【1月16日 AFP】リヒテンシュタイン政府は15日、国内唯一の産科を閉鎖すると発表した。勤務する婦人科医らも閉鎖とともに全員退職するという。この産科では毎年200人あまりの新生児が誕生している。

 リヒテンシュタインは、スイスとオーストリアに挟まれた内陸の小さな公国。同国のマウロ・ペドラツィーニ(Mauro Pedrazzini)保健相は15日、「遺憾ながら産科を閉鎖する」との声明を発表した。

 産科は今春中にも閉鎖されるという。勤務する医師たちは将来の見通しもたたないまま、離職を迫られる形となった。

 人口3万7000人にも満たないリヒテンシュタインでは、老朽化した病院の建て替え費用の拠出をめぐる2011年の国民投票で反対票が賛成票を上回った。そのため産科医師らが求めた医療水準を満たす改修計画の遂行が困難となった。

 リヒテンシュタインでは毎年、全体の半数にあたる約200人がこの国内唯一の産科で、また残りの半数は国外の医療施設で生まれている。これは、リヒテンシュタインの妊婦たちが、あえて隣国のスイスやオーストリアでの出産を選択しているためだ。

 しかし、この国内唯一の産科が閉鎖された後に生まれるリヒテンシュタイン人は、全員外国生まれとなる。(c)AFP