ではない=金玉は出さない)率いる強大な悪の秘密結社『ヘルファイアクラブ』!…これは燃える!チーム物として燃える!
集まるメンバーも、キャラは立っているが、主役の二人を喰ってしまわない程度の脇役感があって良い(100%主役級のウルヴァリンはチョイ役で御退場いただいていた)。『ドラゴンボール』だって、フリーザ一味と戦うメンバーが悟空、ベジータ級ばかりだったら面白くないでしょ?これはクリリンの分!!


そして、そのミュータント全面戦争の果てにX-MEN 1期生は真の勝利を掴み取るのか!!…。と、ここで物語は見る者に、そして彷徨える異端者達に問いかける。”勝利って何だね?”と。理想主義のプロフェッサーXは、人間社会との共存を望み、迫害された過去を持つ現実主義のマグニートーは、仇敵への、そして社会への復讐を誓う。ここには昔ながらの少年漫画やヒーロー戦隊もののような安直な正解は無い。正解を得られぬまま、二人は袂を分かつ。自分の解答を信じて。物語は、ここから始まる。……てか、始めてください。お願いします。その際は勿論、同監督、同キャストで。