KDDIがスマートフォン向け公衆無線LAN、9万局を新設
KDDIは2011年5月17日、東京都内で2011年夏モデルの説明会を開催し、同社のスマートフォン向けに公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」を2011年6月末から開始すると発表した。
スマートフォンを対象としたパケット通信料の定額サービスを契約していれば、追加料金なしで利用できる。KDDIが販売するAndroid(アンドロイド)スマートフォンなら、どの端末からでも利用できるようにするという。
サービス開始当初は、ローミング先であるワイヤ・アンド・ワイヤレスの「Wi-Fiスクエア」とUQコミュニケーションズの「UQ Wi-Fi」のアクセス・ポイント、計1万局程度を利用できる。
さらに2012年3月末までにKDDIが数百億円を投資し、自社で約9万局を設置。ローミング先の基地局と合わせ、計10万局まで増やす。「有線のインターネット接続回線の導入が難しい場所では、バックホール(WAN側の回線)にモバイルWiMAXを利用することで、素早くアクセス・ポイントを設置する」(KDDI代表取締役社長の田中孝司氏)。都市部を中心に屋内のみならず、屋外でもアクセス・ポイントを設置していく。
ユーザーIDやパスワードの入力を不要にするなど、スマートフォンでの公衆無線LANサービスの使い勝手に工夫を施した。公衆無線LAN接続の初期設定や接続を簡易にした他、公衆無線LANと3G(第3世代移動通信)回線の切り替えを自動で行う。
初期設定では公衆無線LAN接続のアイコンをタップすると、利用規約が表示される。これを承認すると、端末側から端末のSIMカードや端末の識別番号などが自動送信される。サーバー側でこれらの情報をチェックし、パケット通信料の定額サービスの契約者であり、KDDIが提供するAndroid搭載スマートフォンからのリクエストであることが分かれば、端末に対して公衆無線LANに接続するためのカギ・データが送られる。以後は、接続ソフトがこのカギ・データを使って公衆無線LANに自動接続するようになる。
公衆無線LANと3G回線の自動切り替えでは、公衆無線LAN接続ソフトの設定を「自動」としておくと、通信条件の良いほうを使ってインターネットに接続する。切り替えのアルゴリズムには、KDDI研究所が開発した技術を応用している。
(日経エレクトロニクス 中道理)
[Tech-On! 2011年5月17日掲載]