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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

HIV無断検査の結果、内定が取り消しになった〜同性愛者向けの法律相談 FAQその2

法律相談FAQ(よくある相談)より:

Q.HIV無断検査の結果、内定が取り消しになった。会社はこのようなことができるのでしょうか?

ある会社から採用内定通知をもらいました。実際に勤務に就く前に健康診断を受けてほしいとの事だったので、会社の指示に従い、健康診断を受けたところ、就業数日前になって、「あなたがHIVに感染していることが分かった。当社の業務の性質上、問題があるので、内定を取り消します。」と言われました。このようなことができるのでしょうか。

A.明らかに違法です。

HIV感染については一切の就業制限がありませんし、法律上、雇用主に義務づけられている健康診断の検査項目にも入っていません。又、無断でHIV検査が行われた場合、それ自体違法行為です(※)。このような会社に就職しないとしても、不法行為による損害賠償と慰謝料の請求くらいはしてもよいのではないでしょうか。

内定は、解雇権留保付労働契約(30日以上前の解雇予告を必要としない労働契約の一種)と考えられていますが、採用内定通知が発信された段階で、労働契約が成立していると捉えられていますので、内定取り消しをするためには、客観的に合理的であって社会通念上相当とされる理由が必要となります。HIV感染には、内定を取り消すべき合理性も相当性もありませんから、内定取り消しは無効(法律的効果が最初からないこと)となり、契約上の地位の確認や賃金の請求をすることができます。

※雇用主は、一般的には、労働者に対する健康配慮をする義務がありますが、HIV感染の有無については、通常、雇用主が知る必要のない情報であるとした裁判例として、千葉地裁H12.6.12判決、東京地裁H15.5.28判決(警察学校の事例)などがあります。
アカーに相談があった例では、HIV無断検査をされ不当な退職勧奨や配転を受けた例があります(いずれも訴訟になり勝訴的和解により解決)。

●同性愛者向けの法律相談

GB-SOS 法律律相談

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  • 2)職場や学校などでの生活上での性的指向による差別
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