日本IBMは2012年5月25日、Javaアプリケーションサーバー(APサーバー)ソフトの新版「IBM WebSphere Application Server V8.5」(WAS V8.5)を発表した。新版では、APサーバーのソフトウエア構成を改めてサイズを50Mバイト以下とした軽量版の実行環境を付けた。2012年6月15日に出荷する。

 WASは、Javaアプリケーションサーバーソフトである。Java言語を使って、Webサーバー/APサーバー/データベース(DB)サーバーの3階層システムを開発/実行できる。大規模システム向け仕様のJava EE/J2EEに準拠し、Web連携(Servlet)に加えて、分散システム開発機能を持つEJB(Enterprise JavaBeans)を扱うことができる。

 今回の新版では、Webアプリケーションの基本機能(Servletの実行など)に的を絞ってソフトウエア構成(プロファイル)を軽量化した「Liberty Profile」を新規に用意した。Liberty Profileでは、通常版のJava VMをそのまま使いつつ、ソフトウエアを簡略化し、大企業向けのJava規格を使えないようにしている。

 例えば、Liberty Profileでは、EJB、JAX-WS(SOAPベースのWebサービス)、メッセージングサービス、バッチ処理基盤、といった、大企業向けの機能群を使うことができない。また、負荷分散においてHTTPセッション情報を複数サーバーで共有する際に、Java VM間のメモリー間コピーを利用できない(データベースを介して共有するしかない)。

 Liberty Profileのサイズは50Mバイト以下である。通常のプロファイルは1Gバイトを超えるので、サイズは20分の1以下になる。軽量化によって、メモリーの使用量が大幅に減って数10Mバイト程度になった。起動時間も5秒以内になった。これにより、Javaアプリケーション開発者の負担を軽減できるほか、実行時のシステムリソースも軽量化できる。

 WAS V8.5の価格(税別、以下同)は、従来版と同じ。最小構成の「Expressエディション」は、標準的な100PVU(プロセッサ能力)当たり30万5700円。基本構成の「ベース・エディション」は、100PVU当たり70万4300円。