“大混乱への便乗”の勧め

直接の被災地ではない東京も、電力不足、配送力不足、物資の不足、さらに買い占め騒ぎなどで混乱が続いている。で、どうせならこの混乱に便乗してもっといろんなことが起ってもいいと思った。


たとえば・・・


(1) 日本新聞協会のこの記事によると、今回の地震で新聞用紙を生産する4工場が操業不能となったらしい。

へえー。

じゃあ対策として、当面の間、紙の新聞は止めてみるっていうのはどう?経過措置的に月水金は紙で発行し、他の日はネットで全部の記事を出すというのでもいい。

牛乳など食品を入れる紙パックや、トイレットペーパー、ティッシュなどいろんな紙製品が品薄になっているのだから、新聞各社もこの際、紙の節約に協力してみるのもいいんじゃないかな?と思った。



(2) 計画停電で東京が最も混乱しているのは、通勤時間帯の電車の間引き運行とそれに伴う混雑。一部の会社は既に在宅勤務やフレックス通勤を始めてるけど、どうせなら一斉にやってみたら?

たとえば、東京の全企業は「社員を週3日しか出社させてはいけない」と決めてしまい、残りの2日は在宅勤務にする。これで全体の通勤量は4割減る。

向こう数ヶ月、メールやスカイプなどをフル稼働して仕事してみたら、案外出社の必要性は低い企業もたくさんありそう。この際まずは「ホントに出社する必要があるの?」と、確認してみたらいいと思う。



(3) ついにラジオ放送がネットで全国に流れ始めたけど(radiko.jpのプレスリリースはこちら)、こんなの、もうこのまま続けるべきだよね。


地上波テレビもこれを機に「当面の間」、全国すべてのエリアでネット配信してみたら?と思った。そういえば日経新聞も“混乱に乗じて”NHKにこんなことを頼んでいたみたい。

NHK、ネット通じた地震映像の配信認めず


 NHKは11日、他の報道機関がインターネットを通じてNHKの東北大地震の放送映像を配信することを受け入れなかった。NHK広報部によると「NHKの放送やウェブサイトで流すために現場に人員を投入しており、NHKの媒体で見てもらうのが筋だ」という。


 NHKは新聞紙面上で放送映像を「NHKの映像」と断ったうえで掲載することを認めているが、他の報道機関がネットに配信するのは認めていない。日本経済新聞社は、今回は未曽有の非常事態で、公共性の高いNHKの重要な映像情報を幅広く提供したい意向を伝えたが、受け入れられなかった。

    ・元記事はこちら


「日経新聞、おぬしもやるなあ」って感じはあるけど、確かにそもそもNHKって利益出す必要ないんだから、こういう時こそ持っている貴重な情報はみんなに開示すればいいじゃん!
(2011/03/21追記:NHKはその後、一次的措置として情報をネットに配信していました。何人かの方からご指摘があったので追記しておきます。)



(4) 4月になると就活シーズンが始まる。電力も輸送力も全然足りないのに、学生が説明会の参加や面接のために高速バスや鉄道で大量に移動するのは復興の妨げだよね。

一部の会社は採用選考時期を数ヶ月遅らせるらしいけど、電力も輸送力も数ヶ月程度では回復しないし、そもそも採用時期を数ヶ月遅らせて真夏の電力ピーク時にぶつけたりしたら百害あって一利無し。

なので、すべての企業に「企業説明会は全部 ustream配信し Youtubeにアップすべし」って命じたらどうだろ?

これなら学生は無駄な移動をする必要がなくなるし、説明会の定員と学歴フィルターがどうのという不毛な議論も避けられる。企業側もどでかい会場を用意しなくて済むからコストカットにいいでしょ。

浮いたお金は是非被災地の寄付に回そうよ!



(5) 4月の地方選挙。被災地は数ヶ月遅らせるらしいけど、それくらい遅らせても「選挙どころではない」地域も多そう。そもそも投票会場になる自治体の建物や小学校などの多くは、東北地方でも、また東北から避難した人を受け入れて始めた関東や関西などでも、避難所として使われるケースが増えている。まさか選挙のために彼らを追い出すなんて非人道的なことはしないよね?

それに数ヶ月後くらいなら、「今はまだ関西などに避難しているけど、東北の県知事選に一票を投じたい!」という東北の方もいらっしゃると思う。そういう人も、選挙のためにわざわざ東北まで戻るのは無理だよね。

であれば、この際いっちょ「電子投票」でもやってみたら?テクニカルにはいろいろ課題もありそうだけど、この混乱下、物理的に投票場所を全国に設けたり、票を数えるために大量のアルバイトを税金で雇ったするコストだけでも大幅に削減できるじゃん!



(6) 東北の中でも、宮城県や岩手県の被害が相当大変そうで、山形など被害が比較的軽かったところが、人の受け入れなども含め相当の支援をしているみたい。実際のところ宮城県あたりは、向こう数年は通常の行政サービスには気が回らない状態なのではないかしら??

であれば、当面の間、東北は「東北州」的に動いてみたらどう?宮城県の行政サービスは復興と支援関連だけに限定し、それ以外の通常時の行政サービスに関わる判断や指揮系統は、山形や秋田などの比較的余裕がある県の議会、役所、などに委託してしまうのはどうだろ?

仙台を抱える宮城県としては「とんでもない!」アイデアなのかもしれないけど、背に腹は替えられないところもあるはず。この際、地域で一体化して動いてみるのもアリだと思う。

もちろん「被災地だけにそんなことを押しつけるのはひどい!」という意見が多いだろうから、この際、全国で県を廃止し、行政単位は各地域ブロックにまとめてしまってもいいかも。実際、関西も名古屋もそういうこと言い出してる人がでてきてるわけだし!



(7) なんでこんな小さな国で、西と東で電気のヘルツが違うとかアホみたいなことをいつまでも続けているのか、ちきりんには全然わからない。技術的にはいろいろあるんだろうけど、この際、統一することを考えてみたら?

そして復興後は、全国で東京電力と関西電力と中部電力がサービスを提供し、消費者は「どこの会社の電気を買うか」を選べるようにすればいい。今までなら東電が強すぎて他のエリアの電力会社は反対だったのかもしれないけど、東電なんてもうヘロヘロなんだから、今ならみんな賛成できるのでは?



(8) ついでに、企業の解雇規制も撤廃しちゃえ!と思ったけど、今回の地震との屁理屈付けを思いつかなかったのでとりあえずパス。



というわけで、今は本当に世の中が混乱しているので、これを機に今までできなかったいろんなことを大胆にやってみるのもいいと思う。


そんじゃーね。


http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+personal/  http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+shop/