東住吉女児焼死再審

「自白は虚偽」と捜査の違法性認定 母親に無罪判決 検察上訴放棄、即日確定へ 

花柄ワンピースを着た青木恵子さん(中央左)が弁護団とともに大阪地裁に入る=10日午前、大阪市北区(前川純一郎撮影)
花柄ワンピースを着た青木恵子さん(中央左)が弁護団とともに大阪地裁に入る=10日午前、大阪市北区(前川純一郎撮影)

 大阪市東住吉区で平成7年、小学6年の女児=当時(11)=が焼死した火災で、殺人などの罪で無期懲役刑が確定し、昨年10月に釈放された母親の青木恵子さん(52)の再審判決公判が10日、大阪地裁で開かれた。西野吾一裁判長は「自白に信用性も任意性もなく、虚偽であることは明らかだ」として捜査の違法性を認定し、青木さんに無罪を言い渡した。

 戦後に発生し、死刑か無期懲役が確定した事件で、再審無罪となったのは9件目。大阪地検は無罪判決に対する上訴権放棄の手続きを地裁に申し立てる方針で、青木さんの無罪が即日確定する。

 放火の実行犯とされた朴龍晧(ぼく・たつひろ)さん(50)の再審判決公判も10日午後に開かれ、無罪が言い渡される。

 事件は捜査段階の2人の自白以外に直接証拠がなく、自白が有罪認定の最大の根拠とされた。

 再審判決で西野裁判長は「ガソリン約7リットルをまいてライターで火を付けた」とする朴さんの自白を検討。ガソリンをまき切る前に気化して風呂釜の種火に引火し、一気に炎上するという弁護団の再現実験結果を踏まえ、「自白通りの放火は実現可能性に乏しい」と指摘した。朴さんと共謀し、保険金目当てに長女を殺害したという青木さんの自白も信用性を否定した。

 そのうえで火災原因について「車の給油口からガソリンが漏れ、種火に引火した自然発火の可能性が高い」と結論づけた。

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