「ARROWS X LTE F-05D」(NTTドコモ/富士通製)と「ARROWS Z ISW11F」(KDDI/富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製)は、キャリア違いの兄弟機ということもあってか12月17日の同日に発売された。ARROWS X LTEはXi、ARROWS ZはWiMAXを搭載し、薄型ボディにおサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信、防水、HD液晶、デュアルコアCPUを詰め込むなど現行機種では機能とサービスが最も充実した“全部入りスマートフォン”として注目を集めている。発売日に在庫のない店舗が相次ぎ、現在も品切れとなっている店舗が多いようだ。富士通のARROWSブランド、そして各社の秋冬モデルの中でもフラグシップ機といえるこれら2モデルの違いについてまとめた。
外観には共通部分が多く、左側面には電源/音量調節キー、上端部にはイヤフォンジャックとMicro USB/Micro HDMI端子がカバー付きで搭載されている。少し気になったのがイヤフォンジャックのカバー。防水端末なので仕方のないところもあるが、同じく防水仕様のREGZA Phone T-01C/IS04のイヤフォンジャックにはカバーがなかったので、できればカバーなしがよかった。卓上ホルダの充電に使う端子やスピーカーも、裏面下部の同じ場所にある。ちなみに、卓上ホルダはARROWS X LTE用が「F36」、ARROWS Z用が「FJI11PUA」で名称や形状も異なるが、充電部分は共通のようで、F36でARROWS Zを充電、FJI11PUAでARROWS X LTEを充電することができた。
一方で異なる部分もある。ディスプレイ下部の物理キーは、いずれもMENU/ホーム/戻るの3つのキーが並んでいるが、ARROWS X LTEには横長の突起したキーを3つを置いている。ARROWS Zでは横長のバーの上にキーが並び、ホームキーのみがその上でさらに突起する3段構造になっている。ボディ全体の形状はARROWS X LTEの方がスクエアで、手にしたときに角が手に当たるのが少し気になった。ARROWS Zは角が削ぎ落とされているので、手にしっかりとなじむ。細かいところでは、ストラップホールはARROWS X LTEでは右側面の下にあるが、ARROWS Zでは左側面の下にある。
下記の表からも分かるとおり、ディスプレイ、カメラ、メモリ、防水・防塵など、スペックには共通部分が多い。2機種とも全部入りでありながらも「薄くて軽い」のが印象的。薄さと軽さはARROWS X LTEがわずかに上回っているが、ARROWS Zの10.1ミリ、131グラムもハイエンドモデルとしては十分薄くて軽い。この薄型化の影響か、バッテリー容量は2機種とも1400mAh台で、1500〜1800mAhのバッテリーを積む他のハイエンド機よりやや少ないのが気になる。この点を考慮し、ARROWS X LTEには急速充電器が同梱されている。メモリ(ROM)は2機種とも8Gバイトで、そのうち写真や動画などを保存できる内蔵ストレージは計4.1Gバイト、アプリを保存できるシステムメモリは計1.92Gバイト用意されている。2つのメモリに分けられているのが少しややこしいが、microSDに移せるアプリがあることも考えると、アプリ用に2Gバイト弱あれば十分といえそうだ。
ARROWS X LTE F-05D | ARROWS Z ISW11F | |
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OS | Android 2.3.5 | Android 2.3.5 |
チップセット | OMAP4430(1.2GHzデュアルコア)※ベースバンドチップ名は非公表 | OMAP4430+MDM6600(1.2GHzデュアルコア) |
サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約64×129×9.8(最厚部約9.9)ミリ | 約64×128×10.1ミリ |
重さ | 約124グラム | 約131グラム |
ディスプレイ | 約4.3インチHD(720×1280ピクセル)TFT液晶 約1677万色 | 約4.3インチHD(720×1280ピクセル)TFT液晶 約1677万色 |
バッテリー容量 | 1400mAh | 1460mAh |
連続待受時間 | 3G:約490時間、LTE:約200時間、GSM:約290時間 | 3G:約360時間、3G+WiMAX:約230時間、GSM:約430時間 |
連続通話時間 | 3G:約340分、GSM:約460分 | 3G:約380分、GSM:約340分 |
メインカメラ | 1310万画素CMOS | 1310万画素CMOS |
インカメラ | 130万画素CMOS | 130万画素CMOS |
メモリ | ROM:8GB、RAM:1Gバイト | ROM:8GB、RAM:1Gバイト |
ユーザー用メモリ | 内蔵ストレージ:計4.1Gバイト、システムメモリ:計1.92Gバイト | 内蔵ストレージ:計4.1Gバイト、システムメモリ:計1.92Gバイト |
外部メモリ | microSDHC(最大32Gバイト)※2GバイトmicroSD同梱 | microSDHC(最大32Gバイト)※2GバイトmicroSD同梱 |
防水 | IPX5/IPX8 | IPX5/IPX8 |
防塵 | IP5X | IP5X |
ARROWS X LTEは急速充電器として使えるACアダプター、卓上ホルダ、USBケーブル、2GバイトmicroSDを同梱しており、お得感がある。一方、auのスマートフォンでは卓上ホルダやUSBケーブルは別売となっているケースが最近多く、ARROWS Zも同様だ。主な同梱品は2GバイトのmicroSDくらいで、他は設定ガイドや各種パンフレット、注意書きなどに留まる。同梱品を少なくしているのは価格を抑えるためだと思われるが、一括価格(新規、機種変更)はARROWS X LTEが6万480円、ARROWS Zが7万3680円、実質負担額はARROWS X LTEが新規、機種変更ともに2万7720円、ARROWS Zが新規2万9280円、機種変更3万4320円であり(いずれも都内量販店の価格)、ARROWS Zの方が高い。
別売となるARROWS Z用の卓上ホルダ(FJI11PUA)は714円。防水端末なのでコネクタカバーを頻繁に開けない方が望ましいことを考えると、卓上ホルダが使えるのはありがたいが、ARROWS Zにもせめて同梱してほしかった。
国内外の通信方式の違いや、ドコモの電話帳バックアップ、iチャネル、dマーケット、auのLISMO WAVE、LISMO unlimited、Run&Walk、Skype au、au one ニュースEXなどキャリア独自のサービスを除けば、主な対応サービスにも大差はない。通信サービスは、3GエリアではARROWS X LTEの通信速度は下り最大14Mbpsではなく7.2Mbpsなのがやや気になる(実効速度については後述する)。端末をモバイルWi-Fiルーターとして利用するテザリングについては、ARROWS X LTEは「Xiパケ・ホーダイ フラット」なら月額5985円(2012年4月30日までは月額4410円)の据え置き。ARROWS Zはテザリングを含むWiMAXを利用する場合は「+WiMAX」として525円が加算され、「ISフラット」と組み合わせると月額5985円となる。WiMAXをオフにして3GでテザリングをしてWiMAXをその月に使わなければ、ISフラットの月額5460円で済む。2モデルともテザリングによってパケット通信料の上限が上がらないのはうれしい措置だ。また、SIMロックを解除できるのはARROWS X LTEのみ。
ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信はもちろん、地デジの番組をスマートフォンで閲覧できるDLNA/DTCP-IP、端末の音楽をFMラジオで再生できるFMトランスミッターもサポートしている。歩数計、富士通モバイル統合辞書+、スーパーはっきりボイス3などの富士通ならではの機能も共通だ。音楽を外部スピーカーやイヤフォンで聴くことが多い人には、バーチャル5.1chサラウンドで再生できる「Dolby Mobile v3」の対応もうれしい。
ARROWS X LTE F-05D | ARROWS Z ISW11F | |
---|---|---|
通信速度(3G) | 下り最大7.2Mbps/上り最大5.7Mbps | 下り最大9.2Mbps/上り最大5.5Mbps |
通信速度(LTE) | 下り最大75Mbps/上り最大25Mbps | − |
通信速度(WiMAX) | − | 下り最大40Mbps/上り最大10Mbps |
無線LAN | IEEE802.11b、g、n | IEEE802.11b、g、n |
テザリング | ○ | ○ |
Bluetooth | V2.1+EDR | V2.1+EDR |
赤外線通信 | ○ | ○ |
ワンセグ | ○ | ○ |
おサイフケータイ | ○ | ○ |
DLNA/DTCP-IP | ○ | ○ |
GPS | ○ | ○ |
FMトランスミッター | ○ | ○ |
国際ローミング | 3G+GSM | CDMA+GSM |
緊急地震速報 | ○ | ○ |
SIMロック解除 | ○ | − |
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