Sunday Song Book #962

2011年03月20日 | Sunday Song Book

<03月20日プレイリスト>
[「東日本大震災鎮魂プログラム」]
希望という名の光/山下達郎 '10
CLOSE TO YOU/FRANK SINATRA "CLOSE TO YOU" '57
ずっと一緒さ/山下達郎 '08
CARAVAN OF LOVE/THE HOUSEMARTINS '86
MARVELOUS/WALTER HAWKINS "LOVE ALIVE V" '98
LET ME BE THE ONE/PAUL WILLIAMS "JUST AN OLD FASHONED LOVE SONG" '71
THOUGH YOU ARE FAR AWAY/COLIN BLUNSTONE "ONE YEAR" '71
人生の扉/竹内まりや "デニム" '07 "エクスプレッションズ" '08
CLOSE YOUR EYES/山下達郎 "ON THE STREET CORNER 1" '80
蒼氓/山下達郎 "僕の中の少年" '88 "トレジャーズ" '94
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■内容の一部を抜粋
・東日本大震災鎮魂プログラム
山下達郎: みなさん、こんにちは。山下達郎です。毎週日曜日午後2時からの55分間は、わたくし山下達郎がお送りいたします「JACCS CARD SUNDAY SONG BOOK」の時間であります。TOKYO FMをキーステーションといたしましてJFN全国38局ネットでお届けいたしております。まずもって今回の東日本大震災で被災された皆さま方に、心よりお見舞い申し上げます。地震や津波によりまして、ご家族やご友人、ご家庭、財産を奪われた方のご悲嘆は、察するに余りありまして、申すべき言葉をもてません。行方不明の方々のご無事と、一刻も早い救援、ならびに被災地、避難所でご不自由な環境においでの皆様方々に対する速やかな援助の手を、重ねて心よりお祈り申し上げております。こんなことしか申し上げられなくて、誠に申し訳ありません。私の母の生まれが仙台でありますんで、東北には親類が数多く居住しております。昨日、最後まで連絡が取れなかった松島の親類が人、家とも無事なことが確認できまして、お蔭様で私の親類縁者、友人は全員無事が確認されております。この番組にはリスナーの皆様方々からいろいろと安否のお便りをたくさんいただきました。この場を借りて厚く厚く御礼を申し上げます。東京にも重苦しい空気が立ち込めておりますけれど、被災地の方々があれほど大変な思いをされてるときにですね、五体満足な我々がへこんでいたら、どうしようもありませんので、努めて冷静にと心掛けております。とはいえ、例えば私のような立場の人間はですね、今すぐできることといって、募金と節電ぐらいという、もどかしさであります。ただ、わたくしはJFNネットワークのこの番組「SUNDAY SONG BOOK」を18年半続けてまいりました。私にとってはこの番組が自分の言葉や考えの発信基地と考えております。それに基づいて今日の番組もお届けしたいと思います。私がこの番組を担当して18年半、先週は番組がはじめて休止となりました。外的な要因により番組が放送されなかったことはこれまで一度もありませんでした。お蔭様でようやく今週はオンエアされる運びとなりましたけれど、放送千回が一回遠のいてしまいました。ラジオは今回のような災害状況の中では、特に被災地においては、以前と変わらず有効なメディアのひとつであるということが今回も確認されました。私も家にあるサバイバル・グッズの中から手回し充電式ラジオを出してきまして不足の停電に備えております。というわけで今日は震災後初のオンエアになります。被災地にもこの番組「SUNDAY SONG BOOK」のリスナー皆様が大勢おります。避難所で今お聞きいただいてる方も、ひょっとしておいでかもしれません。こういう状況下、ラジオ、テレビといったメディアの音楽番組では、なるべく最大公約数的な、例えば「WE ARE THE WORLD」とか「上を向いて歩こう」といったような選曲、あるいは歌詞がよりダイレクトに伝わる邦楽中心の選曲を発信されておりますけれど、私は私になりにこの「SUNDAY SONG BOOK」という番組を毎週楽しみにしてくださるリスナーの皆様が、どういうプログラムだったら、このほんのひととき息抜きをしていただけるかと、いろいろと考えた結果、本日の番組構成をしてみました。また私もミュージシャンでありますので、こうした空気の中でも聴いていただける作品というのも何曲か持ってるつもりです。本日の「SUNDAY SONG BOOK」はこの重い切迫した空気を、例えほんの少しでも和らげることができたらという祈りを込めて選曲をしました。本日はスポンサーのJACCS CARDのご理解とご厚意によりCMなし、全編音楽でお送りいたします。この番組の18年半のパートナー、JACCS CARDと共に、とってもちっぽけで取るに足りないものでありますけれど、本日の番組は私のささやかな祈りとして、被災地の皆様と全国のリスナーの皆様に捧げたいと思います。なお、今日は小さなラジオでも、なるべくいい音で聴いていただけるように、音源にいつもと違うデジタル処理を施しておりますけれど、現在の東京の電源は定格電圧100ボルトがちゃんと機能してなくて、そういう時間が多いので思い通りの効果が得られないのかもしれません。この気持ちだけ汲んでやってください。それでは。

「希望という名の光」~「MARVELOUS」

山下達郎: 山下達郎がお送りいたしております「JACCS CARD SUNDAY SONG BOOK」。本日は震災特別鎮魂プログラムと自分では名づけましたが、果たして鎮魂に適うような内容かというのは、わかりません。でも精一杯。こんな状況下ですのに、仙台から超常連、矢部智剛さんがお便りをくださいました。

「このはがきが届く頃にはライフラインが復旧していることを願いながら書いてます。地震発生から5日目、3月15日です。14日のお昼ごろ、やっと電気が復旧しました。水とガスはまだです。水は東京都の給水車が2日目には仙台に入って水を配給してくださっていました。3時間ほど並びましたが。食料はスーパー、コンビニ、長蛇の列です。並んでも買えればいいほうです。小生はお蔭様で両親と3人、避難所に行くことなく、自分の家でなんとか三食食べられて寝られています。小生は恵まれています。もっともっと大変な状況の方々がたくさんいらっしゃいます。小生の生まれ育った石巻は津波で壊滅的な状況です。未だに親戚と連絡が取れないのです。心配です。そんな中、たくさんの達郎さん、まりやさんの音楽を通して知り合った友人から安否を確認、心配するメールをいただいておりました。やっと電気が通じて大丈夫とメールを送ったときに、友人のひとりは運転中で、ラジオから『希望という名の光』がながれていて、思わず涙が流れてきたそうです。きっと達郎さんのがんばれという思いが届いたのだと思います。みなさんのエールが力を与えてくださって、たくさんの勇気を分けてもらっています。ありがとうございます。希望を持って上を向いて立ち上がれば、必ず大好きな仙台は復活すると信じています。まずは生きています、勇気をありがとうと伝えたかったので」

現場の声が聞こえます。しかし、はがきを書いて送る矢部さんも凄いですけれど、このはがきがちゃんと番組の前までに届くという郵便局の機動力も凄いですね。こういうのホントにグッときてしまいます。山下達郎「SUNDAY SONG BOOK」。それでは引き続き、どうぞ。

「LET ME BE THE ONE」~「蒼氓」

・希望という名の光
達郎さんの2010年のシングル。たくさんのリクエストがあったそうだ。

・CLOSE TO YOU
フランク・シナトラの1957年のアルバムのタイトル・ソング。

・ずっと一緒さ
達郎さんの2008年のシングル。

・CARAVAN OF LOVE
もともとはアイズリー・ジャスパー・アイズリーの1985年のヒット・ソング。イギリスの4人組の白人グループ、ハウスマーティンズがカヴァー。1986年、全英NO.1。

・MARVELOUS
「こういうときにはやっぱりゴスペルという音楽の力がものすごく強いので」と達郎さん。最近亡くなったウォルター・ホーキンスの1998年のライヴ・アルバム『LOVE ALIVE V』から。

・LET ME BE THE ONE
ポール・ウィリアムスの1971年のアルバム『JUST AN OLD FASHONED LOVE SONG』から。
寂しいときは僕を呼んでくれという歌なのだとか。

・THOUGH YOU ARE FAR AWAY
ゾンビーズのリード・ヴォーカル、コリン・ブランストンの1971年のソロ・アルバム『ONE YEAR』から。

・人生の扉
まりやさんの2007年のアルバム『DENIM』から。

・CLOSE YOUR EYES
達郎さんの1981年のアカペラ『ON THE STREET CORNER』から。

・蒼氓
達郎さんの1988年のアルバムから『僕の中の少年』から。

山下達郎: こうした事態になりますと、いろいろなところで、いろいろなご意見が噴出してまいります。神戸女学院の大学教授の内田樹さんのブログを拝見しますとですね、こういう場合の重要要素は「寛容」と「臨機応変」と、それから「専門家への委託」だとおっしゃっております。正確な情報といったところで千年に一度の大災害といったこういう状況ではですね、自ずから限度があることも事実でしょうけれど、それでも私たちがいちばん知りたいのは、メディアの評論化ごっこではなくて、隠蔽されていない正確な情報であります。専門家に下駄を預ける以外ない事柄は、彼らを信頼するしかないと、思わざるを得ませんが、従いまして私はこれまで通り、私のプロフェッションであるこの音楽芸能と、それからこのラジオ・プログラムで少しでも世の中のお役に立てればという具合に考えております。生の音楽が必要とされてるときが来たら、それが許される時期が来たら、私も私なりの活動をはじめようと思っております。幸いなことに電気などなくても、ノーマイク、ノーP.A.でも、私の音楽はある程度の表現が可能ですので。今は何よりも被災地で懸命に救援、復旧活動をされている消防、警察、救急、自衛隊、そして世界各国の救援活動隊の皆様に心からの感謝とエールを送りつつ、併せて業務の安全を心よりお祈り申し上げております。本当にありがとうございます。とりわけこの瞬間に死を賭して原発事故と闘っておられる皆様に心から感謝し、成功を心よりお祈りしております。真の英雄は彼らであります。来週は情勢次第です。今日の延長戦となるかもしれません。来週はまた、普通のプログラムに戻れるかもしれませんが、一刻も早く普通のプログラムが、復帰できることを願って、全国のみなさん、ここががんばりどころでありますので、この先みんなでこの国、立て直すために力を合わせてまいりましょう。それでは来週もセイムタイム、セイムチャンネルでお目にかかれることを祈りつつ。山下達郎でした。

・内田樹さんのブログ
http://blog.tatsuru.com/

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

■今後の予定
03月28日の「サンデー・ソングブック」は、内容未定ですが、本日の延長戦、もしくはレギュラープログラムになると思います。
http://www.smile-co.co.jp/tats/

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