OECD対日審査報告書の内容と日本国内メディアの扱いの落差の違和感への一つの回答 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

OECD対日審査報告書の内容と日本国内メディアの扱いの落差の違和感への一つの回答

秘書です。
OECDの対日審査報告書の報道で、インフレターゲットの提言部分の報道がごっそりぬけていることへの違和感について、以前、書きました


2011-04-21 17:31:31
OECD対日審査報告書:日銀の物価安定「理解」引き上げを→インフレ目標2%±1%ポイント
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10868178787.html

2011-04-25 16:32:12
日本の信認の維持-日本の信認を高めるOECDの金融政策枠組み改善の提案を無視するのななぜ?
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10872079120.html

この違和感を、高橋洋一さんが解明してくださりました。

財政と増税のみ報じられたOECDの経済審査報告書 金融政策後回しのワケは?
2011.04.28 ZAKZAK 高橋洋一
連載:2011「日本」の解き方
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110428/plt1104281534001-n1.htm

OECD(経済協力開発機構)の本部はフランスのパリにある。その起源は、1948年欧州16カ国で発足したOEEC(欧州経済協力機構)だ。その後、61年、OEEC加盟国に米国およびカナダが加わりOECDができた。日本は64年に加盟国となった。現在の加盟国は30カ国だ。

 OECDは毎年加盟国の経済政策をサーベイし報告書を発表している。サーベイは、OECDと各国の政策担当者が話しながら作成され、エコノミックサーベイといわれるもので、日本に対するサーベイが「対日審査」といわれている。

 21日発表の対日審査のオリジナル報告書では、東日本大震災後の経済見通し、金融政策、財政政策、新成長戦略、教育システム、労働市場という順番の章立てになっている

 しかし、日本での記者会見で配布された対日審査のアウトラインでは、日本の財政の持続可能性の達成、デフレを終了させる金融政策、日本の潜在成長力を加速する新成長戦略、教育システム改革、労働市場という順番である

 記者会見でも、この順番で説明され、ほとんどの時間は財政再建、消費税増税で費やされた。その結果、新聞報道では消費税増税だけがクローズアップされた

 オリジナル報告書では、まず地震のマクロ的な影響を分析し、「2012年の終わりまで需給ギャップは解消せず」、「デフレ圧力は持続する」とし、「デフレは、実質金利を高止まりさせ企業収益を圧迫し、その結果、賃金や雇用への下方圧力を生むことで成長の足かせとなっている」としている。

 その上で、物価上昇率について「2%プラスマイナス1%ポイント」という目標の導入を提言している。

 その次の章で、「中期的な財政健全化計画が不可欠」とし、「社会保障支出の改革」、「抜本的な税制改革」の必要性が強調されて、その中で消費税増税が言及されている。

 この順番は自然だ。マクロ経済から入り、経済成長のためにデフレ脱却、そのためにインフレ目標の金融政策、そして財政再建となる。財政は経済の一部であって、経済成長なしで財政再建はできないという立場だ。

 私は財政再建の必要性について人後に落ちない。本当に必要なら増税も仕方ない。しかし、名目成長率が4%にならないで増税したら経済がダメになって財政再建もおぼつかなくなる。財務省の財政再建は名目成長が上がる前に増税するという経済理論無視の下策だ

 オリジナルの報告書はすっきりした説明だが、日本での記者会見は説明順番が違い違和感がある。増税を言いたい財務省、インフレ目標を避けたい日銀の意向が働いたのだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

→下記の動画に記者会見の模様が確認できます。なぜ、説明の順番を入れ替えたのでしょう?・・・意向?

日本記者クラブHPより
2011年4月21日 14:30~ 15:30
OECD(経済協力開発機構)のグリア事務総長が記者会見し、対日審査報告書2011年版を発表し、東日本大震災後の経済見通しについて説明した。
http://www.youtube.com/user/jnpc#p/u/0/ZqjgA78_7Uc
↑この動画の11:35-13:11をみてください。政策のバランスをとるうえで経済成長が重要であることを主張しています。そしてインフレーションについての見解も参考に。このあたりの熱弁も完全に日本国内では黙殺。

OECDの対日審査報告書2011年版(2011年4月 概観)
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/macroeconomics_pdf/20110421jpnsurvey.pdf

→高橋さん指摘のように、たしかに、記者会見と順番が違ってます。