無知とウソで塗り固めた「在特会」反論書面(3):自己正当化のためによりによって「アパルトヘイト」を持ち出す在特会は底抜けの恥知らず


在特会が国連人種差別撤廃委員会に送付した反論書面へのつっこみも、これで最後です。よりにもよって、自分達の行動を正当化しようとしてアパルトヘイトを持ち出すとは、恥知らずにも程があるというものでしょう。


私は、委員会の皆様がかつて南アフリカで行われていたアパルトヘイト政策をご存知であると確信しております。アパルトヘイト政策は外国から来た白人がもともと住んでいた黒人を差別し、黒人たちが立ち入ることのできない区域を作りました。今、在日朝鮮人が享受している特権は、現在も続くアパルトヘイトと呼べるものです。京都朝鮮学校の目の前にある勧進橋児童公園や全国の朝鮮学校、全国の朝鮮関連の公的施設は、日本人の立ち入りが厳しく制限される場所となっています。未だにその朝鮮学校と公的施設を「原住民」たる日本人の多くが、たとえ規約を守るようにその使用制限を享受することを認めたとしても、利用することはできません。一方で日本の学校と公園や公民館等を含む公的施設はすべての人が等しく利用できます。在特会の主張はアパルトヘイトをやめるように要請するものであり、国際連合の意向に沿ったものです。


すでにTwitter
在日朝鮮人を『よそから来て南アフリカを支配した白人』に、日本人を『外国人支配に苦しむ南アフリカの先住民』に譬えて、『在日特権』とやらをアパルトヘイトになぞらえるという怪挙。・・・どんだけ笑わしてくれるのよこのレイシスト団体は
等のつっこみが入っている通り、まさに噴飯ものと言うべき主張です。


アパルトヘイト犯罪の抑圧及び処罰に関する国際条約(1973年、日本は未批准)でも定められているように、アパルトヘイトとは、支配的立場にある人種的集団南アフリカの場合には白人)が他の人種的集団南アフリカの場合には特に黒人)を隔離し、さまざまな人権侵害を行なう制度・政策・慣行を指します。より具体的には次のような行為が「アパルトヘイト犯罪」として定義され、「人道に対する犯罪」として厳しく断罪されています。

第二条 定義
 この条約の適用上、「アパルトヘイト犯罪」(南部アフリカにおいて行われている人種隔離及び差別の類似の政策及び慣行を含む。)とは、一つの人種的集団が他の人種的集団に対する支配を確立し及び維持し並びに体系的に他の人種的集団を圧迫する目的で行う次の非人道的行為をいう。
(a) 人種的集団の構成員に対して、次の方法により生命についての権利及び身体の自由を否認すること。
 (i) 人種的集団の構成員を殺害すること。
 (ii) 人種的集団の構成員に重大な身体的又は精神的危害を加えること、その自由又は尊厳を侵害すること、又は拷問若しくは残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰に服させること。
 (iii)人種的集団の構成員を恣意的に逮捕し及び違法に投獄すること。
(b) 人種的集団にその全部又は一部の物理的破壊を生じさせることを意図した生活条件を故意に課すること。
(c) 人種的集団が国の政治的、社会的、経済的及び文化的生活に参加するのを妨げることを意図した立法上の措置その他の措置をとること、並びに、特に人種的集団の構成員に基本的な人権及び自由(労働の権利、労働組合を結成する権利、教育についての権利、自国を去り自国に戻る権利、国籍を得る権利、移動及び居住の自由についての権利、意見及び表現の自由についての権利、並びに平和的集会及び結社の自由についての権利を含む。)を否認することによって、そのような集団の完全な発展を妨げる条件を故意に創出すること。
(d) 人種的集団の構成員のために別個の特別区及びゲットーを創出し、種々の人種的集団構成員の間の婚姻を禁止し、人種的集団又はその構成員に属する土地財産を没収することにより、住民を人種的血統に従って分割することを意図した措置(立法措置を含む。)をとること。
(e) 特に、強制労働に服させることにより、人種的集団の構成員の労働を搾取すること。
(f) アパルトヘイトに反対していることを理由に、基本的な権利及び自由を奪うことにより、団体及び個人を迫害すること。


帰化して日本国籍を取得した場合を除けば地方参政権すら認められていない在日朝鮮人が、いったいどうすれば日本人に対する「支配を確立し及び維持」する目的でこのような行為を行なえるのでしょうか。在日朝鮮人原住民土地法や集団地域法を作り、日本人を日本人専用の「別個の特別区及びゲットー」に押し込めたりしているでしょうか。


在特会は、単に自分達が朝鮮学校在日朝鮮人関連施設に立ち入れないだけの話をアパルトヘイトになぞらえるという壮大な愚挙を犯し、アパルトヘイトによって苦しめられてきた黒人らを、そしてその廃絶のために命がけで取り組んできたすべての人びとを、根本的に侮辱しています。これが国際連合の意向に沿ったもの」などと堂々と主張するのですから、本当に恥さらしです。


もちろん、在特会が主張するような、「日本の学校と公園や公民館等を含む公的施設はすべての人が等しく利用できます」などという実態も存在しません。すべての公的施設には設置目的があり、その趣旨にそぐわない利用は制限されます。


たとえば公民館は「市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的」とする施設(社会教育法第20条)であって、区域外の住民が自由に利用できるようなものではありません。


また、近々取り上げる予定の豊中・館長雇止め訴訟の東京高裁判決(PDFファイル)は、「すてっぷ」(とよなか男女共同参画推進センター)の会議室を増木重夫に利用させたことについて、次のように「許されないもの」という認識を示しています。

 平成14年7月8日,増木重夫と名乗る者が来館し,「ジェンダーフリーの危険性を学ぶ」という主旨の勉強会をするということで,「すてっぷ」の貸室の申込みがあったが,「すてっぷ」は,会合名から,「すてっぷ」の設立目的に反すると判断し,目的外使用であるとして使用を断った。
 しかし,同人は,被控訴人市女性政策課に抗議し,貸せないなら文書で回答することを求めた。その結果,被控訴人市は,一般使用として認めるに至り,同年8月30日,一般使用がされた。
 なお,「とよなか男女共同参画推進センター条例は,「すてっぷ」の事業の1つとして施設の提供を定めており,目的使用と,一般使用がある。
 目的使用とは,男女共同参画の推進に関する会議,研修,催しなどのための使用であり(同条例3条1項6号),一般使用とは,「すてっぷ」の設置目的を達成する事業に支障がなく,市長の承認を得た場合の使用である(同条例3条2項)。市長は,増木の活動が「すてっぷ」に対する嫌がらせを目的とすることを知悉しながら,さらなる同人の不当な攻撃を回避するため,上記8月30日の貸室使用を認めたのであり,これは「すてっぷ」の貸室としては上記条例に規定の一般使用としても許されないものといえる。
(太字は引用者=3羽の雀)


学校施設への立ち入りや利用は、当然のことながら、公民館等の公的施設の場合よりもさらに制限されています。国立・公立学校については「学校・・・の管理機関は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない」(社会教育法第44条)という努力義務が定められていますが、それ以外の目的で学校施設を利用させた場合、かえって厳しい批判の対象になるでしょう。


また、私立学校に対しては、私立学校振興助成法に基づいて補助を受けているにも関わらず、このような努力義務さえ課されていません。各種学校である朝鮮学校が、何ゆえに、部外者に対して学校施設への立入りやその利用を保障しなければならないのでしょうか。文句があるなら、そのへんの私立学校に突入して勝手に逮捕されればよろしい。


このように、「日本の学校・・・はすべての人が等しく利用できます」という在特会の主張は虚偽以外の何ものでもありません。まして、公立学校でさえ、大阪教育大学附属池田小学校(国立)で2001年に起きた児童殺傷事件を契機として、部外者の立ち入りを厳しく警戒するようになっていますし、そうしなければならない事情もあります。すべての学校への自由な立ち入りを要求する在特会は、子供達を犯罪の危険にさらしたいのでしょうか。


なお、勧進橋児童公園で「日本人の立ち入りが厳しく制限され」ていたかどうかについても大いに疑問がありますが、そのような証拠は提示されていないことを指摘するだけに留めておきます。そんなに日本人の立ち入り制限に不満があるなら、とりあえず「日本人の立ち入りが厳しく制限」されている米軍基地につっこんでくればよろしいんじゃないでしょうか。


さて、アパルトヘイト云々という与太についてはこのぐらいにして、(1)(2)で取り上げてこなかった点についても簡単に触れておきます。

委員会報告書のもう一つの言及の中で、朝鮮学校に関する補助金の区別について取り上げられていました。しかし、あらゆる形態の人種差別を〔ママ〕撤廃に関する条約第一条第二項には、市民と非市民の間に設ける区別、排除、制限又は優先について適用しないとあります。ここに同条約に基づいて組織される委員会が朝鮮学校への補助金の一件を取り上げた事は越権行為と言わざるを得ません。何故ならば、在日朝鮮人は日本国内においてあくまで朝鮮人(非市民)であり、日本人(市民)ではありません。委員会こそ同条約を遵守し、朝鮮学校と日本の学校の区別に対して口出ししないよう、強く忠告いたします。


確かに人種差別撤廃条約第1条第2項では「この条約は、締約国が市民と市民でない者との間に設ける区別、排除、制限又は優先については、適用しない」と定められていますが、たとえば外国人学校を高校無償化の対象としておきながら朝鮮学校だけを除外するという対応は「市民と市民でない者との間に設ける区別」ではありません。したがって、その理由づけ如何によっては、そしてそのような区別が「子どもの教育に差別的な影響」(委員会の最終見解〔PDFファイル〕22)を与えている場合には、十分に委員会が取り上げるべき問題となり得ます。


日本に対する最終見解(PDFファイル)でも触れられていますが、委員会が「市民でない者に対する差別」に関する一般的勧告30(2004年)で次のように指摘していることも参照。

2.〔人種差別撤廃条約〕第1条2項は、差別の基本的な禁止を害することを回避するよう解釈しなければならない。したがって、同項は、とくに、「世界人権宣言」、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」、および「市民的及び政治的権利に関する国際規約」が承認し、および規定する権利および自由を縮減するものと解釈されるべきではない。
3.条約第5条は、締約国が、市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利の享有における人種差別を禁止し、および撤廃するべき義務を規定している。これらの権利のうちのいくつかのもの、たとえば、選挙に投票および立候補によって参加する権利は市民にのみ限定することができる。しかし、人権は、原則として、すべての者によって享有されなければならない。締約国は、国際法に基づいて認められた範囲において、これらの権利の享有における、市民と市民でない者との間の平等を保障する義務を負う。
4.条約上、市民権または出入国管理法令上の地位に基づく取扱いの相違は、次のときには差別となる。すなわち、当該相違の基準が、条約の趣旨および目的に照らして判断した場合において正当な目的に従って適用されていないとき、および、当該目的の達成と均衡していないときである。・・・


したがって委員会の対応は必ずしも「越権行為」とは言えないと思いますが、在特会は単に八つ当たりをしているだけですので、このぐらいにしておきます。最後に、もうひとつの八つ当たりについて。

せっかく朝鮮学校問題を報告として取り上げたのですから、この機会に委員会として朝鮮学校の犯罪行為について調査するように要請します。ご存知のように現在、日本では麻薬が深刻な社会問題になっています。そして、その麻薬や覚醒剤の多くが北朝鮮から密輸されております。一例ですが、日本国内の朝鮮学校の校長が覚醒剤密輸で国際指名手配される事件(2000年2月)も起きています。日本人だけでなく在日朝鮮人もその麻薬・覚醒剤の被害を受けており、朝鮮学校が関与する密輸は人権侵害として取り扱うべき事案ではないかと考えられます。


それこそ「越権行為」です。何を言っているんでしょうか。逆に、十分な根拠もなく朝鮮学校の犯罪行為」について言い立てる行為(たとえば国際指名手配されているのは朝鮮学校の校長」ではなく校長)こそ、委員会が取り上げるべき事案となり得ます。


つまるところ、どう見ても正当化しようのない襲撃を無理やり取り繕おうとして、ますます愚かさをさらけ出してしまったのが在特会だというわけです。人種差別撤廃委員会がこのような与太を相手にするかどうかわかりませんが、これ以上日本の恥をさらすのはやめていただきたいものです。


〔この記事は3月7日の夜にアップしたものです。〕