2010年の科学的事件TOP10

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    2010年の科学的事件TOP10

    2011年はどんな年になるんでしょう?

    どんな科学技術の進歩があるんでしょう?

    わくわくしますね。

    2011年の科学的大発見はまだ発表されていないので、2010年の科学的事件TOP10を振り返ってみたいと思います。

    以前にギズモードで紹介した内容については、リンクをつけておくので詳しく知りたい方は、そちらもどうぞ。

    世界初の本物の色の恐竜ギズモードの記事

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    いままで恐竜の絵に表現されていた色は推定に過ぎませんでした。

    しかし、アンキオルニスの色は今までの推定とは違います。

    化石にメラニン色素を含む羽毛細胞が発見され、そのメラニンの組成を調べて、現在の鳥の羽毛細胞と比較することで色を特定しました。

    全体的には灰色、頭頂部と喉にある斑点は明るいオレンジ、羽に白い模様が入っていると考えられています。

    人工生命体?! ギズモードの記事

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    クレイグ・ベンター研究所では5月、人工ゲノムを作ることに成功しました。研究者達はコンピュータの上で完全に人工的に作られたゲノムを細菌の中に注入し、数時間の間、その細胞では2つのゲノムが存在していたそうです。(作られたゲノムには46人の研究者の名前やwebのURLが含まれているそうですよ。)

    ベンター教授らは、安価なバイオ燃料や医薬品への利用など様々なことに利用できるのではないかと考えているそうです。

    教授らは特許を取ることを望んでいるそうです。生物の器官に関する特許は批判されて当然ですが、人工微生物に関する特許についてはどうでしょうか。とりあえず今の所、合衆国にはそういったことを規制する法律はありません。

    ビッグバンは一度ではなかった

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    ビッグバンによって放出された放射線図の最新解析では、ビッグバンは1度ではなく、何度も繰り返されている可能性が指摘されています。

    これは2人の理論物理学者が11月に主張した説で、従来信じられてきたビッグバン理論と真っ向から対立するものです。宇宙マイクロ派背景放射に見られる輪は一番最近のビッグバンの重力の影響ではないか、つまりビッグバンは1回ではなかったのでは、と。

    しかし、宇宙マイクロ派背景放射に見られる輪はノイズの可能性もあります。プランク衛星の新しい宇宙マイクロ派背景放射図がマッピングされるのを待ちましょう。

    人類のルーツ? 新たな猿人が発見される。

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    4月に南アフリカの洞窟で190万年前の人類の骨が見つかりました。セディバ猿人と名付けられた、この原人は人の進化の血統を探るよい手がかりになるそうです。

    長い腕と突き出た鼻などの特徴が人類と判定するきっかけになったそうです。

    セディバ猿人が人類の直接の祖先かどうかはまだ分かっていませんが、いずれにしても興味深い発見であることは確かです。

    NDM-1ショック

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    2008年にニューデリーから帰国したスウェーデン人が、NDM-1という新型酵素を持つ細菌により肺炎に感染しました。この酵素は抗生物質を分解するため耐性菌の原因となります。

    NDM-1は菌ではなく、酵素なので多くの抗生物質を無効化してしまします。感染に有効な抗生物質は多くても2種類と考えられています。

    NDM-1の遺伝子は染色体DNAではなくDNAプラミド状にあり、細菌の種の壁を超えやすいとされています。

    2010年には米国の病院でも初のNDM-1の症例が発見され、緊張が走りました。(日本では第1例は2009年。発表は2010年。)しかし、NDM-1感染がどんなに恐ろしくても、対抗できる化合物が1つは発見されています。

    3人分の遺伝情報を持った細胞?

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    イギリスの研究者が、受精卵(精子が卵子に到達して形成される単一細胞)から染色体をとりだし、染色体は除去されているもののミトコンドリアを含む受精卵に入れることで、3人分のDNAを持つ胚を作りました。

    (訳注 DNAと言えばよく知られているのは染色体だと思いますが、ミトコンドリアもDNAを持っています。通常の受精卵は、染色体に含まれる、父親由来のDNA、母親由来のDNA、それから母親由来のミトコンドリアのDNAで形成されています。)

    このような実験は以前にも行われていましたが、ヒトの細胞による実験は初めてでした。

    この技術は体外受精などに使うことは認可されていません。しかし遺伝病であるミトコンドリア病の治療に使われることはあるかもしれません。

    この話題は様々な倫理的な疑問を投げかけてきますが気になるのは、ミトコンドリアDNAを父親、母親以外から取ってきた場合、その第3者も「親」ということになるのでしょうか?

    水が安定して存在できる星が発見される!

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    太陽系の外にある惑星に液体状の水があることが9月に分かりました。

    この惑星は恒星の周りを、暑すぎず、寒すぎず、水が安定して存在することができる位置を軌道しています。

    これは生命体を育む環境が整っていたことを示しています。

    この惑星の存在はすぐに疑問視されました。2番目の天文学者のチームはそのデータを見つけられなかったからです。

    しかし、このことは多くの天文学者を元気づけ、その結果、生物が生存できる環境を持つ外惑星多数発見されました。

    アカゲザルの自己認識

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    何十年もの間、アカゲザルは鏡に映った自分を認識できるということは知られていませんでしたが、9月、ウィスコンシン大学のの科学者が鏡に映った自己を認識できるサルだという観察結果を報告しました。この観察はまだ検証されていませんが、この発見は深い示唆を示しています。

    人間はこのサルの知能を過小評価していたのかもしれませんし、他の動物もミラーテストをクリアするかもしれません。

    人間が動物を全く理解できていないということを示唆しているのかもしれませんね。

    HIVの殺菌剤の効果について

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    HIVの殺菌剤の臨床実験の結果が発表されました。

    抗HIV薬入りジェル使用した南アフリカの女性889人を調査したところによると、感染のリスクが39%低下し、薬を定期的に使用した人は感染のリスクが54%低下しました。

    これは使用が簡単なワクチンではありません。しかし研究者は2年半にわたる調査の結果、初めてのHIVとAIDSの拡散を食い止める希望です。

    現在は実用化の段階に踏み切れるかどうか、安全性を確かめているところです。

    月には水があった

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    NASAは地球の裏側のクレーターにロケットをぶつけて、月には沢山の水があるという証拠をつかみました。

    LCROSS(Lunar Crater Observation and Sensing Satellite)計画において、最初に水の存在が示唆されたのは2009年の終わりです。しかしきちんとした数字は2010年の10月まで得られませんでした。

    LCROSSが調査したクレーターには150キロもの水があり、5.6%の土壌が湿っていることが分かりました。

    これは将来月に移住した場合、じつに役に立つだろうと科学者は言っています。

    NASAの調査では水は月の南極付近に見られます。

    しかし3月、北極にも同様に水が大量に存在することが、インドがインドの人工衛星のレーダーによって分かりました。

    いやぁ、様々な分野に渡って色々ありますね。

    こうやって発表される前にどれだけの人が時間と情熱を費やしたのかと考えると、ありがたいな、と思います。

    2011年も期待してます!

    原文/mio)