スウェーデンの6歳男児、「ピンク色の服を着ていた」ためナイフで刺される

スウェーデンのヨンシューピングにある幼稚園で、6歳男児が別の男児に首をナイフで刺されるといういじめ事件が起こりました。首を刺された男児はピンクの服やバレエが好きで、これまでにも「ゲイ」「女」などと言われていじめられていたのだそうです。

詳細は以下。


地元紙「Jönköpings-Posten」は、この被害男児の名前をOscar君とだけ報じています。同紙によるとOscar君はピンク色の服やバレエや爪磨きが好きで、遊び仲間の男児たちから日常的にいじめられていたとのこと。「ゲイ」「女」と言われてばかにされたり、のけものにされたり、ジャングルジムで遊ばせてもらえなかったりしたのだそうです。Oscar君の両親はOscar君からいじめの事実を知らされていましたが、先週ついにナイフで首を刺されるという事件が起こったため、学校教育監査団(Skolinspektionen)に通報したとのこと。

幸いにもOscar君が刺されたナイフはなまくらで、刺した男の子も本気で傷つけるつもりではなかったとのことですが、Oscar君の首には見てはっきりわかる傷がついたそうです。なお、幼稚園職員はOscar君の両親にいじめ事件を連絡しなかったばかりか、Oscar君がナイフで刺されたことを「小さな出来事」と形容したそうです。以下、Oscar君のお母さんのことば。


「ナイフによる刺し傷を『小さな出来事』と考えるような幼稚園には、私の息子を置いておけません」
"I don't want to have my child at a school which considers a stab with a knife to be a 'small incident',"

ジェンダー規範に従わないといじめられる」「教育機関がいじめを隠す」という点では、日本とたいして変わらない状況のようですね。そう言えば日本でもつい先日、芸能人の楽しんごが学生時代「カッターで唇を切られる」「焼けたパイプを胸に押しつけられる」などの凄惨ないじめを受けたとTV番組内で語った*1ばかりです。これは決して対岸の火事ではないと思います。

子供とステレオタイプジェンダー観の関係について、最近興味深い研究のアブストラクトを読みました。Highlighting gender promotes stereotyped views in preschoolersによると、幼稚園教諭が3〜5歳の子供たちに対し、ジェンダーを強調した言い回しや区分けを用いる(たとえば子供たちをジェンダー別に分けて並ばせるとか、作品を男の子と女の子で別の掲示板に分けて貼るように頼むとか)と、子供たちの間でジェンダーステレオタイプなふるまいが増えるのだそうです。2週間の実験で、「赤ちゃん人形で遊ぶのは女の子だけ」などのステレオタイプを支持する率が増えたり、違うジェンダーの子と一緒に遊ぶことへの興味が減少した(そして実際の遊び方を見ても、別ジェンダーの子と遊ぶことが減った)りしたという結果が報告されています。
ジェンダーステレオタイプの刷り込みから起こるいじめ事件をなくすには、まずこのあたりから見直していく必要があるんじゃないでしょうか。おもちゃからテレビ番組まで「男の子向け」「女の子向け」が不気味なほどぱっきりと分けられている日本にいるからこそ、よけいにそう思います。