どうしても寝ようとしない息子(6歳)に、ベッドでこんな話をしました。

断片的ですが、ツイッターに書いたら何か反響が大きかったので、あらためて記憶を頼りに、再現してみます。

こっちも眠くて、適当に作りながらしゃべってるので、相当めちゃくちゃな話になりましたが。



"MOMOTARO"



むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。

おじいさんはいえで、ぱそこんをしながら、びーるをのんでいます。


 息子「パパとおんなじだね」

 父「そうだね」


おばあさんは、おせんたくをしようと、かわにでかけました。

すると、まっかなみずが、ながれてきました。


かわのうえで、こうじょうがこわれて、かがくぶっしつが、ながれだしたのです。

これでは、おせんたくができません。

おばあさんは、おうちにかえりました。


つぎのひ、おばあさんは、また、おせんたくをしようと、かわにでかけました。

すると、こんどは、まっくろなみずが、ながれてきました。

あぶらをほりだす、きかいのくだがおれて、あぶらがりゅうしゅつしたのです。


 息子「りゅうしゅつってなに?」

 父「えーと、ながれだすことだよ」

 (以下、息子と父の質疑応答は省略)


これでは、おせんたくができません。

おばあさんは、おうちにかえりました。


つぎのひ、おばあさんは、きょうこそ、おせんたくをしようと、かわにでかけました。

きょうは、ふつうのおみずが、ながれています。

おばあさんは、たくさん、おせんたくをして、うちにかえりました。


すると、おじいさんが、

「それでは、ももたろうが、うまれないよ。ももをさがしてきなさい」

といいました。


おばあさんは、むっとして、

「びーるばかりのんでないで、じぶんでさがしなさい」

といいました。


おじいさんは、

「それは、きょうみぶかいね。ぞくぞくするよ」

とつぶやきました。


そうして、ぱそこんで、けんさくをはじめました。

けんさくをしたら、もものながれてくるばしょが、わかりました。


おじいさんは、そこへいって、ももをひろってきました。

ももたろうをきずつけないように、そっとももをきってみると、どうでしょう。

おもったとおり、なかから、ももたろうがうまれてきました。


おじいさんは「それでは、じゅうねん、まちましょう」といいました。

おばあさんも「そうしましょう」といいました。


+ + +


じゅうねんがたちました。

ももたろうは、からだのおおきい、おとこのこになりました。


あるひ、ももたろうは、いいました。

「うみのむこうのおにがしまで、おにたちがわるいことをしているらしいよ。たくさんのぶきや、ぬすんだたからものを、しまにかくしているらしいよ。」


おばあさんは

「なんで、そんなことが、わかるの。」

とききました。


ももたろうは

「ぱそこんをみたら、みんなが、そういうはなしを、かきこんでるの。」

とこたえました。


おばあさんは、

「ねっとのじょうほうを、そのまましんじてはいけないよ。うそかもしれないよ。」

といいましたが、ももたろうは、

「ううん。みんながかいているんだから、きっと、ほんとうだよ。おには、わるものなんだよ。」

と、かんがえをかえようとしません。


「おには、わるものだよ。ぼく、おにたいじにいくよ。」

と、おにのようにまっかなかおでさけぶ、ももたろう。


おばあさんはあきらめて、

「それでは、これをもっていきなさい。」

と、きびだんごをわたしました。

ももたろうは、こしにつけたふくろに、おだんごをいれて、いえをでました。


+ + +


ももたろうは、とっとことっとこ、あるいていきました。


「わんわん。ももたろうさん、ももたろうさん。」

と、うしろからはしってきたのは、おおきな、しろい、いぬでした。


ももたろうは、

「やあ、いぬくん。こんにちは。きみのなまえは。」

と、ききました。


いぬは、

「ぱとらっしゅです。おこしにつけたきびだんご、ひとつ、わたしにくださいな。」

と、こたえました。


ももたろうは、

「ぼくは、おにたいじにいくんだよ。おだんごはあげるから、おにたいじをてつだってね。」

とたのみました。


ぱとらっしゅは、

「てつだいますとも。おになんか、このきばで、かんでやりますよ」

とこたえると、ぱくぱくと、おだんごをたべました。


+ + +


ももたろうと、ぱとらっしゅは、とっとことっとこ、あるいていきました。


「うっきー。ももたろうさん、ももたろうさん。」

と、うしろからちかよってきたのは、ちいさな、さるでした。


ももたろうは、

「やあ、さるくん。こんにちは。きみのなまえは。」

とききました。


さるは、

「じょーじです。それよりも、おこしにつけてるのはなんですか。どこにいくんですか。ねえ。ねえ。」

と、しつこくききました。

じょーじは、とてもしりたがりやなのです。


ももたろうは

「ぼくたち、おにたいじにいくんだよ。これは、きびだんご。きみにもあげるから、おにたいじをてつだってね。」

と、たのみました。


じょーじは

「うっきー。なんだかしらないけど、おもしろそうですね。おになんか、このつめで、ひっかいてやりますよ。」

とこたえると、ぱくぱくと、おだんごをたべました。


+ + +


ももたろうと、ぱとらっしゅと、じょーじは、とっとことっとこ、あるいていきました。


すると、はたけのくいに、かかしがくくりつけられていました。

かかしは、

「ももたろうさん、ももたろうさん。ぼくを、じゆうにしてください。」

といいました。


ももたろうは、

「そういえば、どうしてみんな、ぼくのなまえを、しってるんだろう。」

と、ふしぎにおもいました。


けれども、ももたろうは、まあいいや、とおもいました。

ももたろうは、あまり、ものごとをふかくは、かんがえないたちでした。

そんなことよりも、かかしをたすけなくちゃ。


「よし、ぱとらっしゅ、じょーじ、みんなでかかしくんを、たすけよう。」

「せーの。」

みんなでかかしをひっぱると、かかしは、くいからはずれて、じめんにおりることができました。


ももたろうは、

「やあ、かかしくん。こんにちは。きみのなまえは。」

と、ききました。


かかしは、

「それが、おもいだせないのです。あたまの中がからっぽだから。」

といって、じぶんのあたまを、ひらいてみせました。

あたまには、なにもはいっていません。


ももたろうは、かかしにも、おにたいじをてつだわせよう、とおもいました。

そこで、ももたろうは

「ぼくたちは、おにがしまにいくんだ。きっと、そこにいけば、きみのあたまのなかみも、あるさ。」

と、てきとうなことを、いいました。


かかしは、

「ほんとうですか。じゃあ、ぼくもつれていってください。」

ももたろうは、

「いいよ。きみにもきびだんごをあげるから、おにたいじをてつだってね。」

とたのみました。


かかしは、

「かかしは、なにもたべなくてもへいきなのです。からっぽだから。おだんごはいりませんよ。」

とこたえました。

ももたろうは、おだんごがへらなくてすんだので、うっすらとわらいました。


+ + +


ももたろうと、ぱとらっしゅと、じょーじと、かかしは、とっとことっとこ、あるいていきました。


「なにか、ついてきますよ。」

ぱとらっしゅが、そういいました。

そらのうえのから、くろいとりがこちらをみています。


ももたろうは、

「ははあ、よよぎこうえんのからすだな。よよぎこうえんのからすは、ひとをこわがらないんだ。」

といいました。


しりたがりやのじょーじは、ふしぎそうにいいました。

「からすは、どうしてそらをとべるんだろう。」

ぱとらっしゅは、いいました。

「あんなの、とんでるんじゃない。おちてるだけさ、かっこつけてな。」


ももたろうは、いいました。

「おにたいじには、からすも、やくにたつ。なかまにいれよう。」

かかしは、いいました。

「ぼくがいるから、からすはおりてこないんじゃないかな。ぼくはかくれています。」


かかしがかくれると、さっそくからすがおりてきました。

「ももたろうさん。おこしにつけたきびだんご、ひとつ、わたしにくださいな。」


ももたろうは、

「やあ、からすくん。こんにちは。きみのなまえは。」

と、ききました。

からすは、

「はん・そろといいます。」

と、こたえました。


ももたろうは、

「ぼくたちは、おにたいじにいくんだ。おだんごをあげるから、おにたいじをてつだってね。」

とたのみました。


からすは、

「てつだいますとも。おになんか、くちばしでつっついてやりますよ」

とこたえると、ぱくぱくとおだんごをたべました。


でも、たべおわるとすぐに、からすはとびたってしまいました。

ももたろうたちは、

「あれえ。やくそくがちがうよ、はん・そろくん。」

と、くちぐちにさけびました。


からすは、さっきとはがらりとたいどをかえて、そらのうえから、いいました。

「わるいな、ももさん。おれは、かねにならねえしごとは、しないしゅぎでな。」

そういうと、からすは、よよぎこうえんのほうに、とんでいってしまいました。


「まったく、なんてひどいからすだ。」

「なにが、はん・そろだ。」

「あんなやつ、うらぎりものだ。」

ももたろうと、ぱとらっしゅと、じょーじと、かかしは、ぷんすかおこりながら、あるいていきました。


+ + +


ついにみんなは、うみべにたどりつきました。


「うみについたけれど、ふねがないなあ。」

「ふねがないと、おにがしまには、いけないなあ。」


すると、じょーじがいいました。

「むこうに、ひとがたくさんいて、さわいでいるよ。なにかな。ねえ、いってみようよ。」

そこで、みんなは、ひとがたくさんいるところに、いってみました。


そこには、かいぞくが、つかまえられていました。

どうやら、かいぞくは、さいばんにかけられているようです。

ももたろうは、いいました。

「よし、あのかいぞくをたすけよう。」


みんなは、おおきなこえをあげて、とつげきしました。

ひとびとは、びっくりして、にげていきます。

ぱとらっしゅが、するどいきばで、かいぞくをしばっているなわを、くいちぎりました。


「ももたろうさん、ありがとうよ。れいをいうぜ。おれは、きゃぷてん・じゃっく・すぱろう。」

ももたろうは、

「どうしてみんな、ぼくのなまえをしってるんだろう。」

と、ふしぎにおもいましたが、そんなことよりも、だいじなのは、おにたいじです。


ももたろうは、かいぞくに、いいました。

「じゃっく・すぱろう、ぼくたちをかいぞくせんにのせてくれないか。」

かいぞくはいいました。

「きゃぷてんだ。きゃぷてん・じゃっく・すぱろう。だがまあいい、ふねにのせてやろう。」


こうして、ももたろうと、ぱとらっしゅと、じょーじと、かかしは、かいぞくせん「ぶらっくぱーるごう」にのせてもらって、うみのたびにでました。


+ + +


それは、ながいながい、たびでした。


くらーけん、という、うみのかいぶつにおそわれましたが、みんなで、たいじしました。

もびーでぃっく、という、くじらがおそってきましたが、みんなで、たいじしました。

ふなゆうれいがでて、ひしゃくでふねにみずをいれはじめましたが、みんなで、たいじしました。


でも、あるひ、ひょうざんにぶつかってしまい、ふねはこわれて、ぶくぶくしずんでしまいました。

うみのそこにつくと、そこには、りゅうぐうじょうがありました。

みんなは、たいやひらめのまいおどりをみながら、まいにち、ごちそうをたべて、のんびりくらしました。


そのうち、ももたろうは、えいせんせいのがっこうにはいりました。

にも、という、かくれくまのみと、ともだちになりました。

ぽにょ、という、さかなのおんなのことも、ともだちになりました。


うみのそこのせいかつは、まるで、すいぞくかんのように、あんぜんで、かいてきでした。

そんなあるひ、ももたろうは、きがつきました。

「あれ。そういえば、ぼくはまだ、おにたいじのたびのとちゅうじゃないか。」


「そのことば、まってたぜ。」

ももたろうがふりむくと、そこには、はなればなれになっていたなかまたちが、あつまっていました。

ぱとらっしゅ、じょーじ、かかし、きゃぷてん・じゃっく・すぱろう。


かかしは、ぐしょぐしょにぬれて、わらくずみたいでしたが、

「だいじょうぶ。うみからでて、おひさまでかわかせば、すぐにもとどおりでさあ。」

と、おどけてみせます。

みんなは、げらげらわらいました。


ももたろうは、いいました。

「よし。みんな、だっしゅつだ。」


ぱとらっしゅが、いぬかきでおよぎます。

みんなは、ぱとらっしゅにつかまって、うみのうえにでました。


うみのうえには、ぶらっくぱーるごうが、まっていました。

ももたろうは、おどろきました。

「すごい、ぐうぜんだな。まるで、つくりばなしのようだ。」


きゃぷてん・じゃっく・すぱろうは、いいました。

「とにかく、しゅっぱつだ。とりかじいっぱい、よーそろー。」

こうして、ふたたび、みんなはうみのたびにでました。


+ + +


やがて、ふねは、おにがしまにたどりつきました。

ももたろうは、さけびました。

「よし、いくぞ。」


すると、きゃぷてん・じゃっく・すぱろうは、いいました。

「おれは、ふねでまっている。いちにちたっても、きみたちがかえってこなかったら、ふねはだすぞ。それが、かいぞくのおきてなんだ。」

「わかった。あとをたのむ。」

ももたろうと、ぱとらっしゅと、じょーじと、かかしは、しまにあがっていきました。


おにがしまのまんなかに、おにのひみつきちがありました。

みがるなじょーじが、するするともんをのぼって、うちがわから、かぎをあけます。

みんなは、おおごえをあげて、ひみつきちに、とつげきします。


ぱとらっしゅは、おにのてあしに、きばでかみつきます。

じょーじは、おにのかおを、つめでひっかきます。

かかしは、おにのわきのしたや、あしのうらを、わらくずで、くすぐります。


「いたい、いたい。」

「わはは、くすぐったい。」

おにたちは、にげまわります。


「いけー、やれー、たたかうんだー。」

ももたろうは、なにもしないで、おおごえでなかまをおうえんします。

ももたろうは、からだはおおきいけど、じつは、こわがりの、ひきょうものなのです。


「おまえは、おうえんだけか。たたかうきは、ないのか。」

うしろから、こえがしたので、ももたろうは、びっくりしました。


「おれが、おにのたいしょうだ。かくごしろ。」

おにのたいしょうは、ももたろうをぐいぐいとおして、ついにがけっぷちにおいつめました。


ももたろうが、うしろをみると、たかいがけのしたは、うみです。

おちたら、しにます。あぶないのです。

「ああ、もはや、これまでか。」

ももたろうは、めをつぶりました。


そのとき、そらから、なにかがとんできました。

「あっ、からすの、はん・そろだ。」

はん・そろは、ももたろうを、つめでひっかけて、とびあがりました。


いきおいがあまって、よろけたおには、がけからまっさかさま。

うみに、どぼーんとおちました。


ももたろうは、こうふんして、さけびました。

「おい、はん・そろ、ぼくたち、そらをとんでるぜ。」

はん・そろは、

「とんでるんじゃない、おちてるだけさ。かっこつけてな。」

と、いいました。


ももたろうは、いいました。

「でも、きみは、おかねにならないしごとは、しないしゅぎだったんじゃないの。」

「うん。でも、おにがしまには、おたからがあるってきいたんでね。」

はん・そろは、そういって、ういんくをしました。


+ + +


はん・そろとももたろうは、りくにおりてみました。

どうやら、なかまたちは、おにをすっかり、たいじしてしまったようです。


「ごめんなさい、ごめんなさい。」

「ゆるしてください。」

おにたちは、こうさんしています。


おにのひとりが、いいました。

「でも、どうしてぼくたちを、たいじしたのですか。」

ももたろうは、

「おまえたちは、たからものや、ぶきをかくしているのだろう。」


おにたちは、ふしぎそうに、いいました。

「そんなものは、どこにもありませんよ。」

「そんなはなしは、ただのうわさですよ。」


ぱとらっしゅは、いいました。

「ももたろうさん、なんだか、はなしがちがいますね。」


かかしは、いいました。

「ぼくのあたまのなかみは、どこなんですか。」


じょーじは、いいました。

「たくさんのぶきは、どこなんですか。」


はん・そろは、いいました。

「おたからは、どこなんですか。」


みんな、ももたろうを、じーっとみつめました。


ももたろうは、なんだか、こまってしまいました。

「おにが、うそをついてるんだよ。だって、おには、わるいんだもの。ねっとに、かいてあったんだもの。たこくせきぐんをはけんして、しらべればわかるんだい。」

だんだん、ももたろうのこえが、ちいさくなっていきます。


そのとき、ざばーん、とおおきなおとがして、うみのほうからなにかがやってきます。


なんと、さっき、うみにおちてしんだはずの、おにのたいしょうです。

かおがやぶけて、そのなかから、あかくひかる、ぶきみな、きかいのめが、こっちをにらんでいます。

「おにのたいしょうだ。」

みんな、びっくりしています。


「いや、あれは、みらいからきた、たーみねいたーという、ろぼっとです。」

と、じょーじが、れいせいに、いいました。


「いまからじゅうねんご、よのなかはろぼっとにしはいされます。そして、ももたろうさんは、ろぼっとにたちむかう、かくめいぐんのりーだーになるのです。あのたーみねいたーは、そうならないように、ももたろうさんをいまのうちにころそうと、みらいからやってきたんです。」


ももたろうは、かんしんしました。

「さすがは、しりたがりやのじょーじ。よくしっているね。」

「じつは、わたしたちも、みらいからやってきたのです。ももたろうさんを、まもるために。」


「えっ、ぱとらっしゅも、かかしくんもかい。」

みんな、こく、こく、とうなずきます。

「そうか、それでみんな、ぼくのなまえをしってたんだね。よし、それじゃあ、どうしたら、たーみねいたーにかてるんだい。」


じょーじは、こたえました。

「たーみねいたーにはかてません。」


みんなは、しーん、と、しずかになりました。


ももたろうは、おおごえで、さけびました。

「にげろ。」


はん・そろは、とんでにげました。

ももたろうと、ぱとらっしゅと、じょーじと、かかしは、はしってにげました。

ももたろうは、こんなこともあろうかと、しゅんそくをはいてきたので、とてもはやいのです。

そうして、みんなは、たーみねいたーからにげて、うみのそばまできました。


ぱとらっしゅが、いいました。

「たいへんだ。やくそくのいちにちは、もうすぎてしまった。」

かかしが、いいました。

「ふねは、でてしまったのかい。」


「いや、いるぞ。」

ももたろうが、うみをゆびさしました。

そこには、ぶらっくぱーるごうが、ほをあげてまっていました。


ももたろうは、ききました。

「かいぞくには、おきてがあるんじゃなかったの。」

「おきてか。おれは、おもったんだが、あれは、ただのこころえさ。」

きゃぷてん・じゃっく・すぱろうは、そういって、ももたろうに、ういんくしました。

「しゅっぱつだ。おもかじいっぱい。よーそろー。」


ももたろうは、いいました。

「ちょっとまって。また、あんな、ながいたびをするのは、こりごりだよ。しょーとかっとしよう。」

みんなはおどろいて、たずねました。

「えっ、ももたろうさん、どうしたら、すぐにかえれるんですか。」


「それはね。」

ももたろうは、くつのかかとを、さんかい、ぶつけあわせました。

そして、いいました。

「おうちがいちばん。」


+ + +


ももたろうは、めをあけました。


ももたろうは、べっどのなかにいました。

「なんだか、ずいぶんながいあいだ、ゆめをみていたようだなあ。」

めをこすりながらおきると、おじいさんがいいました。

「おはよう、ももたろう。」

おじいさんのかおは、きゃぷてん・じゃっく・すぱろうにそっくりでした。


ももたろうは、べっどからおりました。

あしもとに、かいいぬのぱとらっしゅと、おさるのじょーじがよってきました。

いえをでてみると、めのまえのはたけには、かかしがたっていました。

やねには、からすがとまっていました。

なにもかも、いつもどおりでした。


ももたろうが、はたけのむこうをみると、ちょうど、おばあさんがかえってきました。

おばあさんは、なにか、おおきな、まるいものを、もっています。

「かわで、ももをひろってきたよ。」



おじいさんと、ももたろうは、かおをみあわせました。

みんなで、ももをきってみると、なかからは、おんなのこがでてきました。


このおんなのこがおおきくなると、ももたろうと、ぼうけんのたびにでるのですが、

それはまたべつのはなし。

さあ、そろそろねようか。


 息子『えー!もっと!もっと!』

 父・無言で消灯。


おしまい。



written by ヲノサトル 2010