トヨタ、燃費40キロ超す小型ハイブリッド 岩手で生産
来年1月ごろ発売めざす
トヨタ自動車の豊田章男社長は19日、仙台市内で記者会見し、セダンタイプの「プリウス」より小型の最新ハイブリッド車(HV)を岩手県で生産する方針を明らかにした。東北での人材育成に向け、若手技術者向けの訓練校の設立も正式に表明。災害対策として完成車製造子会社、セントラル自動車の宮城工場(宮城県大衡村)には年内にも消費電力の9割をカバーする自家発電設備を導入する。
新型HVはトヨタが今後完全子会社化する関東自動車工業の岩手工場(岩手県金ケ崎町)で年内にも量産に入り、来年1月ごろの発売を目指している。「2010年に過去最高の年間約31万台を販売した現行プリウスのような人気車種になる可能性もある」(トヨタ幹部)とみて、生産・販売に注力する。
新車の燃費性能はガソリン1リットルあたり40キロメートル超(10.15モード)とみられ、乗用車として世界最高水準になる。ガソリン車で低燃費を実現したグループのダイハツ工業と連動する形で相次ぎ新車を投入、環境車で他社を引き離す。
最新HVの名称は未定だが、国内販売向けは「プリウス」ブランドを含める案が有力。国内販売価格は、競合するホンダのHV「フィットハイブリッド」に対抗する狙いから159万円前後で検討しているもようだ。
豊田社長は宮城県のエンジン工場の建設も正式に発表した。部品製造子会社のトヨタ自動車東北(宮城県大和町)の工場に併設するかたちで年内にも年産10万基分の小型車向けエンジンの組み立て棟の工事にとりかかる。エンジン新工場では関東自岩手工場で生産する小型HVのエンジンの組み立ても想定している。
豊田社長は「オールトヨタで東北でのコンパクトカーづくりに力を入れ、被災地の復興を支援したい」と語った。新型HVも含め東北で生産する小型車の現地部品調達率を「できるだけ早く8割に高めたい」(新美篤志副社長)という。東北で基幹部品から完成車まで一貫して手がける体制で原価を低減し、小型HVなどの競争力につなげる狙いもありそうだ。