写真1●位置情報サービスの最新事情を解説する日経BP社中川ヒロミ(左)と、翻訳者の滑川海彦氏
写真1●位置情報サービスの最新事情を解説する日経BP社中川ヒロミ(左)と、翻訳者の滑川海彦氏
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写真2●翻訳者の高橋信夫氏
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写真3●ITpro副編集長の根本浩之。forsquare上で位置情報に関連した「ティップス」を書き込んでいる
写真3●ITpro副編集長の根本浩之。forsquare上で位置情報に関連した「ティップス」を書き込んでいる
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 2012年7月26日、日経BP社主催のイベント「モバイル&ソーシャルWEEK 2012」の中で、「位置情報サービス最新事情」をテーマとする専門セッションが行われた。米国の最新事情に詳しく、書籍『フォースクエア 位置情報の威力』(カーマイン・ガロ著、日経BP社)の翻訳者である滑川海彦・高橋信夫両氏と、日本国内のエンタープライズソーシャル分野に詳しいITpro副編集長の根本浩之が登壇した。司会は、日経BP社出版局編集第一部の中川ヒロミが務めた。

 「foursquare(フォースクエア)」は同名の米国企業が運営するソーシャルネット・位置情報サービス(Location-Based Services=LBS)で、日本を含む全世界で2000万人以上の登録者がいる。スマートフォンなどのGPS機能を基に、現在地に近い「ベニュー」(店舗やオフィス、公園、駅など)を表示し、利用者が「チェックイン」できる仕組み。サービス全体では総計20億回以上のチェックインが行われたという。

 利用者が同じベニューにチェックインを繰り返すと「メイヤー(市長)」になれたり、一定の条件を満たすと「スーパーメイヤー」「フォトジェニック」などの「バッジ(称号)」をもらえたりという、“ゲーミフィケーション”(関連記事)の要素がある。

 企業・店舗にとっては、特定の店舗にチェックインした人に割引クーポンを提供したり、メイヤーになるようなリピート顧客に特典を提供したりという形で、集客・マーケティングに活用できる。foursquareは企業・店舗から広告収入を得る。(関連記事:Foursquare、有料広告サービス「Promoted Updates」を発表

 翻訳者の滑川氏(写真1右)は「foursquareはネットビジネスでは珍しく、ニューヨークで生まれたサービスだ。日本では普及途上だが、人口密度が高く店舗などが密集するニューヨークと環境が似た日本では受け入れられやすいだろう」と話した。

 司会の中川(写真1左)は「他にも同様のサービスが多数あるなかで、なぜfoursquareが会員数やチェックイン数を伸ばしたのか」と質問した。これに答えて、高橋氏(写真2)はfoursquareがゲーム性を巧みに組み込んでいる点を指摘。「Twitterにも位置情報を付加してつぶやきを投稿する機能があるが、不用意に居場所を知られる可能性があり、あまり使われていない。ただし、Facebookはfoursquareを意識したチェックイン機能を追加しており、Googleも力を入れつつあるなど、競争は激しくなっている」と説明した。

 ITproの根本(写真3)は「日本ではネット通販が急速に伸びたが、依然として店舗での消費が優勢だ。企業にとって、ネット通販に注力するよりも、位置情報サービスで“店の前にいることが明らかなお客”を取り込んで購買につなげようというのは理にかなっている」と分析した。一方で、位置情報サービスには自分の行動が他人に共有されるという側面があり、「利用者にとって、プライバシーを開示するのに代わる十分なメリットがなければ、活用は進まないだろう」と指摘した。

[foursquareのWebサイト]
[フォースクエア 位置情報の威力]

■変更履歴
記事公開時、翻訳者の高橋信夫氏のお名前を誤記しました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2012/7/27 10:59]