その都度、ちょっと面倒だったりはしたけれど。
先日、iPhone 5のドックコネクタが現在標準の30ピンから19ピンになりそう...という噂が伝わってきました。これはおそらくiPhoneだけじゃなく、今後はiPadにとっても新しい標準になると思われます。そうなると既存の充電ケーブルとかドックスピーカーとかは、少なくともそのままじゃ使えなくなって、何らかのコンバータが必要になるかもしれません。そんなコンバータがあるとして、また新たに買わなきゃいけないのか、手持ちのドックには美しく収まるか、などなど気をもむ人もいると思います。
新しい技術はいつだって、ガジェット好きをこんな風に悩ませてきました。つねに最新でベストのものを使おうとすると、どうしても既存のガジェットは「古い」ものにせざるを得なくなります。新しいものに何かしら下位互換性があったりしてソフトランディングできる場合もありますが、いつもそんなに簡単にいくとは限りません。
テクノロジーの宿命
イノベーションは、基本的にはみんなにとってうれしいものです。そして噂になっている19ピンのコネクタにも、明確なメリットがあります。コネクタのサイズが小さくなるということは、デバイスがさらに小さくなるということだったり、別のコンポーネントが入る余地が生まれるということだったりを意味します。コネクタのスペックはまだわかりませんが、データ転送速度も速くなる可能性がありますし、もしかしたらThunderboltのサポートだって、されるかもしれません。アップルがこの手の決断をするのは、これが初めてじゃありませんし、今後も同じようなことが起こるはずです。というのは、今までもアップルが他社に先駆けて(または、もともと自社独自のものだけど)別れを告げてきたたテクノロジーや標準がいくつもあるからです。そんな過去のテクノロジーたちを、以下に振り返ってみます。
フロッピーディスクドライブ
アップルがiMac G3を発表した1998年当時、まだみんなが3.5インチフロッピーディスクを使っていました。CDに書き込む手段はまだあまり普及しておらず、ましてフラッシュストレージなんてごく初期段階でした。それでもアップルは「フロッピーディスクはレガシーだ」という明確な意志を示し、どうしても必要なら外付けドライブを使ってね、というスタンスを取ったのです。それから間もなく、フロッピーディスクを見かけることはほとんどなくなりました。
CD/DVD SuperDrive
アップルがSuperDriveを搭載しない初代MacBook Airを発表したとき、多くの人が驚き、困惑しました。フロッピーディスクドライブの次は光学ドライブかと...。でもアップルは、USBメモリやインターネットを使えば、みんなにとってCDとかDVDは不要だと判断したんです。バックアップもストレージも、動画や音楽の入れ物としても。そして結局、基本的にはその通りでした。昨年にはUltrabookでも同様に、光学ドライブなしのモデルが複数のブランドから発売されています。
Firewire
Firewireはアップルが作った規格で、1999年以降他のメーカーにもFirewireポートを搭載するよう働きかけていました。でももっと良い技術が開発され普及したことで、アップルは現実を受け入れたんです。USB 2.0が登場してから、アップルはFirewireから徐々に離れていきました。まずiPodがUSBのみをサポートするようになり、次にMacBook ProからFirewire 400ポートがなくなりました。そして今MacBook ProのRetinaディスプレイモデルからもFirewireポートがなくなり、代わりにThunderboltポートとUSB 3.0ポートが搭載されています。
歴代ディスプレイコネクタ
iBookやPowerbookで小さいディスプレイコネクタが使われ始めたときは、今回のドックコネクタ19ピン化と同じような不満や不安の声がありました。でも、そこでmini-VGAポートが採用され、さらにmini-DVI、mini-DisplayPort、Thunderboltと進化していくことで、より小さなコネクタでより良い性能が実現され、ひとつのポートで複数の標準がサポートできるようになったんです。
MagSafe
先月のMacBook Pro・MacBook Airの刷新に伴って、MagSafe電源アダプタも小さくなりました。なので古いMagSafeはそのままではMagSafe 2ポートにはつなげられませんが、本体を新しく買えば新しいアダプタが付いてくるし、古いMagSafeをMagSafe 2ポートにつなぐためのコンバータも1000円以下で買えるんです。そしてこの小さなMagSafeによって、よりスリムなコンピューターが実現されてるんです。
で、ドックコネクタは...
iPhoneやiPadのドックコネクタが新しくなれば、古くなってしまうガジェットやアクセサリもあります。それは残念なことですが、過去の例から見ると、古いものも使い続けられるような何らかの手段が提供されることでしょう。そしてその移行のために多少の負担があったとしても、それに見合うメリットが(たとえばmicro USBへの対応とか)あるはずです。そんなメリットを楽しみにしましょう!
Adrian Covert(原文/miho)