日本の自治体も注目する中国版Twitter「weibo」の活用最前線

イトウハルカ2012年07月25日 08時00分

 2009年4月に中国で誕生した中国版Twitterとも呼ばれている「微博(weibo:ウェイボ)」。正確には「マイクロブログ」というブログ小型版の総称であり、中国企業の多くが利用している。

  • 微博(weibo)のユーザー規模(出典:iResearch Japan)

 weiboは登録ユーザーがPCや各種モバイル端末を使って140文字前後の書き込みをし、情報やコミュニケーションをリアルタイムで発信できるというサービス。サービススタートから3年が経過した今、ユーザーは3億人を突破し、成長期から安定期に入ったといえる。iResearch Japanによると、今後は年率10%ほどの緩やかな伸びを続け、2014年には4億人を超えると予測されている。

 日本でも中国向けに事業を展開する企業をはじめ、中国人観光客を誘致する「インバウンド(海外から日本へ来る観光客)大作戦」と称し、地方自治体も活用している。今回は、地方自治体のweibo活用事例から日本企業のweiboを駆使したプロモーション活動について紹介しよう。

1万フォロワーや数千リツイートを獲得する地方自治体のweibo

 まず、インバウンドを目的とした地方自治体のweibo活用術についてレポートする。現在、全国17の地方自治体や県がweiboのアカウントを持ち、日々中国語で地元の観光情報を発信していることをみなさんはご存じだろうか?

 東北でいうと青森県、福島県、仙台市、「富士山」のある県として中国での知名度が比較的高い静岡県と山梨県、西の入り口である大阪府、後は長崎県や熊本県、鹿児島県など九州地方の多くがアカウントを持っている。中にはフォロワー数が1万を超えているアカウントや、リツイート数が頻繁に数千に上るアカウントも存在する。

 ネットのプロでもなく、中国語に長けているわけでもない彼らが一体どうやってweiboユーザーの心を動かしているのか? 山梨県のケースを例に挙げ説明していこう。

 山梨県は2011年8月に公式アカウント「富士之国山梨」をオープンした。観光PRとインバウンドの目的で運用が開始され、スタートから約1年で4500を超えるフォロワーを獲得している。

 主に(1)日々かかさない情報発信、(2)イレギュラーに行うプレゼントキャンペーン、(3)イベント時には、他コンテンツとweiboを連動させた企画を実施――の3軸を中心とした運営だ。

 (1)については、毎日5件程度のニュースを中国語で発信している。これは現地スタッフや代理店が地方自治体と協力し、地元のイベント情報や観光地紹介、地元の名産物、グルメや県のトリビア情報など投稿している。

  • 中国人観光客向けの特集サイト「富士山之●」

 またアカウント名を富士の国山梨とすることで、静岡と並んで富士山のある県であることをユーザーに意識させ、さらに東京から1時間でいけるアクセスの良さについてもPRしている。

 (2)では「リツイートしてくれた方へ日本にまつわるお土産を抽選でプレゼント!」というプレゼントキャンペーンをイレギュラーで開催している。実際にハローキティのクリアファイルやちょうちんなどの日本雑貨をプレゼントし、多くのリツイートを得た。

 最も観光客を呼び込みたいシーズンやイベント実施時には、(3)の施策として中国人観光客向けの特集サイト「富士山の春」を開設し、weiboと連動させている。2012年4月には、お花見シーズンということで富士山をバックにした絶景お花見スポットを紹介。同ページ内にweiboへの投稿機能を設け、「いいな」と感じた際すぐに記事が投稿できるような仕掛けを作った。

 weiboの良さは何といっても拡散性の高さだ。うまく利用すれば1つの投稿が1000にも1万にも拡散する。認知度の向上を狙うインバウンド先進地方がこの特性に目をつけ、先手をきってweiboの運営を開始したのだ。

 福島県などは、震災復興に関するニュースや2012年7月から開始した東北数次ビザ(※岩手、宮城、福島の東北3県いずれかを訪問する中国人個人観光客に対するビザで、期間内に何度でも利用できる。東北3県いずれかに1泊以上宿泊することが条件の一つ)の提供開始に合わせたトラベルツアーの紹介などで現在3万4000以上のフォロワーを獲得している。

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