写真●室蘭市の「むろらんオープンデータライブラリ」
写真●室蘭市の「むろらんオープンデータライブラリ」
[画像のクリックで拡大表示]

 北海道室蘭市は2013年8月30日、市が整備したGIS(地理情報システム)データを、市のWebサイトを通じて無料で公開し始めた(写真)。第1弾は津波や洪水の浸水予想図、土砂災害警戒区域などの防災情報が中心で、データは順次拡充する。

 行政や公的機関が業務のために整備したデータを広く公開する「オープンデータ」は、地方自治体では福井県鯖江市などが取り組んでいる。ただし現状は、市民が広く利用する公共施設や交通機関の情報が中心である。

 室蘭市は役所内で共有されているGISデータのうち、個人情報を含まないものについては原則、無料公開していく方針だ。地域のリスク情報や都市計画図など、市町村が業務で用いている情報をオープンデータ化する試みは日本では珍しい。

 具体的には2013年秋以降、土地用途図など一部の都市計画図、犯罪の発生場所など防犯向け情報、信号機など交通施設や交通事故発生場所などを公開する検討を進めている。航空写真は、2013年度中に新たに撮影するものを年度末をメドに公開する方針。GIS以外の行政情報もオープンデータ化していくという。市民や第三者によるWebサービスやスマートフォン向けアプリの開発を促し、市民生活やビジネスに役立ててもらう。

 今回公開した情報は、防災関係では浸水予想図や土砂災害警戒区域のほか、崖崩れ危険区域、土石流危険区域、津波避難の目標地区や津波避難経路など。AED(自動体外式除細動器)の設置場所も公開した。データは、ベクトル情報を扱えるGISの業界標準形式「シェープファイル」や、位置情報を含めたCSVファイルで公開した。防災情報は一般に、避難場所や津波の浸水予想などを地図に記した「ハザードマップ」を画像や文書ファイルで公開することが多い。室蘭市が公開したシェープファイルを用いれば、津波の浸水予想や危険地区をスマートフォンの地図上で確認できるアプリなどが実現できる。