児玉さんのいない空 | 土屋太鳳オフィシャルブログ「たおのSparkling day」Powered by Ameba

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こんばんは。太鳳です。
今日の東京は、5月らしい、さわやかで綺麗な空の一日でした。
東日本の方々にとっては、どんな空だったでしょうか。
少しは寒さが、ゆるみましたか?

こんな綺麗な東京の空だったのに、
私は今日の朝、悲しいニュースを知りました。
ニュースや新聞で報道があったので、
ご存知のかたもいらっしゃると思いますが、
私が龍馬伝で坂本乙女さんの子ども時代を演じさせていただいた時に、
そのお父さん、坂本八平さんを演じていらっしゃった児玉 清さんが、
2日前の16日に亡くなられました。
闘病なさっていたとのことでしたが、
あまりにも突然で、今でも信じられません。
最近まで、ごく普通によくテレビでお見かけしていたし、
龍馬伝で、短い間だったけど、
とても明るく優しい笑顔で接して下さった時のことが、昨日のことのようで、
なんだか…何度ニュースを確かめても、信じられないんです。
私にとって、共演してくださった俳優さんが亡くなられたのは初めてです。
本当に悲しいです。
私は小さい頃に観た大河ドラマ「新選組!」がとても楽しくて、
いつか大河ドラマに出演したいと思っていました。
だから何度かオーディションがあって、最終的に乙女役をいただいて、
顔合わせに行けた時は、嬉しい以上に緊張していて、
児玉さんにご挨拶をした時も、
「このかたがお父さんになるんだ…」とドキドキしていたんです。
すると児玉さんは、
「ああ!乙女さん。頑張ろうね。こちらは…お母さん?」とニコニコしながら、
すごく若いマネージャーさんを私のお母さんと間違えて…
その一瞬で、緊張していた場がふんわり和んだことを、覚えています。

それに、第一回目の収録の時の取材会(記者会見)でも、
本当にお世話になりました。
私はそれまで、映画の舞台挨拶は
「釣りキチ三平」の時に体験したことがあったのですが、
ドラマでの記者会見は、龍馬伝が初めてだったんです。
想像していたより記者のみなさんやカメラマンのみなさんとの距離が
すごく近かったし、たくさんのかたがいらしていて、
上を見たら、一般の見学のかたもいらしていて、
それまでに経験したことのない空気に、
私は緊張し過ぎて、頭が真っ白になって、言葉が止まってしまったんです。
そしたら私の後ろに立っていらした児玉さんが、
笑顔で肩にポン、ポンと手を当てて下さって、
「大丈夫、大丈夫。」と言って下さったんですよ。
その時の優しい声が、今でも、耳によみがえってきます。
本当に安心したんです。
感謝をしています。

収録中は、私とたっちゃんが二人でつつきあったりしていると、
ニコニコしておだやかに見てくださっていて、
だけど、本番になると、江戸時代の「父上」になられるんです。
私が泣く演技を経験したのは、龍馬伝が初めてでした。
草刈民代さんが演じていらっしゃった母上が亡くなる場面で、
私は母上にしがみついて泣くという、私にとってはすごく難しい場面でした。
でも本番になったら、自然に涙が出たんです。
児玉さんと、お兄さんの権平さんを演じていらっしゃった杉本哲太さんが、
目の前で悲しさと悔しさをじっとこらえていらして、
その部屋の空気に、悲しさがどんどん濃くなっていったんです。
特に児玉さんは、一見、全然表情が変わらないのに、
気持ちの変化が、ものすごく伝わってきたんです。
あの時の空気を、私は一生忘れません。
龍馬さんの子ども時代を演じたたっちゃん(濱田龍臣くん)は、
私よりもっと長い時間一緒に共演したので、
このニュースを聞いて、もっとショックなんじゃないかと思います。
たっちゃんが小さい龍馬として初めて演じた難しい場面では、
たっちゃんの年齢が、まだ本当に小さい時だったので、
演技で叱られているのに、
何度も演じているうちに、本当に叱られている気持ちになってしまって、
泣きそうになったりもしたみたいなんです。
そんな時も児玉さんは、声をかけていらっしゃいました。

私がクランクアップした日、感謝の気持ちを込めて、
児玉さんに、土佐に江戸時代から伝わっているお菓子を
お手紙と一緒にお渡しした時も、
そのお菓子は、昔の作り方で作ってあって硬いので、
「よく噛んでお召し上がりください。」とお手紙に書いたら、
優しく「ありがとう。よく噛んで食べるよ。これからも、頑張って!」と、
ニコニコしてくださいました。
私は打ち上げでお会い出来なかったので、
その笑顔が、直接お会いした最後のお顔になりました。

とにかく初めてお会いした時から、現場でも、クランクアップの時も、
常に紳士的でかっこよく、笑顔の素敵な優しいかたでした。
実は私の弟も、児玉さんのファンなんです。
中学生の男の子も「かっこいいな」って思うようなかただったんだと思います。

クランクアップの時の「これからも頑張って!」という言葉を追いかけて、
またいつか共演させていただけたらいいな、
それまで頑張ろうと思ってました。
…が、それはもう出来ません。
今日の空はすごく綺麗で、お仕事の帰りに見た月もとても綺麗なのに、
その下に、もう児玉さんはいらっしゃらないんですよね。
不思議だし、悲しいです。

ですが、私が児玉さんと共演させていただいて心に残っていることは、
私の心にずっとありつづけるんだから、
それをこれからも大事にして、演技の道を歩いていこうと思います。
だから、今日は急なことだったので、
児玉さんのことを書かせていただきましたが、
明日からはまた元気に、
今までのように「鈴木先生」の生徒紹介や、
今日行ってきたお仕事のことなど、書いていこうと思います。
これからも、よろしくお願いします!
そして児玉清さん、本当にありがとうございました。


たお