詠春拳のスピーチ『イップ・マン 葉問』

あのブルース・リーが、ただ一人師と仰いだ武術家イップ・マン(葉問)の物語。新宿武蔵野館で見てきました。っていうかさ、ブルース・リーほどのお人にもさ、誰かの弟子になって修行に励んでいる時期があったんだな!いや、当たり前だけどさ、なんかびっくりなんだよ。ブルース・リーという言葉にはさ、老若男女問わず万国共通で「神様」という認識があるでしょう?なんかさ、神様に弟子入りされたら大変だなオイ!(?)

さて、この映画。非の打ち所のない大傑作だったわけですが、一体どう大傑作なのか?簡単です。速い、強い、そして美しい、それすなわち超大傑作なり!よし、終わりだ。あ、いや、さびしがり屋だから続けるけども、こと中国アクションに対する知識って、ぼくには本当に無くて、そんなぼくから出てくる言葉では表現しようのないかっこよさがあったわけなんですが、この映画のアクションシーンには本当に本当に感激しました。ドニー・イェン演ずるイップ・マンの拳がスクリーンに一瞬でも映るたび猛烈に感動してしまい、珍しくアクション映画で涙を流すことに。もしかしたら、これまで目にしてきたアクションシーンのなかでナンバーワンのかっこよさであったかもしれない。とにかく本当にたまげてしまいました。

そんな素晴らしいアクションてんこ盛りの大傑作である本作。鑑賞後はあまりの大満足さ加減にため息をもらしてしまったのだけど、個人的には最後の最後のアクションではないオマケ的な場面にもグッときたのだ。まあ、これはあまり意図しての演出ではないのだろうけど、勝利者インタビューを受けるイップ・マンが粛々と述べる「私は勝ったが、中国武術がボクシングに勝っているわけではない。(中略)、皆が共存していけると信じている」といった旨のコメント。このコメントを通訳の男が、イップ・マンに最大限の敬意を払ったように簡潔に且つ意味を崩さずに通訳していて、その言葉どおり敬意と熱意が異国の者同士をつないでいるように思えてしまい、微妙な場面ながら涙してしまったのだ。あの通訳の人は一体何者だったのだろうか。他にでていた場面あったかな?自宅鑑賞の際にはまず通訳の彼を確認したいと思います。いやはや、それにしても本当に見てよかった。見た直後すぐまた見たくなる大傑作でありました。今回のような映画体験にめぐり合えるよう、これからも惜しむことなかれ、稽古代(遠征費用)。