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[CEDEC 2010] 家庭用ゲーム機,そしてソーシャルゲームを遊ぶ層の人口分布とは? 日本国内のゲーム人口をマクロ的に調べたメディアクリエイトの講演
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印刷2010/08/31 20:05

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[CEDEC 2010] 家庭用ゲーム機,そしてソーシャルゲームを遊ぶ層の人口分布とは? 日本国内のゲーム人口をマクロ的に調べたメディアクリエイトの講演

画像集#001のサムネイル/[CEDEC 2010] 家庭用ゲーム機,そしてソーシャルゲームを遊ぶ層の人口分布とは? 日本国内のゲーム人口をマクロ的に調べたメディアクリエイトの講演
メディアクリエイト 細川 敦氏
 本日(8月31日)より開催されている,業界関係者向けのカンファレンス「CEDEC 2010」。技術論にマーケティング論,あるいはプロジェクトマネジメントなど,さまざまな内容のセッションが並ぶなか,メディアクリエイトの細川 敦氏が,「次なる高みへ。ゲームビジネスの近未来像」と題した講演を行った。

 これは,近年流行しているソーシャルゲームがコンシューマゲーム市場に与える影響などをマクロ的な視点で分析/考察したもの。そのうえでゲーム業界の将来,そして今起きていることを正しく見極めようという内容だ。

 メディアクリエイトといえば,ゲーム産業にフォーカスした業界最古参ともいえる調査会社で,4Gamerで掲載している「ゲームソフト週間販売ランキング」のデータ提供元でもある。今回の講演には,「国内のコンシューマゲーム人口2500万人,ソーシャルゲームは900万人」など,具体的な数値が含まれており,興味深い話が多かった。移り変わりの激しいゲーム業界を捉えるうえで,いろいろ示唆深い視点も多く含まれていた。

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 講演が始まると細川氏は,「これまでのゲーム市場の歴史にも紆余曲折があり,ブームが起きているときと,それが終わり,落ち目になっている時代を繰り返しながら成長してきている」と語る。ファミコンブームを発端に本格的な市場が立ち上がり,その10年後にPlayStation全盛時代を迎え,そして近年では,ニンテンドーDSが大変な盛り上がりを見せた。ゲーム市場における歴史のターニングポイントには,その時代ごとに契機となる大きなブームがあったわけだが,ブームは長続きするものではない。
 また,一つの時代が終わりを迎える節目では,ゲーム以外のエンターテイメントが相対的に盛り上がりを見せるなど,ゲーム市場は,ほかのエンターテイメント産業と密接に関わりながらも,マクロ的には堅実な成長を続けてきているのだという。

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 そのうえで細川氏は,「今は,DSのブームが終わって落ち目の時代。落ち目の時代になると,悲観論が多くなるが,その悲観論はどこまで正しく現実を見ているのか」と疑問を投げかける。さらに「本当にこのままゲームは駄目になるのか。あるいは,最近流行っているソーシャルゲームが次代のプラットフォームになるのか」と,問題を提起した。

 細川氏の講演のなかでとくに面白かったのは,そうした疑問を投げかけたうえで,メディアクリエイトが調査したデータを元に,「ソーシャルゲームブームの実態」を,大雑把ではあれ分析していた点だろう。
 曰く,日本の6〜60歳の人口8263万人のうち,コンシューマゲーム(ソフトウェアの市場規模3600億円)のプレイヤー人口は約2500万人,ソーシャルゲーム(市場規模900億円)は約900万人。そのうち,コンシューマゲームとソーシャルゲームの両方を遊んでいる人口というのは,430万人程度だというのだ。

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 細川氏は,「多少誤差があるとしても,おおよそ400万人ちょっと。つまり,ソーシャルゲームで遊んでいる人は,コンシューマゲームを遊ぶ人達の15%強という計算になります」とし,ソーシャルゲームの盛り上がりを認めつつも,そのシェアが限定的なのではないかと指摘する。

 さらに,「ソーシャルゲームにお金を使う人の割合は20%近くいてびっくりしたが,多くのお金を使う人は一握り。そして,お金を払うプレイヤーには,コンシューマゲームファンとの相関性が見受けられた」「ソーシャルゲームにお金を使って遊んでいる層の中には,もともとコンシューマゲームを遊んでいたが,引退してしまったという層が多く存在する」と語るなど,昨今話題のソーシャルゲーム市場が,決して無限に広がる未開拓のフロンティアというわけではなく,連綿と続いてきたゲーム市場/ゲーム文化の中の一分野でしかないという主旨の話をしてきたことは,とても興味深い。

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コンシューマゲームを卒業(時間的な要因などで遊べなくなった)してソーシャルゲームを遊ぶ層が110万人,ソーシャルゲームだけを遊ぶ層が140万人。こうしたユーザーの具体的な分布図を公の場で見るのは初めてかもしれない

 つまり細川氏は,「10代のゲームファンについては,まだまだコンシューマゲーム機が中心」「ソーシャルゲームを無料で遊んでいる層は,そもそもお金を払う気がない」など,自身が調査したデータをさまざまな角度で分析したうえで,「ソーシャルゲームの伸びしろはどうか」をかなり注意深く観察しているわけだ。

 ちなみに細川氏は,ソーシャルゲームの今後の成長要因としては,依然として「コンシューマゲームの退出者の受け皿」としての役割が挙げられるとしつつも,それ以外の層,すなわち10代のコンシューマゲームに慣れ親しんでいる層やまったくの新規顧客といった分野に関しては,やや未知数という見解のようであった。

 ソーシャルゲームの伸びしろに疑問があるとするならば,ゲーム産業が狙うべき,次の市場とはどこなのだろうか。
 最近の据え置き機では,莫大な開発費と広告費をかけた“ハリウッドモデル”がひとつの成功モデルとなっている。だからといって,据え置き機向けのタイトルで海外市場を狙うとなると,海外の大資本メーカーと戦わなければならず,かといって携帯ゲーム機市場は,不正コピーなどの問題があり,海外では不振が続いている(日本であればPSPなどが大きなシェアを持つのだが)。ゲーム業界は,過去に例がないほど暗中模索といえる状態にあるといっても過言ではないだろう。日本のゲーム会社が岐路に立たされているのは,業界に身を置く者でなくても感じられることだ。

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 そんな漠然とした疑問に対して細川氏は,「私もいろいろな人に次はどうなるのかという質問を受けるが,それは誰にもわかりません」と前置きをしながらも,次世代のゲームハード,とくに携帯ゲーム機には大きな可能性を感じているようで,「今は据え置き機が中心の北米市場も,やがて携帯ゲーム機へシフトすると我々は見ている」と説明。その変化のなかで,ゲームのプレイスタイルは“劇場型”から“公園・座敷型”へ,ゲームに求められるニーズも,一人で黙々とやりこむようなものではなく,協力や共有などといった“プロセス”部分に重点が置かれていくだろうとし,講演を締めくくった。

 余談だが,最後の指摘は一見ありふれた話に思えるのだが,細川氏は,携帯ゲーム機(専用機か,スマートフォンのような複合機かは分からないとしているが)へのシフトが「世界規模で進んでいく」と見ている。つまりその結果として,資本力と技術力勝負の重厚長大な開発スタイルから,アイデア勝負の小回りが効く市場へと立ち戻る可能性を示唆しているようにも感じられた。それが日本のゲーム業界にとって吉と出るか凶と出るかは分からないが,一つの可能性という意味では,現時点で留意しておく価値のある分析だろう。
 iPhoneアプリやソーシャルゲームの分野では,そういった小回りの効く開発体制の必要性が叫ばれて久しいが,それらの市場にしても,あまりの参入障壁の低さから多くの課題(儲かりにくいということで)を抱えており,今後,過当競争にならずしっかりと利益の出る市場がどの分野で構築されるのか。ゲームメーカー各社の模索は,今しばらく続くだろう。

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